歪んだ友情U 第8話

 

 ドブッ!!ドブドブドブドブッッッッ!!!!ドブブブブブブッッッッッッ!!!!!!

 何かを打ち付けるような鈍い音が、薄暗くカビ臭い一軒家に響き渡った。そして、

「ああッ!!ああッ!!…ああああッッッッ!!!!

 と言う若々しい声も。

「…ふ…ッ!!…く…うう…ッ!!…あはあ…ッ!!

 クモの巣だらけの部屋の中央で、一人の若者が体をビクビクと跳ねらせ、淫らに喘いでいた。キラキラと光沢のある、体に密着するような服を纏っている。上半身は黒、下半身は白。その体に密着するような服のせいで、彼の体付きがクッキリと窺えた。

 ブラックバイソン・矢野鉄也。彼は今、経験したことのなかった地獄に突き落とされていたのである。

「…スッゲェ…!!

 そんな鉄也の横では、鉄也と同じようにキラキラと光沢のある、体に密着するような服を纏った別の男がいた。上半身は黄色、下半身は白。イエローライオン・大原丈だ。

「さすが、若ケェだけあるよな!大量に出たみてぇだな!」

 丈の目はギラギラと光らせ、不気味に笑っている。

「…ああッ!!…ああああッッッッ!!!!

 その時、鉄也が更に喘ぎ声を上げ始めた。

 ジュルルルッッッ!!!!ジュボジュボジュボッッッッ!!!!

 淫猥な音が、鉄也の足元から聞こえ始める。そこにはなんと、もう一人のイエローライオン・大原丈がいたのだ。その丈は鉄也の大きく勃起したペニスを光沢のある白い生地ごと口の中に含み、淫猥な音を立てていたのである。先に聞こえた何かを打ち付けるような鈍い音は、鉄也が丈の口の中へ、精液を放った音だったのである。

「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 全てを吸い取られるような刺激に鉄也の顔色が少しずつ変わって行く。それまでは顔を赤くさせ、目を虚ろにしていたのが、今では顔を更に赤くさせ、目はカッと見開き、首筋と額に血管が浮き出ていたのである。

「…もう…ッ!!…止めてくれええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!

 射精したばかりのペニスの先端を更に刺激され、痛みと快楽が一気に押し寄せる。それよりも、同じ超獣戦隊ライブマンとして戦い、鉄也自身も尊敬していた丈が自分に淫乱な行為をはたらいている。更に、そんな丈が2人もいる。それはつまり、丈が武装頭脳集団ボルトに洗脳され、丈と同じ遺伝子を持つ頭脳獣が生み出されたと言うことを意味していた。

「…ククク…!!

 鉄也の目の前には、もう1人、男がニヤニヤと笑いながら佇んでいた。その時だった。

「…うあ…!!

 不意に体が自由になったのを覚えた鉄也。射精し、疲労困憊状態にあった鉄也は思わずバランスを崩し、ドスンと言う音を立てて床へ尻をついた。その風圧で、床にあった埃が舞い、太陽の光を浴びてキラキラと輝いた。

「…はぁ…ッ!!…はぁ…ッ!!

 荒い息をして、目の前の光景を見つめる鉄也。その目からは涙が伝った。

「…じょ、…丈…さん…!!…どうして、…こんなことに…!!

 すると、2人の丈は鉄也の目の前に立っていた男、ドクターオブラーこと尾村豪を挟むようにして立った。

「オレはライブマンを辞めたんだ!そんなものより、今、ここにいる豪様に忠誠を誓ったのさ!」

 そう言った丈は鉄也のもとへ近付くと、呆然としている鉄也の頬に手を添え、

「…お前も、…すぐに分かるさ…!」

 と言った。

「…な、…んだ…と…!?

 そう言って鉄也は丈に掴み掛かったその時だった。

「おぉっと!」

 丈が不意に立ち上がり、後ろへ下がり始めた。

「…あ…あ…あ…!!

 丈の肩を掴んでいた鉄也は、そのまま引き摺られるような格好になり、

「うわああああッッッッ!!!!

 と言う無様な悲鳴を上げて前のめりに倒れた。そんな鉄也の尻は埃で茶色く変色し、丸い茶色の模様が出来上がっていた。

「ヒャーハハハハ…ッ!!

 それを見ていた豪が下品な笑い声を上げる。だが、ふと何かに気付いたかのように、

「おおっと、いけない!」

 と言い、大きな容器を取り出した。そして、

「さぁ、ジョウヅノー。あいつの精液をここへ出しちゃってよ!」

 と言ったのである。

「…ん…」

 すると、今まで豪の横に静かに立っていた丈が、豪の差し出した容器に口を付けたかと思うと、真っ白な液体をトロトロとその容器の中へ出し始めたのである。

「…ううッ!?…うわああああああッッッッッッ!!!!!!

 床にうつ伏せに寝転がったまま、鉄也が悲鳴を上げる。

「…ぷはッ!!

 ジョウヅノーがようやく声を上げ、

「…あ〜あ…、…もう少しで鉄也の精液を味わえたのになぁ…!」

 と言い、ニヤリと笑った。

「…やッ、止めろおおおおッッッッ!!!!

 鉄也が顔を真っ赤にして叫ぶ。

「ダメだよ、ジョウヅノー。鉄也の精液は、最強の頭脳獣を作るための材料なんだからさ!」

 すると豪は、ツカツカと鉄也へ歩み寄ったかと思うと、鉄也の顔を踏み付け始めた。

「…んぐ…ッ!!…ああ…ッ!!…うう…ッ!!

 グリグリと頭や頬を踏まれ、鉄也が思わず呻く。

「…喜ぶがいい、ブラックバイソン!…お前と丈、ジョウヅノーの遺伝子を使って、最強の頭脳獣が作り出されることをな!…お前と丈はパワーファイター系。そんな2人の遺伝子を組み合わせれば、今までになかった最強の頭脳獣が作り出せるんだ!…ククク…、…ヒャーハハハハ…ッ!!!!

 豪は勝ちを確信したかのように、下品な声で高笑いを始める。

「…く、…くっそおおおお…ッッッッ!!!!

 拳を握り、目を硬く閉じる鉄也。ブラックバイソンの黒いグローブがギリギリと音を立てた。

「…さて…」

 その時、豪がそう言ったかと思うと、

「…何だか、…疲れた…」

 と言った。そして、

「ねぇ、丈」

 と、鉄也の目の前にいた丈を呼んだ。

「何でしょうか、豪様?」

 クルリと鉄也に背を向け、恭しく跪く丈。

「…ねぇ、奥の部屋で僕を愛してよ…」

 その豪の瞳の違いに、鉄也は思わず呆然となった。それまで、自分を見つめていた悪意に満ちた目から一転、今は恋する乙女のように頬を赤らめ、潤んだ瞳で丈を見つめていたのである。すると丈は、

「かしこまりました、豪様」

 と言って立ち上がると、豪をお姫様だっこするかのように膝下から掬い上げ、軽々と持ち上げたのである。

「…く…ッ…!!

 何とかして立ち上がろうとする鉄也。その時だった。

「僕と丈が消えれば、目の前にいるのは丈の姿をした頭脳獣だと言い切れるのかい?はっきりとした確証もないのに?」

 

第9話へ