歪んだ友情W 第4話
「悪いけど、その願いは僕達が消させてもらうよ!」
下衆な笑いと一緒に聞こえた声に、レッドファルコン・天宮勇介とブルードルフィン・岬めぐみは憐憫な表情を見せ、ドクター・ケンプとドクター・マゼンダは憎悪の感情を滾らせた。
「…オブラー…!!」
4人は目をギラギラさせながらニタニタと不気味に笑っている豪を睨み付ける。だが、豪はフンと鼻で笑うと、
「おやおや、落ちこぼれの4人組が僕をそんな目で見るなんて…!…あ、もしかして、僕のことが羨ましいのかい?この、天才的な、全てに卓越した僕が…!」
と言うと、また下衆な笑い声を上げた。そして、
「…おっと。…君達が落ちこぼれ4人組なら、僕には僕のことを守ってくれる素晴らしい4人組がいるんだよね…!」
と言うと、背後に控えている4人をちらりと見やった。そこには、イエローライオン・大原丈、彼のコピー体であるジョウヅノー、ブラックバイソン・矢野鉄也、そして、グリーンサイ・相川純一が立っていた。全員、光沢のある鮮やかな白を基調とし、それぞれのスーツカラーである黄色、黒、緑を混ぜ合わせた、体にぴったりと密着するスーツを身に纏っていた。
「オブラーッ、貴様ああああッッッッ!!!!」
ケンプが怒り狂い、
「いやああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と突進して行く。だが、豪は、
「…フン!」
と一瞥すると、
「…さぁて、誰から行く?」
と、後ろに控えていた丈達を見つめた。すると鉄也が、
「俺が行きます!」
と、手にバイソンロッドを持って豪達の前に立った。
「うおおおおおおおおッッッッッッッッ!!!!!!!!」
ケンプが怒り狂って突進して来る。その時、鉄也のバイソンロッドが不気味な色を帯び始めた。
「…ッ!?ケンプッ、危ないッ!!」
その強烈な殺気を感じ取ったマゼンダが思わず駆け出す。
「マゼンダッ!?」
めぐみが何かに気付いたかのように悲鳴に近い声を上げる。
その時だった。
鉄也がバイソンロッドをブンと振り回したかと思うと、
「バイソンフラァッシュッッッッ!!!!」
と、その切先を投げ付けるように、一気に振り下ろしたのだ。
「何ッ!?」
ケンプの悪い癖だった。今までも何度も見たことのある鉄也の攻撃。それを見くびっていたのかもしれない。だが今は、強烈な殺気を帯びた鉄也のそれだ。その威力もそれまでとは全く異なっていた。その激しい閃光がケンプに襲い掛かって来る。
「ケンプううううッッッッ!!!!」
「止めてええええッッッッ!!!!」
勇介とマゼンダの叫び声が重なったその時だった。
バリバリバリバリッッッッ!!!!
物凄い電撃の衝撃音が聞こえたかと思ったその瞬間、
「ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と言うマゼンダの悲鳴が辺り一面に響き渡った。
「マッ、マゼンダああああッッッッ!!!!!!??」
ケンプの目の前に、ケンプを庇うようにして立ちはだかったマゼンダが、バイソンフラッシュの激しい稲妻に絡め取られていたのだ。
「「マゼンダああああッッッッ!!!!」」
勇介とめぐみがケンプとマゼンダに駆け寄る。
「…ああ…、…ううう…!!」
全身を機械に改造したマゼンダは、体のあちこちがショートし、回路がところどころで飛び出し、スパークしていた。
「…き…さ…まああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
目を真っ赤に血走らせたケンプが立ち上がると、
「恐獣変身ッ!!」
と呻くような声で言い、
「はああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と絶叫した瞬間、ケンプの体を激しい炎が包み込む。そして、次の瞬間には、それまでの美しさを兼ね備えたケンプの姿はどこにもなく、全身毛だらけの、まさに野獣のような姿の恐獣ケンプへと変身していたのだった。
「…行くぞ…!!」
体をブルブルと震わせながら呻くように言うと、ケンプの体を再び激しい炎が包み込んだ。
「ケンプデーモンフレアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!」
激しい炎の塊となったケンプが物凄い勢いで豪へと突っ込んで行く。だが、その時だった。
「おっと!」
豪の前には、ジョウヅノーが立ちはだかっていた。そして、
「だあああありゃああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と言う気合いと共に、右拳を思い切り前へ突き出したのだ。その途端、
ドゴオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!
と言う鈍い音共に、
「ぐほおおおおううううッッッッ!!!!」
と言うケンプの呻き声が聞こえた。
「…お…、…おぉぉ…!!」
ケンプの目がカッと見開かれ、体をくの字に折り曲げている。
「…ククク…!!」
ジョウヅノーの右拳が、ケンプの腹に減り込んでいた。
「…残念だったなぁ、ケンプぅ…!」
ギラギラと光る目を輝かせて、ジョウヅノーが笑った。
「お前らの技など、とうの昔にお見通しだ!!今まで何度も見て来たんだからなあッ!!」
そう言ったジョウヅノーの右足がブンと言う音と共に振り上げられたかと思うと、
ドゴオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!
と言う激しい衝撃音と共に、
「ぐはああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と言うケンプの悲鳴が聞こえ、そのまま後方へと吹き飛んだ。
「ケンプううううッッッッ!!!!」
勇介が駆け寄る。
「…ど、…どうなっているのだ…!?」
ケンプが信じられないと言う表情で言う。
「…今までのやつらとは、…全く違う…!!」
「…こんなに、…強い…なんて…!!」
めぐみに支えられてマゼンダも勇介とケンプのもとへやって来た。すると勇介は、
「…これが、…本来のあいつらの力だ…!!」
と呻くように言った。
「…普段、人間として理性を保っているあいつらは、無意識のうちにその力をセーブしているはずだ。…だが今は、豪の洗脳によってその能力を100%、いや、200%引き出されているに違いない。…だから今のあいつらは今までのあいつらと思ってはいけないんだ…!!…こっちも全力でやらなきゃ、…確実に殺される…ッ!!」
勇介はそう言うと、
「行くぞッ、めぐみッ!!」
と言い、両手に付けられたツインブレスを煌めかせた。
「「ライブマンッ!!」」
そう言いながら、勇介とめぐみはツインブレスを重ね合わせるようにする。その瞬間、2人の体が光に包まれ、勇介は光沢のある鮮やかな白と赤を基調としたレッドファルコンに、めぐみは光沢のある鮮やかな白と青を基調としたブルードルフィンに変身していた。