おばあちゃんの悪知恵袋 第5話
「おばあちゃんッ!!バンドーラおばあちゃああああんんんんッッッッ!!!!」
目を輝かせ、ドンドンと大きな音を立てて扉を叩くボーイ。
「おばあちゃんッ!!おばあちゃああああんんんんッッッッ!!!!」
「はいよ〜!!」
ゴトゴトと言う音と共に、中から皺枯れた老婆の声が聞こえて来た。そして、ガラッと言う音を立ててその引き戸が開いた時、中から相変わらず厚化粧の老婆・魔女バンドーラが現れた。
「おやおや、ボーイじゃないか!!今日はいちだんと元気だねェ!!」
何があったのか分かったのか、バンドーラは目を輝かせてニコニコと笑っている。その途端、ボーイがバンドーラに抱き付くと、
「凄いよッ、おばあちゃんッ!!おばあちゃんがくれた薬!!」
と声を弾ませて言った。
「ダンに飲ませたのかい?」
悪戯っぽい笑みを浮かべてバンドーラがそう尋ねると、
「うんッ!!そしたらさ、ダンが僕の思うがままに動くようになったんだ!!ああッ、これで僕はダンに今までの仕返しがいっぱい出来るぞおおおおッッッッ!!!!」
と、ボーイは嬉々として言った。
「そうかいそうかい。そりゃあ、良かったねェ!!アハハハハ…!!」
バンドーラも満足そうに笑う。
「ねぇ、おばあちゃん!」
ボーイが目を輝かせてバンドーラを見つめている。
「何だい、ボーイ?」
同じようにニコニコと満面の笑みを浮かべてバンドーラがボーイに尋ねると、
「あの薬、僕がダンに対して何かをしろって願ったら、一瞬だけど、ダンの意識が途切れるんだね!!」
と言った。
「…おや…」
バンドーラが驚いた表情を見せる。
「ボーイ、そこまで見抜いたのかい?さすがだね!!」
「へへッ!!」
嬉しそうに笑うボーイ。
「でもさ、僕の言う通りになった後のダンの驚きようったら、もう、おかしくて…!!」
ダンの無様な姿を思い出したのか、堪え切れなくなってボーイは大声で笑い始めた。すると、バンドーラは更にニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべて、
「…じゃあ…」
と言うと、戸棚の中から赤い液体の入った小瓶を取り出した。
「…今度は、これを飲ませておやり…!」
「…これは?」
毒々しいほどに真っ赤な液体。ボーイはそれを、何やらおぞましいものを見るような眼差しで見つめた。
「それはね、相手の意識を一瞬だけ奪うのではなく、飲ませた者を見た途端、その者が満足するまで意識を失い続ける液体さ。つまり、その液体を飲まされた者は、飲ませた者の操り人形になり続ける、ってことさ!」
相変わらずの付けまつ毛で分厚い化粧のバンドーラがボーイの顔に自身の顔を近付け、目をキラキラと輝かせて言う。
「…こ、…怖いよ、…おばあちゃん…」
本気でそう言っていた。
「どうする、ボーイ?」
ニヤニヤと悪戯っぽく笑い続けるバンドーラ。
「この薬も、ダンに飲ませてしまうかい?」
「…いや…」
その時、ボーイがニッコリと微笑んだ。
「…今は、…いいや!!今は、ダンが慌てふためく顔を見ていたいしさ!!」
「おやまぁ。そうかい?そいつは、残念だねェ…」
バンドーラは少しだけ悲しげな表情を浮かべた。悲しげ、と言うより、不満顔だった。
「でもまぁ、お前がもしも、ダンに対してこれを飲ませたくなったら、取りにおいで。アタシャ、いつでも待ってるよ!!」
「…おばあちゃあん…」
「何だい、ボーイ?」
苦笑しているボーイ。
「…おばあちゃん…。…本当に悪戯が好きだねェ…」
「ああ!!大好きだよ!!人が慌てふためく姿って、最高じゃないか!!」
そう言って、バンドーラは再び大声で笑った。
「ようッ、ボーイ君ッ!!」
それからも、事あるごとに、いや、暇さえあれば、ダンはボーイに絡み付いて来た。
「なッ、何だよッ、ダンんッ!!」
ある時、一人でぼんやりとしていたボーイに向かってダンがやって来ると、その腕をボーイの肩に回し、ニヤニヤと笑った。するとダンはとある雑誌を取り出した。そして、
「これこれ!!見てみろよッ!!」
と言ったかと思うと、パラパラとページをめくり、
「これッ、凄くねえか!?」
と、ボーイの顔にそれを思い切り近付けた。
「…うわ…!!」
ボーイが思わず目を見開き、俄かに顔を真っ赤にした。
「…ちょ…ッ、…ちょっとッ、ダンんんんんッッッッ!!!!」
ボーイが怒るのも無理はない。どこから持って来たのか、ダンの手に握られていた雑誌はいわゆる、いかがわしい系の雑誌だった。裸体の女性が妖艶な雰囲気を醸し出し、読者を魅了していた。
「なッ、何で、こんなものを持ってるんだよッ!?」
「何でって、買ったに決まってんだろ?」
ダンはそう言うと、うっとりとした眼差しを天井へ向け、
「…ああ…。…こぉんなきれいなお姉さんと、…あ〜んなことや、こ〜んなことをしてみてぇなぁ…」
と言った時だった。
「ダッ、ダンんッ!!アソコ、勃ってるッ!!」
顔を真っ赤にして言うボーイ。するとダンは、
「…あ…」
と言うとテヘヘと照れ笑いをし、
「だぁってさぁ、こぉんなきれいなお姉さんが目の前にいるのを想像してみろよ。それだけで興奮しちまうだろ!?」
と言ったのだ。
「…フン…!!」
今度はボーイが笑う番だった。
「あ〜あ、ダンは毎日能天気でいいねえ!!って言うかさぁ、ダンん」
そう言いながらダンに寄って行くボーイ。するとダンは、
「…なッ、…何だよッ!?…気持ち悪りィなぁ…ッ!!」
と言いながら顔を引き攣らせ、体を仰け反らせる。するとボーイは、ちょっと悲しげな表情を浮かべると、
「…僕って言う存在があるのに…」
と言い、
(ダンッ!!僕を抱き締めるんだッ!!)
と念じた。
その時だった。
「…ボー…イ…」
ダンの両腕がボーイの方へ伸びて来たかと思うと、体の小さなボーイをすっぽりと覆うように抱き締めたのだ。だが次の瞬間、
「…え…?」
とダンの声が上から聞こえたかと思うと、
「…うう…ッ!?…うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と言うダンの甲高い悲鳴が耳を劈いた。
「…なッ、…何やってんだよッ、お前ええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!」
顔を真っ赤にして怒鳴るダン。だがボーイは、
「知らないよ!!だって、ダンが僕をいきなり抱き締めたんだから!!」
と言い、ニヤリとした。
「…ねぇ、ダンん…」
「…なッ、…何だよ…ッ!?」
「…それ…」
「あん?」
「大きくなったそれ、どうすんの?(ダンッ!!僕の目の前でエッチなことをしてみせるんだッ!!)」
「…ど、…どうするも何も…。…あ…、…れ…?」
その時、ダンの右手が自身の大きく勃起したペニスをズボン越しに握ったかと思うと、ゆっくりと前後に動き始めたのだった。