ちぎれた翼V 第6話
イエローオウルにクロスチェンジした雷太。その白と黄色を基調としたバードニックスーツ。白を基調とし、競泳水着のような形をした黄色のパンツに黒のラインが縁取られている下半身。雷太のがっしりとした太腿を包み込んでいるその付け根。雷太の男としての象徴であるペニス。それが今、黄色のパンツの中で臍へ向かって真っ直ぐに伸び、ビクンビクンと脈打っていた。
「…あ…、…あぁぁ…!」
ホークコンドルに背後から羽交い絞めにされ、ブルブルと震えている雷太。そんな醜態をしげしげと眺めている男がいた。
「…フン…!」
バイラムの幹部・トランザ。雷太の掛け替えのない仲間であるレッドホーク・天堂竜と、ブラックコンドル・結城凱を奪った男。そんなトランザの目がいやらしいほどギラギラと輝き、口元はニヤニヤと不気味な笑みを浮かべていた。
「…ほう…」
するとトランザはゆっくりと雷太へ近付いて行く。
「…も、…もう、…止めてよ…!」
ホークコンドルの業火に焼かれ、煤だらけになったふっくらとした雷太の顔。その頬に涙が伝った痕が窺えた。
「…お前のもなかなかのものだな…!」
そう言ったトランザの右手が、雷太のペニスと、その下に息づく2つの球体を優しく包み込んだ。
「…ッ!!」
その刺激だけで、雷太の体がビクリと反応する。
「…フフ…ッ!!」
低く笑い声を上げたトランザの右手がゆっくりとそこを這う。
「…あッ!!…んん…ッ!!…く…うう…ッ!!」
トランザのしなやかな指が、雷太の2つの球体を優しく包み込み、ゆっくりとペニスの方へ向かって動いて行く。そして、太く、硬く勃起したそれの裏筋を妖しく撫でるかのようにつつっと動く。その指がペニスの先端部分、括れたそこへ辿り着くと、何とも言えない快楽の電流が雷太に流れるのだった。
「…は…あ…、…あぁ…ッ!!」
今まで誰にもされたことがなかった甘い感覚。トランザのしなやかな指が雷太のペニスの先端部分まで辿り着くと、今度は手の向きを変え、ゆっくりと裏筋を撫で下ろし、股の間に息づく2つの球体を優しく包み込む。
「…う…、…おおお…ッ!!」
股の奥深くへ手を伸ばされ、思わずつま先立ちをする雷太。くねくねと腰をくねらせながら、雷太はその快楽に流されそうになっていた。その時だった。
「…どうだ、…イエローオウル…?…感じるだろう…?」
トランザが雷太の耳元で囁くように言う。
「…ッ!!」
その言葉に、雷太の意識が一瞬だけ、正常に機能した。
「…ぼ、…僕は…ッ!!」
目をギュッと閉じ、ビクビクと体を反応させながら、絞り出すように言う。
「…僕は、…ジェットマン…なんだ…ッ!!…竜…と、…凱…の、…仇を討つんだ…ッ!!」
失いかけていた、ほんの小さな勇気が雷太に戻って来た。そして次の瞬間、
「止めろオオオオッッッッ!!!!この変態がああああッッッッ!!!!」
と叫んでいた。
突然、雷太が大声で叫んだため、目の前で雷太のペニスを楽しんでいたトランザが呆気に取られた。だがすぐに、
「…ほう…」
と笑ったかと思うと怒りを含んだ顔付きになっていた。そして、それまで優しく愛撫していた雷太のペニスと2つの球体をいきなり強く握り始めたのである。
「…うぐ…ッ!?」
独特の鈍痛が雷太の体を一瞬にして支配した。
「…う…、…あぁぁ…ッ!!」
目を大きく見開き、中途半端に開いた口からは涎が溢れて来る。
「…ぁぁぁぁ…!!…ぁぁぁぁああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
つーんとした痛みが頭のてっぺんまで支配する。その間にも、トランザの右手の握力がじわじわと強くなって行く。
「…や…め…ろ…ぉ…ッ!!」
雷太の目から再び涙が溢れた。
「…許さん…ッ!!」
その時のトランザの表情を、雷太は忘れることはないだろう。顔は紅潮し、怒りにブルブルと震えていた。まさに鬼の形相と言えるその目付き。
「…この俺によくもそんな口を利けたものだ!!」
「ぐわああああああああああああッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!」
鈍い痛みが雷太を襲い続ける。
「止めろッ!!止めろ止めろ止めろオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!」
本当に潰されそうな勢いに、雷太は無我夢中で体を振り続ける。だが、ホークコンドルから受けたダメージと、独りで強大な敵であるトランザに立ち向かっていると言う恐怖心が残っており、思うように体が動かせないのも事実だった。
「今から貴様に選ばせてやるッ!!」
鼻息荒く言うトランザ。
「ブラックコンドルのようにここを使い物にならなくさせられたいか、大人しく服従してレッドホークのように快楽を貪るか、…それとも…!」
ニヤリとするトランザ。
「…ホークコンドルに、今度こそ、全てを焼き尽くされるか…!」
そう言ったトランザが、強く握り締めていた雷太のペニスと2つの球体をぱっと放したのである。
「…うぐ…ッ!?…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
少しだけ解放された気分になり、雷太が荒々しく呼吸をする。そのたびに、雷太のむっちりとした胸が大きく動く。
「…さぁ、…どうする…?」
腕組みをしながらニヤニヤと問い掛けるトランザ。
「…うう…ッ!!」
正直に言えば、どれも嫌だった。凱のように男性としての機能を失う、それは、女性と経験したことのない雷太にとってはこの上ない屈辱でしかなかった。かと言って、背後で雷太を羽交い絞めにしているホークコンドルに焼き尽くされるのも、光沢のある鮮やかな黄色と白のイエローオウルのバードニックスーツが、バードニックスーツとして機能していない今、それをやられたら、雷太自身も丸焼きになってしまう。
(…となれば…)
3つの選択肢の中からどうしても選ばなければならないのなら、答えは簡単だった。
「…く…っそ…おおおお…ッッッッ!!!!」
だが、それを言ってしまえば、トランザに、いや、バイラムに屈することになる。自分一人だけがそうなるのなら、嫌々ながらもトランザに屈していたかもしれない。だが今は、ブラックコンドルの凱も、レッドホークの竜も人質に取られている状態だ。自分がここでトランザに屈してしまえば、残されたホワイトスワンの香と、ブルースワローのアコが何をされるか…。
「…い、…嫌…だ…!!」
ブルブルと震えながら、雷太が呟くように言う。その言葉に、トランザの顔がピクリと動いた。
「…どれも、…嫌だ…ッ!!…僕は…ッ!!」
その時、雷太はトランザを睨み付けた。
「…何…ッ!?」
その意外な反応に、トランザが戸惑いを見せる。
「…僕は…ッ!!…僕は…ッ!!…ジェットマンなんだああああッッッッ!!!!」
はぁはぁと荒い呼吸。だが、その体は威勢が良いのとは正反対に、小さく震えていたのも確かだった。
「…ほう…」
その時、トランザは雷太を見下すように見つめた。そして、
「…意外な反応だったが、…これはこれで面白い…。…だが…!」
と言ったかと思うと、再び厳しい目付きをした。
「…俺を更に怒らせたこと、身を以って後悔させてやるぞ…ッ!!」