トモダチ 第15話

 

 …クチュクチュ…!!…クチュクチュ…ッ!!

 独特の臭いを放ち、湿気のこもるトイレの中で、俺と進ノ介は静かに口付けを交わしていた。

「…ん…、…んふ…ッ!!

 時折、進ノ介が甘い吐息を漏らす。顔を真っ赤にし、その目は閉じられ、体がガクガクと震えていた。

 そんな進ノ介にお構いなしに、俺は自らの舌で進ノ介の口腔を蹂躙する。進ノ介の全てを感じるように、舌を使って隈なく舐め回す。進ノ介の歯、進ノ介の歯茎、進ノ介の舌。俺の舌が動くたびに、それを捕らえようと進ノ介の舌が追い掛けて来る。

 暫くして、俺は進ノ介の口からそっと俺の舌を抜き出し、少しだけ離れてみせた。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!

 顔を真っ赤にした進ノ介が荒々しい呼吸を繰り返す。その目は虚ろになり、俺が支えていないと今にもその場に座り込もうとしたほど、体が重くなっていた。

「…大丈夫か、…進ノ介…?」

 静かに囁くように言う。だが、進ノ介は、

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!

 と相変わらず荒々しい呼吸を続けている。

「…フッ!!

 思わず笑ってしまった。

「…かわいいな、…進ノ介は…!」

 そうは言いながらも、俺は内心、驚いていた。

 俺のコピー元である志友正喜は、女性との関係も持っていなかったはずだ。なのに今、俺は進ノ介をまるで女性のように扱い、優しく抱き止めている。

 それだけではない。進ノ介はもとは俺達ロイミュードの敵・仮面ライダードライブだったはずだ。そんな彼に対して、憎悪の感情が全くなく、むしろ、本当の「トモダチ」といるかのような感覚だった。

「…ハ…、…ハー…ト…!!

 目を潤ませながら俺を見つめる進ノ介。

「…フッ!!

 思わず、整髪料で整えられた進ノ介の頭を撫でていた。

「…感じ過ぎて、…死なないでくれよ…?」

 その時だった。

「…ん?」

 俺は、自分の足に当たる固いものを感じ取っていた。それを見た瞬間、

「…フッ!!

 とまた笑ってしまった。進ノ介が顔を真っ赤にしている。

「…何だ、…進ノ介…」

 俺はそれだけ言うと、その固いものに静かに手を伸ばし、それを優しく包み込んだ。その瞬間、

「ッあッ!!

 と、進ノ介が声を上げ、ビクンと体を跳ねらせた。俺の手の中にあったもの。進ノ介の大きく勃起したペニスだった。

「…キスだけで感じてしまったのか…?」

 そう言いながら俺は、進ノ介のそれを優しく撫でた。すると進ノ介は、

「…んッ!!…んく…ッ、…んは…ッ!!

 と、顔を真っ赤にして喘ぐ。

「…昨日、あんなにたくさん搾り取られたのに…」

 俺は進ノ介の耳元へ顔を近付け、

「…変態だな、…進ノ介…!」

 と言うと、フゥッと息を吹き掛けてみた。

「んんんんッッッッ!!!!

 その瞬間、進ノ介がビクビクと震えた。

「まだまだ搾り取られたいのか?」

 そう言う自分自身に、俺は驚きを隠せなかった。そして、俺の右手は進ノ介の大きく勃起したペニスを握り、スラックス越しにゆるゆると上下に動かしていた。ざわざわと生地の擦れ合う音がするのと同時に、

「…あッ!!…ああッ!!ああッ!!ああッ!!

 と、進ノ介が声を上げる。

「…声、…聞かれてしまうぞ?」

 俺がそう言うと、進ノ介ははっとなったように目を開き、

「…こ、…ここじゃ、…嫌…だ…!!

 と泣きそうな表情で俺に言って来た。

「…何だ、…進ノ介…?…昨日、あんなにたくさんよがっていたのに、…もっとやられたいのか…?」

 俺がそう言うと、

「…ッ!!

 と、進ノ介は言葉を詰まらせる。そんな進ノ介の表情を読み取り、俺はその瞬間、進ノ介のペニスを刺激する手を離した。

「…あ…」

 ピクッと体を痙攣させ、進ノ介が声を上げる。そして、ビクビクと脈打っているペニスを両手で包み込み、モゾモゾとさせた。

「別にいいんだぞ?ここで止めてしまっても…?」

 俺はいつの間に、こんなにサディスティックになっていたのだろう?「トモダチ」に対しては常に友達思いで、こんな性格になったことはないのに…。

「…ハ、…ハート…ぉ…ッ!!

 目を潤ませ、今にも泣きそうな表情で俺を見つめる進ノ介。

「どうした、進ノ介?」

 進ノ介が次に何を言いたいのか分かっていた。だが、俺は敢えてそれを飲み込んだ。

「…うう…ッ!!…ああ…ッ!!

 だが、進ノ介は進ノ介でプライドが邪魔をするのか、口をパクパクさせるだけで言おうとしない。

「言わなきゃ、分からないだろう?」

 それでも敢えて何も言わない俺。

 すると、進ノ介が顔を真っ赤にしながら、ようやく、

「…俺を、…俺を…!!

 と言い始めた。そんな進ノ介を優しく抱き締める俺。

「…どうして欲しいんだ、…進ノ介…?」

「…俺を、…気持ち良く…して…くれ…!!

 そう言った進ノ介の両腕が俺の背中へ回り、ぎゅうううっと力が入ったのが分かった。

「…そうか…」

 俺はそう言うと、進ノ介と見つめ合った。そして、

「…ここじゃ、ムードもへったくれもないからな」

 と言い、

「…ついて来い…」

 と言ってトイレを後にした。

 

 俺達は廃屋のようなところへやって来た。

「…ここ…は…?」

 埃だらけの、あちこち、クモの巣が張っているそこ。

「ここは、俺達がまだ、お前達と戦っていた頃、住処としていたところだ」

 あの頃のままだ。

 俺やブレン、メディック、それに、まだ仮面ライダーチェイサーになる前のチェイスもいた。人間を超える存在を目指そうとしていた俺達。そんな俺達の考え方を変えてくれたのが、今、目の前にいる仮面ライダードライブ・泊進ノ介と、その弟分である仮面ライダーマッハ・詩島剛だった。

「…お前ら、…ここにいたんだ…」

 進ノ介がキョロキョロと辺りを見回す。

「さぁ、始めるぞ、進ノ介!」

 俺がそう言った途端、進ノ介は俄かに顔を真っ赤にし、急にもじもじとし始めたのだ。

「どうしたのだ、進ノ介?」

「…だッ、…だって…ッ!!

 俺は苦笑すると、進ノ介を再び優しく抱き締めた。

「…お前がして欲しいと言ったのだろう…?」

 まるで恋する女性を見つめるかのように、優しく進ノ介を見つめる。

「…ハー…ト…」

 進ノ介の体から力が抜けて行く。

「…じゃあ、…始めようか…」

 俺は優しくそう言うと、進ノ介の体をぐいっと押した。

「…あ…」

 進ノ介が声を上げたと同時に、進ノ介の体がふわりと浮く。そして、ゆっくりと後ろにあったベッドへ倒れ込んだのだった。

 

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