座敷わらしの悪戯 第6話

 

(…あったかい…)

 目の前で起こっている異様な光景を頭の片隅で認めながら、サイゾウはぼんやりとそんなことを考えていた。

 ニンジャブルーにドロンチェンジしたまま、普段着姿のサスケに抱き付いている。唇に触れるぷにっとした感触。ずっと憧れていた、親友であり、仲間であり、ニンジャレッドであるサスケとただならぬ行為に及んでいる。やってしまったと言う思いと、ずっと願っていたことが出来たと言う喜び、そして、もう、後には引き返せないと言う覚悟まで、今のサイゾウの中でぐるぐると渦巻いていた。

「…んん…ッ!!

 その時、目の前にいるサスケが呻き声を上げた。と同時に、顔を真っ赤にし、大きく見開いていた目をギュッと閉じ、サイゾウの肩に手を掛け、どんと思い切り突き飛ばしたのだ。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!

 顔を真っ赤にし、目にいっぱい涙を溜めて、信じられないと言う表情でサイゾウを見つめるサスケ。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!

 同じように顔を真っ赤にし、目にいっぱい涙を溜めて、複雑な表情を浮かべているサイゾウ。

「…な…ッ、…何だよオオオオッッッッ!!!!サイゾウウウウウッッッッ!!!!

 サスケは思わず怒鳴っていた。

「…ほッ、…本気なのかよオオオオッッッッ!!!?

 その時、サイゾウはふうと大きく溜め息を吐いて、

「…ああ…。…本気だよ…!」

 と言った。そして、

「…オレは、…サスケのことが好きなんだ…!…だから、サスケの写真もこんなにいっぱい隠し撮りしたし、サスケのことを思いながら…」

 と言いながら、ぐっしょりと濡れたニンジャブルーのスーツの股間部分を指差した。その時だった。

「ほれほれ!さっさとサスケの野郎を押し倒して襲っちゃえよッ!!

 横で座敷わらしがサイゾウをけしかける。ところがサイゾウは、

「座敷わらし。ごめん。ちょっと黙っててくれないか?」

 と、サスケから見れば、サイゾウが誰もいないはずの隣りに声を掛けていた。

「サイゾウッ!!お前ッ、この頃、ずっと変だぞッ!?

 サスケが顔を真っ赤にして言う。

「誰もいないところに向かって声を掛けたり、誰かがいるような仕草をしてみたり…!」

 すると、サイゾウはちょっと寂しそうに笑って言った。

「…いるのよ…。…ここに…」

「ああんッ!?オレには何にも見えないねッ!!

「…座敷わらし…」

「…は?」

「…だから…。…いるのよ、…ここに、…座敷わらし…」

「ふざけんなよッ、サイゾウッ!!

 と、その時だった。

 ガクンッ!!

 突然、自分の方へ向かって駆け寄ろうとしたサスケの体がガクンとなったかと思うと、その場で立ち尽くした。

「…サスケ…?」

 一瞬、何が起こったのか分からず、サイゾウは思わずサスケに尋ねる。だがすぐに、

「…あ…!」

 と声を上げ、隣りにいる座敷わらしを見る。

「…フフフ…!!

 両腕をサスケの方へ伸ばし、ニヤニヤと悪戯っぽい笑みを浮かべている。

「…オレのことを信じようとしねえからな…!…だったら、力ずくでも信じさせてやるぜ…!」

「…あ…あ…あ…あ…!!

 サスケは金縛りに遭ったかのように、指一本動かすことが出来ず、サイゾウの目の前に立ち尽くしている。

「…んな…ッ、…何だ…ッ、…これ…ッ!?…動け…ねぇ…ッ!!

 その時、突然、サスケの体が光り始めた。

「…あ…あ…あ…あ…!!

 そして次の瞬間、サスケは光沢のある鮮やかな赤色のスーツのニンジャレッドにドロンチェンジしていたのだ。

「…オ、…オレ…ッ、…ドロンチェンジャーも使ってねえのに、…ニンジャレッドに…!?

「…だから言ったろ…?」

 サイゾウがゆっくりとサスケに近づいて来る。その顔は上気し、ウットリとしてサスケを見つめている。

「…ここに、座敷わらしがいるんだ。…サスケが座敷わらしのことを信じないものだから、座敷わらしが怒ってサスケの動きを封じたのさ…!」

「そう言うこと!あ、でもオレの声もヤツには聞こえないんだっけ?」

 座敷わらしは嬉しそうにクックと笑う。そして、

「さぁ、サイゾウ。一思いにやっちまえよ!」

 と言い放ったのだ。

「…そうだね…」

 サイゾウはニヤリと笑うと、ゆっくりとサスケの方を振り向いた。そんなサイゾウの表情にぎょっとなった。そして、

「…や、…止めろよ…、…サイゾウ…!」

 サスケの声が震える。

「…頼むから、…止めてくれ…。…な…?」

 だが、サイゾウはまるで座敷わらしに操られているかのように、ゆらゆらとサスケに近付いて来る。

「…ッ!?

 そんなサイゾウの体の一点に目が行った時、サスケの目が大きく見開かれた。

 サイゾウのニンジャブルーの、光沢のある鮮やかな水色のスーツに包まれたサイゾウの下半身。その2本の足の付け根に息づく、サイゾウの男としての象徴であるペニス。ぐっしょりと濡れたその部分がテントを張るように真っ直ぐに前へ突き出し、その先端からはトロトロと淫猥な液体を滴らせていたのだ。

「…サ…イ…ゾウ…!」

 サスケの目にうっすらと涙が滲む。そんなサスケの首に腕を回すサイゾウ。そして、

「…好きだよ、…サスケ…!…座敷わらしに感謝しなきゃ…。…このオレに、…サスケ全部って言う幸せを運んで来てくれたのだから…!」

 と言ったかと思うと、サスケの体をグッと抱き寄せ、そのぷにっとした温かい唇に、今度は自分からキスをしていた。

「…わッ、…訳分かんねぇことを言って…!!…んん…ッ!!

 サスケの目が大きく見開かれ、サイゾウの顔を見つめている。サイゾウはその時、目を閉じ、ゆっくりとサスケの唇の感触を味わっていたが、やがてゆっくりと舌を出し、サスケの唇をツンツンと突き始めた。

「…ん…ッ!!…んんんん…ッッッッ…!!!!

 サスケが呻き声を上げる。だが、その隙を狙ってサイゾウがサスケの口の中への侵入を開始した。

「んんんんんんんんッッッッッッッッ!!!!!!!!

 サスケが顔を真っ赤にし、目をギュッと閉じて呻き声を上げる。だが、体は全く自由が利かず、サイゾウを跳ね除けることさえ出来ないでいた。

 …クチュクチュ…ッ!!…クチュクチュクチュクチュ…!!

 淫猥な音がサスケの口の中から聞こえ始め、その音が静かな部屋の中に響いていた。

 

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