座敷わらしの悪戯 第2話
「きゃああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!いやああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
目の前に突如現れた少年を見た途端、サイゾウは物凄い悲鳴を上げ、ぺたんと尻餅をついた。
「おいおい、いきなりその悲鳴はないだろう?オレはずっとこの部屋にいたんだからさあ!失礼なやつだなぁ!」
するとその少年は、壁一面に貼られたサスケの写真を見ながら、
「お前、これを見ながら何度もエッチなことしてたよなあ♪」
と言ったものだから、
「い、言うなああああッッッッ!!!!」
と、顔を真っ赤にして言うと、物凄い勢いで立ち上がり、壁際に大きくへばり付いた。そして、
「…そッ、そもそもお前ッ、どこから入って来たんだよッ!?」
と目にいっぱい涙を溜めて言った。するとその少年は、
「だぁかぁらぁ!」
と言いながら大きく溜め息を吐き、
「オレはずぅっと、お前がここに来るよりも前からここにいたんだって!」
と言った。
「…ど、…う…言う…こと…?」
少し落ち着きを取り戻したサイゾウが訝る。するとその少年はフフンと笑うと、
「オレ、座敷わらしだから!」
と両腰に手を当て、ふんぞり返るように言った。
「はぁッ!?」
その言葉に、サイゾウが素っ頓狂な声を上げる。そして、
「…ウ、…ウソだろッ!?」
と言った。どう見ても今時の子供の姿で、どこからか入り込んで来たと言っても分からないくらいの出で立ちなのだ。すると座敷わらしはムッとした表情を浮かべ、
「どう言う意味だよッ!?」
と聞いた。
「…ざ、…座敷わらしって言ったら、…何か、こう、もっとかわいくて、純粋でぇ…」
その時だった。
ドスッ!!
鈍い音が聞こえたその瞬間、
「へぐおおおおうッッッッ!!!!」
と言うサイゾウの悲鳴が部屋中に響き渡った。
「悪かったなッ、性格がひねくれててさ…!」
座敷わらしの右足が上がり、それがサイゾウの股間に減り込んでいた。
「…あ…あ…、…おおお…!!」
顔を真っ青にしたサイゾウがズルズルとその場に崩れ落ちる。そして股間を押さえ、
「…オ、…オレ…の…、…オレの、…大事なところが…!!…オレの、…武器が…!!」
などと、訳の分からないことを呻いた。
「あのなぁッ、世間体では座敷わらしはお前が言うようにかわいくて純粋かもしれないけど、それはあくまでも世間体であって、中にはオレみたいにひねくれたやつだっているんだよッ!!」
座敷わらしがそう言った時だった。
「…あ…、…え…?」
サイゾウの体が光ったかと思うと、光沢のある鮮やかな水色のカクレスーツを身に纏ったニンジャブルーの姿に変身していたのだ。
「…え…?…え…?」
ドロンチェンジャーを使ったわけでもない。なのに、サイゾウはニンジャブルーのマスクまで被った状態だった。座敷わらしはフフンと笑うと、
「オレがやったんだよ!これでちったぁ、オレのことを認めてくれただろう?」
と言ったかと思うと、正座をして呆然としているサイゾウを思い切り突き飛ばした。
「おわあッ!!」
突然のことに素っ頓狂な声を上げ、サイゾウが両足を大きく広げて後ろへひっくり返る。と、座敷わらしはそんなサイゾウの両足首をすかさず掴んだかと思うと、その股の間へ右足を捩じ込ませた。
「んなッ、何をする気だあッ!?」
サイゾウが悲鳴に近い声を上げる。すると座敷わらしは、
「オレのことを座敷わらしって認めねぇお前に、お仕置きするんだよッ!!」
と言ったかと思うと、サイゾウの股間に捩じ込ませていた右足を小刻みに揺らし始めたのだ。
「んぎゃああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
サイゾウが悲鳴を上げる。
「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
体を暴れさせ、何とかしてそれから逃れようとする。だが、座敷わらしの力が強いのか、自身が何かの理由で弱くなっているのか、サイゾウの両足首を掴んでいる座敷わらしの両手は外れることはなかった。
「ほれほれぇッ!!どうしたぁ、サイゾウ?早くごめんなさいを言わねぇと、ご自慢のオチンポが使い物にならなくなるぜぇ?」
ニヤニヤと笑いながらそう言う座敷わらし。するとサイゾウはニンジャブルーのマスクの中でぎょっとした表情を浮かべると、
「…そッ、それだけはッ!!止めてくれええええッッッッ!!!!」
と悲鳴を上げた。
「じゃあ、ごめんなさいはぁ?」
ニヤニヤとする座敷わらし。するとサイゾウは、
「…う…ッ!!…うう…ッ!!」
と呻いていたが、
「…ごッ、…ごめんなさいぃぃ…!」
と、消え入りそうな声で言った。
「…フフン!」
座敷わらしは勝ち誇ったように笑うと、サイゾウの両足をようやく離した。
「…ッ!?」
その瞬間、ドスンと言う音を立ててサイゾウの両足が地面に落ちた。そして、
「…ッ、…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
と言う荒い呼吸と共に股間を両手で覆い、床の上にぐったりと横たわった。
「…で?…ちったぁ、オレのことを座敷わらしと認める気になったか?」
座敷わらしがそう言うと、
「…少し…は…」
とサイゾウが呟くように言った。その途端、座敷わらしは俄かに顔色を変えたかと思うと、
「ああ!?まだオレのことを信じられねぇってか!?」
と言ったかと思うと、サイゾウの両足を再び持ち上げようとした。
「いやッ、そう言う意味じゃないよッ!!」
これ以上、大事なところを痛め付けられてたまるか!サイゾウは慌てて大声を出した。
「…だって、オレは君の能力とか見たことがないわけだし、信じろって言われても、そんなに簡単には信じられないよ…」
サイゾウのその言葉に、座敷わらしは、
「…ったく、めんどくせぇやつだなぁ…!」
と言いながらガシガシと頭を掻いた。そして、
「じゃあ、オレが能力を見せれば、オレのことを座敷わらしと認めるって言うんだな?」
と言うと、サイゾウはコクンと頷いた。
「…分かった!」
座敷わらしはニヤリと笑う。
「オレにいい考えがある!」