どっちもどっち 第2話
翌日――。
「「「「「オーラマスクッッッッ!!!!」」」」」
5人は掛け声と共に体中からオーラパワーを引き出し、マスクマンへとオーラチェンジして鍛錬に勤しんでいた。ケンタはブラックマスクに、アキラはブルーマスクにオーラチェンジしている。
「はああああッッッッ!!!!はいッ!!はいッ!!はいいいいいッッッッ!!!!」
アキラは中国拳法の達人で、ぴょんぴょんと軽やかに飛び上がってはトンファー型の武器・マスキートンファーを振り回し、技を決めていた。
「うおおおおおおおおッッッッッッッッ!!!!!!!!」
何だか、無性にむしゃくしゃする。華麗なはずの技に、いつの間にか、力が篭っていた。その光景を見ていたレッドマスク・タケルとイエローマスク・ハルカ、そして、ピンクマスク・モモコは唖然とし、ただならぬ殺気に圧倒されていた。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
だが、暫くするとアキラは息を上がらせ、その場に蹲った。そして、
「…ふぅ…!!」
と、ガックリと座り込んでしまった。その時だった。
「どうしたんだよぉ、アキラぁ?」
横から声が聞こえたかと思うと、ケンタがロッド型の武器・マスキーロッドを両肩に乗せてゆっくりと歩いて来た。そのマスクの中で、タケルの目がニヤニヤとしているのが見えていた。
「…べッ、別にッ!!」
ブルーマスクのマスクの中で顔を真っ赤にし、プイッとそっぽを向くアキラ。するとケンタはフッと笑って、
「相変わらずお子ちゃまだねぇ、アキラは!!」
と言ったのだ。
「んなッ!?」
『お子ちゃま』と言う言葉がやけに引っ掛かる。ケンタが続けて、
「そのイライラは、この間、話していたイメージチェンジのことが原因か?」
と言うと、
「…べッ、…別にッ!!…ケ、ケンタには関係ないだろッ!?」
と言った。するとケンタは、
「だからさぁ!」
と、カランと言う音を立ててマスキーロッドを地に投げ捨て、アキラの左横へ来るとそっと右肩を抱いた。
「?」
アキラは思わずケンタを見上げる。ケンタはニッコリと、いや、アキラをバカにしたように見つめて、
「お前にはイメージチェンジは似合わないの。やったって無駄なんだから、止めとけって!!」
と言ったのだ。
「…うぅ…ッッッッ!!!!」
アキラの体がブルブルと震えている。そんなアキラにとどめを刺すかのように、
「もっと現実を見ろよ、ア・キ・ラちゃん♪」
とケンタがからかうように言った。その時だった。
ブチッッッッ!!!!
何かがキレる音がした。
「うおおおおッッッッ!!!!」
突然、アキラが大声を上げて立ち上がったかと思うと、ケンタの腕を振り解いた。
「ッッッッ!!!?」
びっくりしたのはケンタだった。アキラに釣られるように立ち上がり、ヨロヨロとよろめく。
「…いつまでも…!!」
「…ア…キ…ラ…!?」
呆然とするケンタ。アキラの体の周りに怒りのオーラが見えている。すると、アキラは、
「いつまでもガキ扱いするなああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と絶叫に近い叫び声を上げたかと思うと、その右拳をグンと前に突き出した。その先にはマスキートンファーが。そして、
ドゴオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!
鈍い音が辺りに響いた。
その時だった。
「…ぐ…、…お…!!」
「…あ…ッ!?」
無我夢中で突き出した右拳が何か柔らかいものに触れたと思った瞬間、アキラは言葉を失った。
「…あ…、…が…ッッッッ!!!!」
マスキー・トンファーがぶつかった先はなんと、ケンタのガッシリとした2本の足の付け根部分。そこに息づく、ケンタの男としての象徴であるペニスとその下に息づく2つの球体が作り出すふくよかな膨らみに、アキラのトンファーが見事に減り込んでいる。
「…お…、…お…、…おおおお…ッッッッ!!!!」
息が出来ないのか、時々、変な声を上げるだけのケンタ。ブラックマスクのマスクの中で、ケンタは目を見開き、顔を真っ青にしている。
「…ケ、…ケン…タ…!?」
アキラもようやく事が理解出来たのか、恐る恐るケンタに声をかける。ブルーマスクのマスクの中で、ケンタと同じように顔を真っ青にして。そしてトンファーをゆっくりと引っ込めた時だった。
「…おお…、…おおおお…ッッッッ!!!!」
ケンタの両腕がゆっくりと動き、自身の股間をそっと包み込んだ。そして次の瞬間、
ドサッ!!
と言う音を立ててケンタの体が崩れ落ち、股間を押さえたまま、その場に蹲ってしまった。
「…ぐ…ッ!!…うぅ…ッ!!…おぉ…ッッッッ!!!!」
ケンタは体をピクリとも動かさず、呻き声だけを上げ続ける。
「…あ、…あの…。…ケ、…ケンタ…?…大丈夫…?」
どのくらい時間が経っただろう。アキラはようやくケンタの名前以外の言葉を口に出した。
「…あ…、…ア…キ…ラ…ぁ…ッ!!」
ブルブルと体を震わせながら、ケンタがアキラの方を見る。マスクがゆっくりと動いて行く。
「ひッ!?」
ブラックマスクのマスクの中のケンタの目が血走り、その体からは怒りのオーラが溢れ出る。
「…ご、…ごめんね、ケンタ…!!」
「…アキ…ラ…。…アキラああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
ゆらゆらとケンタが起き上がる。
「ッッッッ!!!?」
そこでアキラは凝然となった。
ケンタの男としての象徴・ペニス。平常時からその存在感を表していたそこが今では完全に勃起し、黒い光沢のあるスーツの中で真っ直ぐに臍へ向かって伸びていたのだ。先端がクッキリと浮き出た、太く長いそれは太陽の光を受け、光沢が反射し、妙な違和感を浮き立たせていた。
「…アキラぁ…!!…てんめええええッッッッ!!!!」
じりじりとアキラに歩み寄るケンタ。
「…ケ、…ケンタ…ぁ…!!」
じりじりと後ずさるアキラ。その目に涙が滲む。
「…覚悟は出来てんだろうなぁッ、あ゛あ゛ッッッッ!!!?」
「…ご、…ごめんってばッ!!ケンタあッ!!」
アキラが必死にあやまるが、ケンタは鼻息を荒くし、
「ごめんで済んだら、警察はいらねえんだよオオオオッッッッ!!!!」
と言ったかと思うと、そのガッシリとした体を宙に浮かせた。
「アーキーラーアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!」
「うわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
その瞬間、ケンタがアキラに飛び掛って来た。