Mr.MOONLIGHT 第19話
「君は神なんかじゃない。神の名を騙る、この世への恨みに囚われた、哀れな亡霊だ…!!」
仮面ライダーデューク・戦極凌馬の蔑んだ目。その視線が目の前にいる黒ずくめの男・狗道供界に注がれている。
「君には何の価値もない!」
その時、凌馬はフッと笑うと、
「君はあそこにいる呉島貴虎のことを酷く嫌っているようだが…。僕からしてみたら、君よりも貴虎の方がもっといい。そもそも、君に貴虎のことをとやかく言われたくもないしね!」
と言った。
「…戦極凌馬…!…戦極凌馬アアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!」
それまでブルブルと体を小刻みに震わせていた供界。その堪忍袋の緒が切れたのか、とうとう目をカッと見開き、その両手に2つのロックシードを持った。
「許さん…!…この私を…、…神であるこの私のことを三流、三流と侮辱し、挙句の果てに私には何の価値もないだと…!?」
「だぁかぁらぁ。そうやって自分のことを神とか言っている時点で、君は三流だと言っているんだ!!」
フンと鼻で笑う凌馬。
その時だった。
「…うぅぅぅぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
供界が顔を真っ赤にして叫び声を上げる。と同時に、その目も不気味に真っ赤に光り、その叫び声がいつしか供界本人の声と、地の底から聞こえて来るような低い声とが入り混じっていた。
「…今に貴様は後悔するだろう…!…この私を、…神であるこの私を侮辱したことをなあッ!!」
そう言うと、供界はその2つのロックシード、ザクロロックシードを戦極ドライバーの中央部へ、そしてブラッドオレンジロックシードをその左側へ同時に填め込んだのだ。
「ロォック・オォン!ブラッドザクロ!狂い咲きサクリファイス!」
「ロォック・オォン!ブラッドオレンジ!邪ノ道オンステージ!」
不気味な声が同時に響いたその瞬間、供界の体が光に包まれた。
「変身ッ!!」
怒りに任せて大声で叫んだ途端、供界の姿が現れた。
「…はぁぁぁぁ…!!」
大きな深い溜め息を吐く。
仮面ライダーセイヴァー。中世の鎧に似たデザイン。毒々しいほどの赤色と銀色を基調とした鎧部分。そして、その姿がやはり亡霊を感じさせるような、鎧のそこかしこにぼろ布が巻かれていた。
「ほぉら、言った通りじゃないか。君はやっぱり亡霊だ。その姿、まるでミイラのようだ!」
クックと笑う凌馬。
「プロフェッサー!!ヤツを挑発するのはいい加減にして下さいッ!!」
仮面ライダーマリカ・湊耀子が見かねて声を上げる。
「戦極凌馬。彼の体から物凄い怨念のオーラが溢れ出ています。これはかなりマズイ状況です…!!」
その時だった。
「はぁぁぁぁああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
不意に供界の姿が見えなくなったその瞬間、
ズガアアアアンンンンッッッッ!!!!バアアアアンンンンッッッッ!!!!
と言う衝撃音と共に、供界と耀子の装甲がスパークする。
「…ぐッ!?…ああッ!!…ぐはッ!!」
「ああッ!!ああッ!!」
そのたびに、2人が悲鳴を上げる。
「…みッ、…見えない…ッ!!…ヤツの動きが、…早すぎるわ…ッ!!」
「…く…ッ!!…三流の分際で…ッ!!」
その言葉が聞こえたのか、供界は姿を現すと、今度は凌馬だけを一方的に狙って来た。片手には、水瓶座の男の子が使用する大橙丸が真っ赤に変色したような刀型の武器、そして、もう片方には、凌馬達が使用するソニックアローに似た弓矢型の武器を持っている。
ズガアアアアンンンンッッッッ!!!!バアアアアンンンンッッッッ!!!!
狂ったようにその両方の武器を振り上げては振り下ろし、振り上げては振り下ろしを繰り返す。
「ぐはッ!!ああッ!!ああああッッッッ!!!!」
その衝撃で跳ね飛ばされ、ゴロゴロと地面を転がる凌馬。だが供界は執拗に凌馬を攻撃し続ける。
「とぉどぉめぇだぁああああッッッッ!!!!戦極凌馬アアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
供界が目を見開き、大橙丸に似た武器を大きく振り上げたその時だった。
「「はああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」」
見るに見かねた仮面ライダーブラーボのワテクシと、仮面ライダー斬月・真のメロンの君はその間へと飛び込んだ。
ギイイイイイイイインンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!
供界の刀剣が振り下ろされようとしたその瞬間、ワテクシはドリノコでそれを防いだ。
「…何…ッ!?」
これには供界も驚いたようで、そう叫んだ瞬間、動きが止まった。
「フフッ!!頭にあまりに血が上り過ぎたのかしらね。周りの戦況を見ていないなんて、ナンセンスだわ。常にどんな状況でも見る、それが戦いの鉄則よッ!!」
その時、
「はああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と言うメロンの君の声が聞こえたかと思うと、眩く光る光の矢が物凄い勢いで近付いて来た。そして、
ズガアアアアンンンンッッッッ!!!!バアアアアンンンンッッッッ!!!!
と言う音と共に供界の装甲にぶち当たり、爆発を起こした。
「ぐわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
これにはさすがの供界も跳ね飛ばされ、ゴロゴロと床を転がった。
「大丈夫かッ、湊ッ!!凌馬ッ!!」
メロンの君が耀子を抱き起こしながら言う。
「主任ッ!!」
そのがっしりとした両腕を握りながら、耀子はゆっくりと立ち上がる。
「ちょおっとおおおおおおおおッッッッッッッッ!!!!!!!!いつまでもメロンの君の腕を掴んでるんじゃないわよッ!!さっさと立ちなさいよッ!!」
その場で地団駄を踏むワテクシ。こんなことだったら、最初からワテクシが耀子を、メロンの君が供界と戦えば良かったんですわッ!!
…あ…。…でも、そうしてしまうと、メロンの君が供界のせいでまた傷付く、なんてこともありえるしぃ…。
「もううううッッッッ!!!!どうすればいいのよおおおおッッッッ!!!!」
パニックになってワテクシは思わず叫んでいた。
その時だった。
「鳳蓮ッ!!上だッ!!」
と言うメロンの君の声がワテクシを我に返らせた。
「うおおおおおおおおッッッッッッッッ!!!!!!!!」
仮面ライダーナックル・ザック君が巨大な拳・ナックルボンバーを振り上げてワテクシに殴り掛かって来た。
「それもお見通しよッ!!」
ワテクシはそう言うと、ひらりとその攻撃をかわす。そして、一瞬、バランスを崩したザック君を羽交い絞めにした。
「今よッ、ラピス君ッ!!」
「何だとおおおおッッッッ!!!!!!??」
供界が驚くのも無理はない。ワテクシ達が2人の動きを食い止めている間に、仮面ライダー冠・ラピス君が真っ青な眩い光に包まれていた。
「…まッ、…まさか…ッ!?」
供界が硬直する。それと時を同じくして、ラピス君が眩しいくらい真っ青な光の弾丸となってザック君に向かって行った。
「行っけええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!ラピスううううううううッッッッッッッッ!!!!!!!!」
仮面ライダー龍玄の光実きゅんが叫び、
「…お、…おお…!!」
と、仮面ライダーバロンのバナーヌがその光景に圧倒される。
「…す、…すっげええええ…ッッッッ!!!!」
仮面ライダー鎧武オレンジアームズの水瓶座の男の子が興奮気味に叫んだ。