逆転有罪 第11話
「おおっとぉッ!!やっと気付いてくれたのかい?」
トンボオージャーの光沢のある鮮やかな青色のスーツ。その手首部分に巻かれた白く細いもの。ほぼ同時に明るい声が聞こえ、ヤンマは真正面を見た。
「んばああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
至近距離に突然現れた顔。しかも、それは目と口が上下逆になっている。それを見た途端、ヤンマは目を大きく見開き、
「ぬぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と悲鳴を上げ、体を仰け反らせた。
「…な…ッ!?…な…ッ!?」
心臓がバクバクと激しく高鳴っている。あまりに驚き過ぎて呼吸が出来ない。
「…おま…ッ!?…おま…ッ!?」
「フフッ!!相当、驚いたようだねぇ…」
スパイダークモノスに王鎧武装したジェラミー・ブラシエリが、その名の通り、逆さになってヤンマの目の前に現れたのだ。しかも、スパイダークモノスのクモをあしらったマスクを外した状態で。
「いやぁ、そんなに驚いてくれるなんて、ボクも逆さで登場して良かったよ」
ニコニコとご機嫌な声で言った時、ジェラミーははっと何かを思い付いたような表情をすると、
「…そうだった…。…お前さんは行間が読めない人だったねぇ…」
と言うと、ニヤリと悪戯っぽく笑ったのだ。
「…ふ…ッ、…ふっざけんなああああッッッッ!!!!この、スカポンタヌキイイイイイイイイッッッッッッッッ!!!!!!!!」
ヤンマの怒鳴り声が響き渡る。
「だッ、誰だって、そんな突拍子もない現れ方をしたらびっくりするだろうがッ、ゴラアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!」
ヤンマのその言葉に、近くにいたヒメノはぷいっと視線を逸らし、リタはコクコクと頷き、カグラギは苦笑する。そんな三者三様の反応を見て、
「おおっとぉッ!!」
と、ジェラミーは肩を竦めた。
「…やれやれ…。…ボクらしい、とっておきの登場の仕方だと思ったんだけどねぇ…」
その時だった。
『ジェラミー・ブラシエリ』
モニター越しに、ラクレスの声が聞こえて来る。
『何をしている、ジェラミー・ブラシエリ?さっさとンコソパ国王を跪かせろ…!!』
「おおっとぉッ!!」
ラクレスの声が聞こえたその時、そう言ったジェラミーの目がギラリと光る。
「…やれやれ…。…地上の支配者さんは相当、せっかちだと見える…」
「…あ?」
その言葉に、ヤンマがピクリと反応し、
「…フッ!!」
と鼻で笑った。
「…そうか…。…てめえも、ラクレスの犬に成り下がった、ってことか…」
「いやいや。ボクはただ、自分にとって最善の方法を考えただけに過ぎないよ」
ニコニコと微笑んでいるジェラミー。だが、その瞳は据わり、ヤンマを侮蔑するように見つめている。
「地底世界と地上世界。その狭間に生きる人間として、どのような生き方が最も生きやすいか、ってね」
「…へぇぇ…。…ご苦労なこったな…」
そう言ったヤンマがジェラミーを睨み付ける。
「…さっきも言ったが、ラクレスがバグナラクと手を結んだところで、バグナラクが信用出来ねえ相手くらい、てめえだって分かってるはずだろ?ラクレスのスカポンタヌキが地上世界を支配した途端、この世界は終わる。バグナラクにあっさりと裏切られてなああああッッッッ!!!!」
「そこでキミの力が必要なのさッ!!」
ヤンマの言葉を遮るように、ジェラミーが声を上げる。その目をギラギラさせて。
「…跪けよ、ヤンマ・ガスト。ラクレスに忠誠を誓うんだ…!!」
「やなこった!!」
フンと鼻で笑いながら、ヤンマが即答する。
「…オレは誰にも媚びねぇ、諂わねぇ。誰が相手になろうと、意地とどタマでぶっちぎるッ!!それがンコソパ総長、ヤンマ・ガストだああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
「…やれやれ…」
暫しの沈黙の後、ジェラミーが肩を竦めて溜め息を吐いた。
「…お前さんには、何を言っても無駄なようだね…」
『フンッ!!』
モニター越しに、ラクレスが笑う。
『所詮はそれだけの男だ。つまらぬプライドだけで、私に靡こうともしない。…そのような者は徹底的に痛め付けるしかないようだ…!!』
その時、オオクワガタオージャーの銀色のマスクが光を帯び、中からラクレスの顔が現れた。怒りから顔と目を真っ赤にして。
『ジェラミー。ンコソパ国王・ヤンマ・ガストを力づくで跪かせろッ!!』
怒りの怒鳴り声が聞こえたその時だった。
「んんんんああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
ヤンマの悲鳴が耳を劈く。
「…や…ッ、…止めろオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!このスカポンタヌキイイイイイイイイッッッッッッッッ!!!!!!!!」
ヤンマの右手が、自身の2本の足の付け根部分に息づく、ヤンマの男としての象徴であるペニスを握り、小刻みに振動を加えていた。
「…ぐ…ッ、…んふ…ッ!!…んんんん…ッッッッ!!!!」
トンボオージャーのマスクの中で顔を真っ赤にし、必死に耐えようとするヤンマ。そんなヤンマの右手に巻き付いた真っ白な細いもの。それを操るジェラミーの目がギラリと光る。
「…物語と言うのは、起承転結。結末へ向かって、徐々に盛り上がって行くものなんだ。時に激しく、時に切なく。お前さんの物語の結末は、どちらだい?」
「…ど…ッ、…どっちでもねええええッッッッ!!!!」
ヤンマの右手、自身のペニスを握るその手がブルブルと震えている。ジェラミーが放ったクモの糸に操られないように懸命に力を入れているようだ。
「オレはッ、誰にも媚びねえっつってんだろうがッ!!オレはオレだッ!!ラクレスやてめえのいいようになって堪るかああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
「…ほう…」
その時だった。
「…じゃあ…、…お前さんにはもっとステキな物語を紡いでもらわないとダメなようだねえ…ッ!!」
大きな溜め息を吐きながらそう言ったジェラミーの目が真っ赤に光った。と同時に、
「うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と言うヤンマの悲鳴が響き渡る。
「…や…ッ、…止めろ…ッ!!…止めろオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
不意に立ち上がった、いや、立たされたヤンマ。その体が大きく仰け反り、仰け反りながら右手は自身のペニスをそれまで以上に小刻みに刺激している。
(…や…、…べえ…ッ!!)
顔を真っ赤にし、眉間に深い皺を刻むヤンマ。その右手はジェラミーの蜘蛛の糸によって操られ、自身のペニスを激しく刺激している。その刺激に、ヤンマのそこが少しずつ反応し始め、芯が入り始めていた。
「…く…っそ…オオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
ヤンマが悲痛な声で叫ぶ。
「…止めろっつってんだろうがああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!このッ、スカポンタヌキイイイイイイイイイイイイイイイイッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「…ククク…!!」
だが、ジェラミーは低く笑うだけだ。
「…キミには、もっとステキな物語を見せてあげよう…」
その目は怒りに真っ赤になり、心なしか、声も低く聞こえる。
「…屈辱と絶望で、プライドも何もかもをズタズタにされる物語をね…!!」