ちぎれた翼V 第9話

 

 フワフワと体が浮いて行く感覚を覚えた。

「…う…、…あぁぁ…!」

 散々、床に叩き付けられ、激痛で意識がぼんやりとしているイエローオウル・雷太。

「…も、…もう、…止めてくれ…!」

 目の前にはニヤニヤと笑みを浮かべ、自分を散々、玩具にしたトランザがいる。そして今、トランザは更に自分を玩具にしようとしているのか、宙にフワフワと浮かべているのだ。

「…ククク…!」

 その口元は不気味に歪み、目はギラギラと輝いていた。

「安心しろ、イエローオウル。もう貴様には酷いことはしない」

 フワフワと浮いている雷太のもとへトランザがゆっくりと近付いて行く。

「…あ…あ…あ…!!

 雷太の体が小刻みに震える。

 その時だった。雷太の背後にスゥッと、真っ白な十字架が音もなく浮かび上がったのだ。

「…え?」

 それに気付き、雷太が声を上げる。だが次の瞬間、

 ガシャンッ!!ガシャンッ!!

 と言う音が聞こえたかと思うと、雷太の背中が十字架の柱に括り付けられ、その両足首と両手首が冷たい金属の鎖にガッシリと絡め取られていた。しかも、雷太のガッシリとした両足は不自然なほど大きく広げられ、十字架に大の字に括り付けられていたのだ。

「…い、…嫌だ…!!

 雷太が懸命に体を捩じらせ、その鎖を引きちぎろうとする。だが、今まで散々ダメージを与えられた体では、その鎖はビクともすることもなかった。

「あはははは…!!

 そんな雷太を見て、トランザが大笑いをする。

「いい光景だな、イエローオウル!レッドホークとは違った光景だ!」

 レッドホーク。雷太と同じジェットマンの仲間だった。そんなレッドホーク・竜もトランザの毒牙にかかり、今は行方不明のまま、いや、トランザの元に堕ちていた。

「…や、…止めろ…!!

 雷太の目の前までやって来たトランザが、そのしなやかな指をゆっくりと雷太の体に這わせる。

「…お前は、…俺の玩具だ…!…いや、…俺の奴隷だ…!」

 そう言うと、トランザは雷太の頬に手を添えた。そして、

「…さぁ、…お前に甘い夢を見せてやろう…!」

 と言ったかと思うと、その紫色の唇を雷太の唇にそっと押し当てたのだ。

「…ん…ッ!!

 その瞬間、雷太の体がピクリと動いた。

「…ん…ッ!!…んん…ッ!!

 雷太の顔が真っ赤になる。そして、苦しそうに呻き声を上げた。暫くすると、

 …チュッ!!…クチュッ!!…クチュクチュ…ッ!!

 と言う淫猥な音が聞こえて来た。

 しっかりと閉じていたはずの雷太の口が少し抉じ開けられ、抉じ開けられたそこにトランザの舌が侵入し、雷太の口腔内を蹂躙していたのだ。

 それもそのはず。

 雷太の背後、十字架の柱のすぐ後ろにホークコンドルがおり、その鋭い爪が雷太の首筋に宛がわれていたのだ。最初は体に力を入れ、トランザの口付けを拒んでいた雷太だったが、それがチクッと自分の首筋に当たった瞬間、雷太の体から力が抜けたのだった。

「…ンフフ…!!

 暫くしてトランザの唇が雷太のそこから離れると、低く笑い声を上げた。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!

 懸命にトランザを睨み付けるものの、その体は小さく震えていた。

「…そうだ。…貴様は俺の奴隷だ。…下手に刃向かえば、貴様の命はない…!」

 そう言うとトランザは再び雷太に口付けをする。そしてすぐに、

 クチュッ!!クチュクチュッッッッ!!!!

 と言うくすぐったい音を上げ始めた。

「…んん…ッ!!

 暫くすると、雷太が体をビクビクと跳ねらせ、顔を真っ赤にして呻き声を上げた。

「…んん…ッ!!…んんん…ッッッッ!!!!

 トランザのしなやかな指が雷太の体、特にむっちりとした胸の部分を、その指が触れるか触れないかと言う微妙な位置で動いていたのである。そして、その指が雷太のむっちりとした胸の中心部分、ぷっくりと浮き出た突起に触れるたびに、雷太は体をビクビクと跳ねらせ、呻き声を上げていたのである。

「…フフッ!」

 トランザがニヤリと笑う。

「やはり貴様もここは感じるようだな…!」

 トランザはそう言うと、雷太の右胸の突起に静かに顔を寄せ、

 チュッ!!

 と言う音を立てて口付けた。その瞬間、

「はうっ!?

 と言う声を上げる雷太。

 …チュクチュク…ッ!!…チュクチュク…ッ!!

 雷太のむっちりとした胸を持ち上げるかのように、トランザの舌が力を入れて蠢く。まさに、レロレロと言う擬音語が似合うかのように。

「…んん…ッ!!…んあ…ッ!!…あッ!!…ああッ!!

 くすぐったさと何とも言えない感覚が雷太のそこを襲う。そのたびに雷太はビクビクと体を反応させながら喘ぐ。

 …チュクチュクッッッッ!!!!…チュクチュクジュクジュク…ッッッッ!!!!

 光沢のある鮮やかな白と黄色であしらわれたバードニックスーツのそこが、トランザの唾液によって光沢を失って行く。

「…んふ…ッ!!…ふ…うう…ッ!!

 その刺激に懸命に耐えようとする雷太。

(…ぼッ、…僕は…ッ!!…ジェットマンなんだ…ッ!!…竜や、…凱とは…、…違う…ッ!!

 いつの間にか、雷太の心の中には意地が芽生えていた。レッドホークの竜や、ブラックコンドルの凱に持っていたコンプレックス。それが仇となり、今まで思ったことをすぐに行動に移すことが出来なくなっていた。だが今は、そんな竜も凱もいない。言い換えれば、ジェットマンの中で自分がリーダーなのだ。その思いだけが、今の雷太を動かしていた。

 だが、心でそう思っていても、体は言うことを聞いていない。

 …ジュクジュクジュクジュク…ッッッッ!!!!…ジュクジュクジュクジュク…ッッッッ!!!!

「ああッ!!ああッ!!ああッ!!んああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 トランザの舌が与えて来る刺激はますます雷太の体を支配して行く。と同時に、トランザの右手が雷太の左胸の突起をも刺激し始めたのだ。

「うああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 トランザの舌が、指が、雷太の胸の2つの突起を刺激する。突起を転がしたり引っ掻いたり、くすぐったり。その突起の周りを静かに撫で回したりする。

「…やッ、…止めろオオオオッッッッ!!!!…止めて…、…くれええええッッッッ!!!!

 十字架に括り付けられ、尚且つ、首元にはホークコンドルの鋭い爪。そして目の前には、雷太の体を舐め上げるトランザ。

 恐怖と快楽に戸惑いを覚えつつ、雷太の下半身は少しずつ、熱を帯び始めていたのだった。

 

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