おばあちゃんの悪知恵袋 第7話
「おばあちゃああああああああんんんんんんんんッッッッッッッッ!!!!!!!!」
その時、ボーイは物凄い音を立てて魔女バンドーラが住む小さな小屋の扉を乱暴に開けていた。
「…びっ、…びっくりしたぁ…!!」
今にも零れ落ちるのではないかと言うほどにバンドーラは目を大きく見開き、何か、おぞましいものを見るかのようにボーイを見つめた。だがすぐに、
「…その様子だと、…あまり効果なし、ってとこだね?」
と言った。
「そうなんだよッ!!もうッ、ダンったら酷いんだッ!!」
「まぁまぁ。取り敢えず、落ち着きなよ」
バンドーラはそう言うと、温かいスープをボーイに差し出した。
「…ありがと…」
ボーイは湯気が心地良く立つそのカップを受け取ると、一口すすった。
「…美味しい…」
「そうかいそうかい。それは良かった!」
ニコニコ顔のバンドーラ。そして、
「…で?…何があったんだい?」
とボーイに尋ねた。
「…うん…。…実はね…」
ボーイはやや顔を赤らめながら、ありのままに事の次第を話し始めた。
「ヒャーッハッハッハッハ…!!…ヒィーッヒッヒッヒッヒ…!!」
いつかの時のように、バンドーラが顔をクシャクシャにして笑い転げている。
「…おばあちゃあん…」
うんざり顔のボーイ。
「…ボッ、…ボーイの…、…前で…!!…オッ、…オナニー…、…させたのかい…!!…そ、…それはアタシも見たかったねぇ…!!」
「しかも、トリケラレンジャーに変身してさぁ、それでオナニーするんだよ!?しかも最後にはイッちゃうし…!!」
バンドーラの背中を擦りながら、ボーイは呆れたように言う。
「…ヒィ…ッ!!…ヒィ…ッ!!」
いつかの時と同じく、バンドーラはボーイが差し出したコップを取り、グビグビと音を立てて水を飲み干すと、
「…ッ、ああ〜…。…死ぬかと思ったぁ…!!」
と、ゼエゼエと荒い呼吸をして言った。
「…で?…ボーイがダンに願ったことは何なんだい?」
「…え?」
バンドーラが尋ねたことに、ボーイは一瞬、きょとんとする。
「ダンに何をさせたんだい?」
「…えっと…」
思い出すように視線を天井へ向け、
「…ダンに、僕を抱き締めさせて、僕の前でオナニーをさせて、トリケラレンジャーに変身させて…。…あ、でも!!」
と言うと、はっとなった。
「…ぼッ、…僕ッ!!…確かに、ダンにイクところを見せろとは言ったけど、まさか、腰を振れなんて言ってないし…。…って言うかさぁ!!」
しゅんとしてみたり、ぷっと顔を膨らませてみたり、今日のボーイは忙しい。
「ダンったらさあッ、全っ然、反省してないんだ!!」
「ようッ、ボーイ君ッ!!」
ダンがトリケラレンジャーにダイノバックラーし、ボーイの目の前で淫乱な姿を見せた翌日。
「…え?」
ボーイは唖然となった。
「どうしたんだよぉ、ボーイ君?」
「…ダッ、…ダン…ッ!?」
今、目の前にいるダンはなんと、トリケラレンジャーにダイノバックラーし、昨日と同じようにマスクは着けてはいなかったのだ。
「…ななな、なんで変身してるんだよッ!?」
「ん〜?」
ニヤニヤと笑うダン。だがそれよりも。
「…ッッッッ!!!?」
ダンの体の1点を見た時、ボーイは絶句した。
ダンの2本の足の付け根部分。普段はふくよかな膨らみを形成しているダンの男としての象徴・ペニス。それが今、トリケラレンジャーの光沢のある鮮やかな青色のスーツの中で大きく勃起し、臍へ向かって伸びていたのだ。
「どうだ?オレのチンポ、デッケェだろ!?」
威張るように体を踏ん反り返らせてそれを誇張するダン。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
その途端、ボーイは顔を真っ赤にした。
ダンの大きく勃起したペニス。それは臍へ向かって真っ直ぐに伸びている。太さはさほどないものの、長く、その先端部分はきれいなフォルムを形成している。そして、ビクッ、ビクッ、と脈打っていたのだ。
「昨日はお前の目の前で変態行為をしちまったけど、あの時、気付いたことがあったんだよなあ!!」
「…な、…何…?」
ま、まさか、ボーイがしたことがバレたのか?
すると、ダンは鼻の下を伸ばし、顔をウットリとさせて、
「このスーツを着てオナニーをするとさ、ここがスッゲェ、気持ち良かったんだ!!」
と言った。
「…は?」
ボーイは目を点にする。ダンは真っ白なグローブに包まれた右手で大きく勃起したペニスを揉みしだいている。
「スーツにチンポが擦れてさ、普通のオナニーとは違った感覚がしてさ、気持ちいいのなんのって…!!」
「…は、…はぁ…」
「そしたらさぁ、オレ、お前の目の前だったけど、イキたくなっちまってさ…!!」
そう言いながら、ダンはボーイにゆっくりと迫って来る。
「…なッ、…何だよッ!?」
思わず後退さるボーイ。すると、ダンはボーイの肩に手を置き、
「また、頼むぜ、ボーイ君ッ!!オレで良かったら、いくらでもお前の相手をしてやるぜ?」
と言ったかと思うと、
「アハハハハハハハハ…!!」
と笑いながらどこかへ行ってしまったのだった。
「…ダメだ…!!」
沸々と怒りが込み上げて来る。ダンを辱めるためにやったことなのに、逆にダンに快楽を与えてしまった。
「…ダメだ…!!」
その時、ボーイは何かを決心したように目を見開いた。
「…おばあちゃんに…。…もっと強力な薬を貰って来ないと、…僕の気が済まないッ!!」
そして、現在に至る。
「…ふむ…」
その頃になると、すっかり落ち着きを取り戻していたバンドーラは茶をすすり、ふむと頷いた。
「…じゃあ…」
そう言ってバンドーラは、一度はボーイに差し出した毒々しいほどに真っ赤な液体が入った小瓶を、再びボーイに差し出した。
「やっぱり、これを飲ませるしかないかね…?」
「…いや…」
ボーイが声を上げる。そして、
「おばあちゃん。この間、ダンに飲ませた薬とその赤い薬の中間点くらいの薬って作れない?」
と言ったのだった。