歪んだ友情U 第1話
あのドクター・オブラー、尾村豪が、イエローライオン・大原丈を倒した…!
その一報は、宇宙に静かに漂うヅノーベースに瞬く間に広がっていた。
「…いかがでございますか、大教授ビアス様…!」
誇らしげな顔でヅノーベースの大広間・謁見の間で跪く豪。
「…」
目の前には、見た目は白髪混じりの中年なのだが異様なほど精気が漲り、年齢を感じさせない風体の男性がいた。武装頭脳軍ボルトの首領・大教授ビアス。静かに豪を見下ろしている。
「…ッ!!」
そんな豪の横には、青緑を基調とした軍服のようなものに身を包んだ男性がいた。ドクター・ケンプ。豪の同級生にして、今まで散々、豪をバカにして来た男。その男が、豪を憎々しげに睨み付けている。
そして、そんなケンプの横には、真っ赤な鎧のようなものに身を包んだ女性。ドクター・マゼンダ。こちらも豪の同級生にして、今まで散々、豪をバカにして来た。そんな彼女は今、豪を気味悪そうに見ていた。
「私の親友であり、私が愛すべき丈を完膚なきまでに叩きのめし、今では私の奴隷となり下がっているのです。代わりに、ライブマンにはもう1人の丈、頭脳獣ジョウヅノーを放り込みました。ジョウヅノーは本物の丈の精液、言い換えれば、彼の遺伝子から造られた頭脳獣。行動パターンも性格も全て本物の丈と同じです。ライブマンに疑われることはないでしょう」
「…うう…ッ!!」
その言葉を聞いた途端、マゼンダは口元を押さえ、
「汚らわしいッ!!…男が、…男をだと…!?…汚らわしいわ…ッ!!」
と喚き、大広間を出て行った。だが豪は、
「…フン…!」
と鼻で笑うと、
「方法なんて何だっていいのです!要は勝つか、負けるか…」
と言い、横に立っているケンプを見上げ、
「そうだよね、剣史?」
と言ったのだ。
「きッ、貴様ぁッ!!」
自分の本名を言われ、頭に血が上ったケンプ。ズカズカと豪に近寄ろうとしたその時だった。
「止めよッ、ケンプッ!!」
真っ白な手袋に包まれた手がケンプを制する。ビアスが豪とケンプの間に入っていたのだ。
「ビッ、ビアス様ッ!!」
何か言いたそうなケンプ。だが、ビアスはそんなケンプを放っておくかのように、クルリと踵を返し、豪の方へ向いた。そして、
「…確かに、豪の言う通りだ」
と静かに言った。
「お前は最初に言ったな?結果こそが全て、と。そしてお前は、ライブマンの1人・イエローライオンを倒した」
その時、ビアスの右手が豪の左頬を撫でる。そして、静かに微笑みを浮かべたかと思うと、
「よくやった、ドクター・オブラー」
と言った。その時、ピピピピッ、と言う音が聞こえ、ビアス、ケンプ、豪の背後に大きな点数表が現れた。
「…な…ッ!?」
その点数表を見た瞬間、ケンプが言葉を失う。
「…オレが…!!…このオレが、…こんなヤツに、…抜かれる、…なんて…ッ!!」
大きな点数表のケンプと豪の欄には、3ケタの数字が表示されており、豪のそれはケンプのそれを大きく上回っていた。
「悔しかったら、お前も結果を出すのだ、ドクター・ケンプ!!」
ビアスの大きな声が、謁見の間に響いた。
「…ふぅ…!!」
豪は地球の自分の家に戻って来た。
「お帰りなさい、豪様」
コツコツと足音を響かせて、1人の男性の声が聞こえた。
「…丈ぉ…ッ!!」
その者の顔を認めた途端、豪が笑顔になり、その男の胸へと飛び込んだ。
上半身は黄色を、下半身は白を基調としており、全体的にキラキラと輝いている。肩から臍へかけてVラインのように白い線が入り、その中心にはライオンの意匠が施されている。
更にその服は、その男の体にぴったりと密着し、体付きをくっきりと浮かび上がらせていた。腕、足、胸、腹の肉付きは言うまでもなかった。特に、彼の男子としての象徴である部分も柔らかな膨らみを形成していた。
ツッパリのように髪の毛をワックスで固め、優しい眼差しで豪を見下ろしている。イエローライオン・大原丈。
彼は、元は豪と対立していた。ケンプ、マゼンダ、豪が所属する武装頭脳軍の地球侵略を阻止すべく立ち上がった超獣戦隊ライブマンの一員だった。だが、豪の巧みな罠に堕ち、今では快楽と豪を守るために生きる奴隷と成り下がっていた。
「丈ッ!!ビアス様に褒められたよッ!!あのドクター・ケンプやドクター・マゼンダよりも成績が良くなったんだ!!」
「良かったですね、豪様」
豪を優しく抱き締める丈が、右手を豪の頭の上に置き、くしゃくしゃと撫でた。
「…丈…」
「…豪…様…」
2人の顔がゆっくりと近づいて行き、
…チュッ!!…クチュクチュ…ッ!!
と言う淫猥な音を奏で始めた。
「…ん…ッ!!…んん…ッ!!」
「…は…ぁ…ッ!!…ああ…ッ!!」
お互いの熱い吐息が混ざり合う。その時だった。
「んんッ!!」
突然、丈が呻き声を上げたかと思うと、ビクビクと体を跳ねらせた。
「フフッ!丈ったら、相変わらず感度がいいんだね!」
豪の右手が、丈の股間を静かに撫でていたのである。
「…ご、…豪…様…ッ!!」
豪を抱き締めたまま、顔を赤らめ、恥じらいながら豪を見下ろす丈。だが、その表情とは裏腹に、丈のペニスは大きく勃起し、硬さを増していた。
「…ねぇ、…丈…」
キラキラと輝く笑みを浮かべ、丈を見上げる豪。
「僕は、もう1人、ライブマンを倒すよ!」
「…え?」
その言葉に、丈は思わず聞き返した。
「僕の成績を更に上げるためさ!ジョウヅノーだって、やつらにいつ、バレるか分からない。ぐずぐずしている暇はないんだ!さっさと次の行動に打って出なきゃ!」
その時だった。不意に丈がニヤリと笑ったのだ。そして、
「…分かりました。…お手伝いしますよ…!」
と言った。
「…いいの!?」
嬉しそうに言う豪。すると丈は、
「はい。オレは豪様の奴隷ですから!任せておいて下さい!」
と悪戯っぽくウィンクしてみせた。
「でッ、でもッ!!」
豪が何かを言い掛けた。すると丈は、再び豪を強く抱き締め、
「…オレが、…豪様を守ります。…今のオレには、…ライブマンなんて、…もう関係ない!!」
と強く言ったのだった。