逆転有罪 第26話
ゴッカン国――。
「これより、ギラ・ハスティに対する裁判を行う」
氷のように冷たい空間に、女性の静かな声が響き渡った。
「…ちょ…、…ちょっと…、…待て…!!」
その中で、ギラの声が弱々しく聞こえて来る。どうやらその声が震えているようだ。
「…ど…、…どうして…」
「…は?」
「…だから…ッ!!」
ギラは目をギュッと閉じると、
「どうして僕が白玉にならなきゃならないんだああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と叫んでいた。リタに会うためにやって来たところ、いきなり白玉にされ、氷の玉座の前へ突き出されたのだ。だが、リタは、
「被告人は白玉になる。それがゴッカンの掟だ。お前はただ、私が質問することにただ答えるだけでいい。簡単なことだ」
と言う。
「…だ…ッ、…だぁかぁらああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
寒くて答えられない、そう言おうとした時、
ガァンガァンガァァァァンッッッッ!!!!
と言うリタがオージャカリバーを地面に激しく突き立てる音が響き渡った。
「静かにしろ。さもなくば、貴様を退廷させ、審議は中断。貴様はマイナス10度の牢獄にぶち込まれることになる…」
「…ぐ…ッ!!」
もうあんな凍える場所で何もせず、ただ寒さに震えるだけの生活はごめんだ。ギラは大きく溜め息を吐くと、
「…分かった…」
と静かに言った。
「…罪状はンコソパ国王・ヤンマ・ガストとの猥褻行為についてだ」
「はああああああああッッッッッッッッ!!!!!!??」
リタの口から飛び出た言葉にギラは顔を真っ赤にし、思わず素っ頓狂な声を上げた。
「…話はヒメノからいろいろ聞いている。貴様は嫌がるヤンマ・ガストを無理矢理犯したそうだな?それは強姦罪に相当する…」
「ちょっと待ったああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
思わず、叫ばずにはいられなかった。
「…ぼッ、僕はヤンマを無理矢理犯してなんかいないッ!!」
「だが、ヒメノは、ヤンマはファーストキスを奪われ、ある意味、レイプ状態だったと言っていたが…?」
「そッ、それは…」
思わず顔を真っ赤にするギラに対し、リタは、
「どうした、ギラ?異議申し立てがあるのなら言え」
と言った。
「…レッ、…レイプ状態だったのは…、…ぼ…、…僕なんだ…」
「うほッ!!」
その時、リタが素っ頓狂な声を上げた。
「…え?」
「…あ…、…何でもない…」
リタはそう言うと、
「…ならば…。…お前はヤンマと体を重ね合わせたことに対し、お前はどう思ったのだ?」
と尋ねる。すると、ギラは、
「…嫌じゃ…、…なか…った…」
と、顔を真っ赤にして言った。
「…ヤンマは…、…こんな僕のことを好きだと言ってくれて…、…忠誠を誓うって言ってくれた…。…同年代の友達がいなかった僕にとって、ヤンマは仲間であり、兄さん、みたいな感じで…」
「それで?」
「…そ…ッ、…それで…」
その時、俄かにギラがもじもじし始める。顔は真っ赤になり、視線はきょときょとと忙しなく動いている。
「…キ…、…キスをされた。…僕の…、…いや、ヤンマもファーストキスだって言ってた…」
「うほッ!!」
「…え?」
「続けろ」
「…それから…、…お互いに王鎧武装して…。…ヤンマのアソコが凄く大きくなっていて…。…それを見た僕のも大きくなってしまって…」
「お互いのをどうした?」
「…お…、…お互いのアソコを…、…さ、…触り合って…。…そしたら、ヤンマが…、…ぼ…、…僕の胸を触り始めて…」
「…気持ち良かったのか?」
リタが尋ねると、
「…知らなかった…。…男も感じるんだ、って…」
と、ギラが言う。
「…それで…。…僕は体中の力が抜けてしまって…。…床に倒れ込んだら、ヤンマが僕の両足を持ち上げて…」
「…電気アンマ…、…か…?」
「…って、な、何でこんな恥ずかしいことを言わなきゃならないんだッ!?」
ギラがはっと我に返り、顔を真っ赤にして目を潤ませそう言った時だった。
ガァンガァンガァァァァンッッッッ!!!!
リタが再びオージャカリバーを地面に突き立て、
「言えッ!!さっさと吐けッ!!」
と物凄い勢いで言った。
「それでどうなったッ!?」
「…ど…ッ、…どうなった…、…って…」
ギラはそう言うと、
「…ぼ…、…僕は…、…あまりの気持ち良さに…、…イ…」
「イッたのかッ!?」
「…あ、…ああ…」
「ヴァアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
その瞬間、リタは物凄い叫び声を上げていた。
「…リ、…リタ…?」
「そ、それからどうしたッ!?」
やけに興奮状態のリタ。
「…そ…、…それから…。…ヤ、…ヤンマが…、…僕のアソコをスーツから引っ張り出して…」
「直接刺激されたのかッ!?」
「…う…、…うん…。…そして…、…僕はまた…」
「イッたのか!?」
「…うん…」
「ヴァアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
ギラの言葉に、リタは再び奇声を上げていた。
「…それから…!?…それから、どうなった!?」
ふんふんと鼻息荒く、目を真っ赤に血走らせながらリタが尋ねる。その勢いに圧され、
「…それから…。…僕は…、…ヤンマのアソコを…、…しゃ…、…しゃぶら…された…」
と、ギラが言った。
「だッ、だからッ、半ば、僕が犯されたんだッ!!僕はッ、無罪だッ!!」
「…ふむ…」
コロコロと態度が変わるリタ。
「…確かに、お前からはヤンマに対して何も仕掛けていない。ただ、やらされただけだ。法的には何の問題も無い。…よって…」
リタはそう言うと、
「被告人・ギラは、無罪ッ!!」
と言うと、
ガァンガァンガァァァァンッッッッ!!!!
と言う激しい音と共にオージャカリバーを地面に突き立てた。その瞬間、
「…あッ、当たり前だああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と言うギラの叫び声が部屋中に響き渡ったのだった。