Mr.MOONLIGHT 第18話
ガチャガチャと言う錠前の外れる音と同時に体が光り、次々と仮面ライダーに変身していたワテクシ達。
「…圧巻だなぁ…!!」
周りをぐるりと見回した仮面ライダーグリドンの城乃内が圧倒されたかのように言った。
「…フン…!!」
だが、目の前の黒ずくめの男・狗道供界は鼻で笑うと、
「所詮子供騙し。この私に勝てる訳はないのだ」
と言ったかと思うと、手にはたくさんのロックシードが握られていた。
「ヒマワリロックシード…」
向日葵の種を模ったロックシード。それを見た仮面ライダー斬月・真のメロンの君が声を上げる。
「…行くぞ…!!」
供界の目がギラリと光り、手にしていたロックシードを空へ放り投げた。その途端、空にたくさんのファスナーが現れたかと思うと、そこが開き、その中から無数のインベスが現れた。
「おいでなすったな…!」
仮面ライダーバロンのバナーヌがバナスピア―を握り締めたかと思うと、
「はああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と雄叫びを上げてインベスの群れの中へ突っ込んで行く。
「行くぞオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!」
それを皮切りに、ワテクシ達は同じようにインベスの群れの中へ突っ込んで行った。
「…よし…!」
背後では仮面ライダー冠のラピス君が静かに精神集中を始めている。
「ラピスは、僕が守りますッ!!」
そんなラピス君の目の前で、メロンの君の弟君であらせられる仮面ライダー龍玄の光実きゅんがブドウ龍砲を構え、
「はあッ!!はあッ!!」
と引き金を引く。するとそこから無数の弾丸が飛び出し、迫り来るインベスを次々と爆散させて行った。
「フンッ!!無駄なことを…!!」
余裕の笑みを浮かべる供界。その手には更にヒマワリロックシードが握られている。
「…野郎ッ!!」
仮面ライダー鎧武オレンジアームズの水瓶座の男の子が大橙丸を振り翳し、
「ううっりゃああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と供界に斬りかかろうとしたその時だった。
「…何ッ!?」
供界の目の前に、仮面ライダーナックルのザックが立ちはだかったのだ。そして、まるで供界を守るようにナックルボンバーを構えると、ブンと言う大きな唸り音と共に右手を振り上げた。
ドゴオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!
激しい衝撃音と共に、
「ぐはああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と言う声を上げて、水瓶座の男の子が背後へ吹き飛ぶ。
「紘汰ッ!?」
城乃内が驚く。だがその目の前には、不気味な声を上げるインベスが。
「うわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
「危ねええええッッッッ!!!!」
仮面ライダー黒影の初瀬君が飛び込み、城乃内の体を抱えるようにしてゴロゴロと転がる。そして、
「はああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と、長槍の影松をそのインベスに突き刺した。インベスは不気味な声を上げて爆散する。
「大丈夫かよッ、城乃内ッ!?」
初瀬君が城乃内を起こすと、
「…は、…初瀬…ちゃあん…」
と、城乃内はぐしぐしと泣きべそをかく。
「…ごめんよ…、…初瀬ちゃん…」
「…え?」
仮面ライダー黒影の半円型のバイザーの中で、初瀬君はきょとんとして城乃内を見つめている。
「…お前が、…あの男に操られたのって、…オレの…、…せいだから…。…オレが、…初瀬ちゃんにちゃんと付いていてあげられなかった…から…」
仮面ライダーグリドンの双眼の中で、城乃内の目から涙が零れている。
「…オレが、…初瀬ちゃんから離れなければ、…こんなことには…ならなかった…のに…!」
「ああッ、もうッ!!気にすんなよッ!!」
その時、初瀬君は城乃内の背中を思い切り叩いていた。その途端、
「痛ってええええッッッッ!!!!」
と城乃内が飛び上がった。だがすぐに、
「…初瀬ちゃん?」
と不思議そうな顔をして言った。初瀬君がニコニコと笑っている。
「城乃内ッ!!これからも一緒だぜッ!!」
「…フッ!!」
城乃内も笑うと、
「しょうがねえなあ!!オレがいなきゃ、何にも出来ねえんだからさ!!」
と言うと、
「…初瀬ちゃんッ!!行くよッ!!」
と言い、ハンマー型の武器・ドンカチを握り締めた。
「おうッ!!」
初瀬君は影松を握り締め、
「「うおおおおおおおおッッッッッッッッ!!!!!!!!」」
と言う声を上げてインベスの群れの中へ突っ込んで行った。
「素敵だわッ!!青春そのものだわッ!!ブラボーッ!!」
そんな2人の熱い友情に見惚れ、仮面ライダーブラーボのワテクシは思わず声を上げていた。その時だった。
「俺達も行くか?」
ワテクシの横に、メロンの君がやって来た。
「…ああ…、…メロンの君…!」
仮面ライダー斬月・真の真っ白なライドウェアがキラキラと輝いて見える。
「今日はいちだんと真っ白に輝いて見えますわ…。…何て素敵…」
その時、ワテクシ達の目の前にもインベスの群れがゆらゆらとやって来ていた。
「って、のんびりとお喋りしている暇はなさそうね!!」
ワテクシはそう言うと、ドリノコを握り締めた。
「行くぞッ、鳳蓮ッ!!」
「Oui!(ウィ=はい)どこまでもお供致しますわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
ワテクシもメロンの君と一緒にインベスの群れの中へ突っ込んで行った。
「…あ、…痛ててて…!!」
ザック君に吹き飛ばされた水瓶座の男の子。その体は超人的な体力の持ち主なので、すぐにむっくりと起き上がった。
「何やってるッ、葛葉あッ!!」
バナーヌの怒鳴り声。
「た、大したことねえよッ!!」
水瓶座の男の子も負けじと言い返す。
「…けど…」
目の前にいるザック君は相変わらず無言のまま、水瓶座の男の子と対峙している。
その時だった。
「…ねぇ、…ザック…!」
仮面ライダー黒影・真のペコ君がふらふらとした足取りでザックに近付いて行く。
「…もう、…止めようよ…」
半円型のバイザーの中で、ペコ君は涙をぽろぽろと零していた。
「…こんな戦い、…無意味だよ…。…どうして僕達が、ザックに刃を向けなきゃならないの…?」
「その男は神になるのだから…」
「「…ッ!!!!」」
気が付いた時、供界が水瓶座の男の子とペコ君の背後にぴったりとくっつくようにスゥッと現れた。
「…て、…て…ん…めえ…!!」
驚いた水瓶座の男の子が低い声で唸るように言う。
「…ザックは私が与えた試練を乗り越えた。彼は私の片腕となる男。私がザックを救済し、彼もまた、あなた方を救済するのだ」
「三流の分際で、何を言ってくれちゃってるのかなぁ?三流の分際で、勘違いも甚だしいよ…」
その時、仮面ライダーデュークの戦極凌馬がゆっくりと歩いて来ると、鼻でフンと笑った。
「…戦極…、…凌馬…!」
狗道供界の顔付きが険しくなる。
「君は神なんかじゃない。神の名を騙る、この世への恨みに囚われた、哀れな亡霊だ…!!」