どっちもどっち 第3話
姿レーシングの研究所。または、自分達が生活している居住空間。
「うわああああッッッッ!!!!」
ブルーマスクにオーラチェンジしたままのアキラは、ブラックマスクにオーラチェンジしたケンタに無理矢理引っ張られ、半ば、抱きかかえられる状態になってケンタの部屋へ放り込まれた。
ボスンッ!!
ケンタよりも身軽なアキラはその力には勝てず、物凄い音を立てて無造作にベッドの上へ放り投げられた。その衝撃でベッドの上の雑誌などが飛び跳ね、あるものは床に落ち、あるものは周りに飛び散り、埃が舞った。
「…ケ、…ケ…ン…タ…!?」
アキラが起き上がろうとする。ブルーマスクのマスクの中で、アキラは顔を真っ青にしていた。
「…アキラぁ…ッ!!…覚悟はいいんだろうなああああッッッッ!!??」
目の前には仁王立ちになり、指をバキバキと鳴らしているケンタがいた。ブラックマスクのマスクの中のケンタはアキラとは逆に顔を真っ赤にし、目を大きく見開いていた。
「…ケ…ンタ…。…ごめん…!…ごめんってば…!!」
アキラの声が微かに震えている。だが、ケンタは目をカッと見開くと、
「さっきも言ったよなあッ!?ごめんで済めば、警察なんていらねぇんだよオオオオッッッッ!!!!」
と言った。
(…それは…、…ちょっと違うんじゃ…)
正直、アキラがそう思った途端、目の前に黒い物体がダイブして来た。そして、それがアキラの体に伸し掛かったのだ。
「うわああああッッッッ!!!!」
甲高い悲鳴を上げるアキラ。その瞬間、体の上にずしりと圧迫感を感じた。
「…さぁ、動けるもんなら動いてみやがれッッッッ!!!!」
ケンタはニヤニヤと笑いながら、アキラの上に伸し掛かっていた。
「…ちょ、…ちょっと…、…ケンタ…ッ!!…本気…ッ!?」
アキラの顔が引き攣る。
「…ククク…!!」
ケンタは低く笑うと、
「…大人の本気を、お前に教えてあげなきゃいけねぇようだな?」
と、囁くように言う。
「…ッッッッ!!!!」
その声に、アキラは思わず息を呑み込んだ。そして、
「…お、…重いよぉ、ケンタぁ…」
と、猫撫で声で言ってみた。だがケンタは、
「甘えた声を出してもダメ!」
と言い、アキラの華奢な体の上にずっしりと伸し掛かかったまま、身じろぎ一つしない。アキラは思わずカッとなると、
「重いんだってばッ!!うどの大木ッ!!」
と怒鳴った。するとケンタは、
「ガキに言われたくないねッ!!」
と言い、アキラの背中へ両腕を回すと、思い切り抱き締めた。
「なッ!?…ちょ、ちょっとッ!!ケンタあッ!?」
アキラの背中へ回されている腕の力が徐々に強くなって行く。
「…ケ、…ケンタ…ぁッ!!…痛い…よ…ッ!!…放し…て…よッ!!」
ギリギリと締め付けられる感覚がして、アキラは何とか体を動かそうとするが、思うように動かない。
(…な…ん…で…!?)
動かそうと思えば動かせるはず。その時、アキラは自身の無意識の中に存在するものに戸惑いを隠せずにいた。
(…あった…かい…!)
「…温けぇなぁ、アキラは。さすがはガキ。ガキは体温が高いって言うもんなぁ!」
その声に、アキラははっと我に返る。
「…なッ!?」
ケンタがまたひっかかる言葉を口にした。
「ガキガキ言うなってのッ!!重いんだから、早くどいてよッ!!みちるちゃんに怒られちゃうだろッ!?」
アキラがケンタの両肩を掴みながら言う。
「みちるちゃん」とは、オーナーであり、長官である姿三十郎をアキラがもじったものである。と、その時だった。
「んあッ!!」
突然、とある刺激がアキラに素っ頓狂な声を上げさせた。
「…ケ、…ケン…タ…!?」
ケンタの両腕がアキラの体をゆっくりと撫でていた。体の側面、脇からゆっくりと指を妖しく滑らせ、その指が肋骨から腰の方へ下りて行くたびに、アキラの体にゾクゾクとした悪寒が走った。
「…」
ケンタは何も言わず、ただひたすらアキラの体を撫で続ける。
「…あッ!!…ああッ!!…んん…ッ!!…ひッ、ああああッッッッ!!!!」
アキラの体に電流が流れるたびに、アキラが艶かしい声を上げる。
「…ちょ、…ちょ…っと…ッ!!…や、…止めて…よ…ッ、…ケン…タ…ぁ…ッ!!」
「…ククク…!!」
ケンタが低く笑う。
「感じちゃうだろう?気持ちいいだろう、アキラぁ?」
「…ッッッッ!!!!」
アキラはマスク越しにケンタの目を見た。その目はニヤニヤと笑いながら、ギラギラと輝いていた。その間にも、ケンタのアキラへの愛撫は容赦なく続いて行く。
「…ああッ!!…んあ…ッ!!…く…あぁ…ッ!!…ひああああッッッッ!!!!」
ビクビクと体が跳ねる。しかし、それをガッシリと押さえ込んでしまうケンタがいた。
「…言ったろ?…大人の本気を教えてやるって…!!」
ケンタの低い声が、アキラの耳元で囁くように言う。そして、今度は、アキラの両腕を頭上へ上げたかと思うと、左腕でガッシリと固定した。
「…ケ、…ケンタ…ぁ…ッ!!…ごめん…なさい…ッ!!…もう、…許して…ッッッッ!!!!」
アキラの目にうっすらと涙が浮かんでいる。だが、ケンタは、
「いいやッ、許さねえッ!!」
と言い、ブラックマスクのマスクがブルーマスクのマスクにぶつかる。その瞬間、2人のマスクが消えていた。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
アキラは怯えた表情でケンタを見ている。その目尻に涙が浮かんでいる。
「…ククク…!!」
ケンタは意地悪く笑いながらアキラを見下ろすと、
「…アキラ…。…お前を、…たぁっぷりと…、…気持ちよくしてやるよ…!!」
と言ったかと思うと、アキラの唇と自身の唇をゆっくりと合わせた。