どっちもどっち 第9話

 

「…んん…ッ!!…んんんんッッッッ!!!!

 口の中に、真っ黒な生地に覆われた太くて硬く、熱い物がグイグイと入り込んで来る。

(…ど、…どうしちゃったんだよお…ッ!?

 ブルーマスクにオーラチェンジしているアキラは半分パニックになりながらその主を見上げた。

「…ククク…ッ!!

 見上げると、そこにはブラックマスクにオーラチェンジしたケンタがアキラを蔑むように見ていた。そして、アキラの頭をがっしり押さえ込み、その口へ自身のいきり立った股間を突っ込んでいたのだ。

「…舐めろよ、…アキラちゃん!!

「んんッ!!

 その言葉にムッとしたアキラが、ケンタを睨み付けたと思った次の瞬間、

 ガリッ!!

 と言う鈍い音がした。

「…ッ!?…ああ…ッ!!

 一瞬、ケンタの細長い目がカッと見開かれた。そして、

「…あ…あ…あ…!!

 と体を震わせながら声を上げ始めた。アキラがケンタのペニスを、ブラックマスクのスーツ越しに思い切り噛み付いたのである。

「…んッ!?…んん…ッ!?

 アキラの予想では、ケンタの腕の力が緩み、口からケンタのおぞましいものを吐き出せると思っていた。しかし、実際は逆だった。

「…あぁ…!!

 再び声を上げたケンタを見て、アキラはぎょっとなった。

 ケンタの目。ケンタの顔。さっき、一瞬だけカッと見開かれた目が再びトロンと横長になり、顔はだらしないほどに歪んでいる。そして、

「…あぁ…!!…アキラ様が、…アキラ様が…ぁ…!!

 とうわ言のように呟き始めたのだ。

(…ウソッ!?

 アキラの顔が恐怖に蒼ざめて行く。

「…アキラ様が、…オレの大切なところを、…食べた…!!…オレの大切なところに、…噛み付いてる…!!

「…んッ!!…んんんんッッッッ!!!!

 アキラがケンタの腕を必死に振り解こうと、懸命に頭を振る。しかし、ケンタの腕からは力が抜けない。

「…あ!!

 はっと我に返ったケンタ。そして、アキラを見ると顔を赤らめ、

「…ほ、…ほらッ!!…さっさと舐めろよッ!!

 と再び腰をグイグイと前後し始めた。

「…んんッ!!…んんんんッッッッ!!!!

 アキラの顔が今度は真っ赤になって行く。

(…息が、…出来ない…よぉ…ッ!!

 目をギュッと閉じたアキラが、おずおずと舌を動かし始めた。

 アキラの口腔内の唾液とケンタの淫猥な液体を吸い込んだケンタのスーツと、アキラの舌が擦れ合い、ザラザラと言う鈍い音を立てる。と同時に、

「…あ…ッ!!…あは…ッ!!…うお…ッ!!

 とアキラの舌の動きに合わせるかのように、ケンタが甘い吐息を漏らす。

「…あぁ…!!…気持ち…いい…ッ!!

 ケンタが再びうっとりと目を細める。

「…アキラ様…。…オレのアキラ様…!!…アキラ様が、…オレのを、…舐めてる…!!

 そう言いながらケンタは、アキラの口の中に入れている自身の股間のそれを、少しずつスピードを上げながら動かし始めた。

「んッ!!んッ!!んッ!!んッ!!

 アキラがそのリズムに合わせるかのように声を上げる。顔を真っ赤にし、目をギュッと閉じて。そして、喉の奥までそれが当たるのか、時折、声を詰まらせ、ポロポロと涙を零した。

「ああッ!!ああッ!!ああッ!!ああッ!!

 一方のケンタは完全に酔い痴れ、テンポよく腰を動かし続ける。

「…あぁ…。…アキラ様…!!…アキラ様ぁ…ッ!!

 恍惚な表情を浮かべ、うわの空状態で腰だけを機械的に振り続けるケンタ。やがて。

「…ぁぁぁぁああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 突然、ケンタが大声を上げた。と同時に、ケンタのペニスがビクビクと脈打ち、

 ドブッ!!ドブッ!!ドブドブドブドブ…ッッッッ!!!!

 と言う鈍い音と共に、ケンタのペニスの先端が弾けた。そして、アキラの口の中にケンタの熱い液体がドロドロと飛び出して来たのだ。

「んんんんんんんん――――――――ッッッッッッッッ!!!!!!!!

 驚いたのはアキラの方だった。何の前触れもなしに、ケンタのペニスの先端が大きく膨らんだかと思うと、ドロドロとした異臭を放つ液体が口の中に注がれたからだ。

「…はぁ…ッ!!…はぁ…ッ!!

 やや疲れたような表情を浮かべ、ケンタが体全体で大きく息をする。そして、ガクンと腰から砕けるようになり、後ろへどすんと座り込んだ。

「…あ…ッ!!

 ややあって、ケンタは事の重大さに気付いたのか、顔を真っ青にした。

「…ア、…アキ…ラ…!?

 目の前には、ケンタの放った液体を口に含んだまま硬直したアキラがいた。

「…アキラ…?…大丈…夫…?」

 恐る恐る近付くケンタ。と次の瞬間、堪え切れなくなったのか、アキラが口の中に含んでいたものを一気に吐き出した。

 ゴヴァアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!

 物凄い音と共にアキラの口の中から白濁の液体が飛び出し、それは恐る恐る近付いて来たケンタの顔を直撃した。

「…」

 顔中、真っ白になるケンタ。それは強烈な異臭を放っていた。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!…う…ッ、…うええええ…ッッッッ!!!!

 一方のアキラは、大きくゲホゲホと咳き込み、時折、大きくえづいていた。

「…な…ッ!!…何だよおおおおッッッッ、ケンタああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 涙目でケンタを睨み付けるアキラ。

「どう言うつもりだよッ、ケンタああああッッッッ!!!!いくら、僕が喧嘩の発端だからって言っても、ここまでやることないだろうッ!?

 大きく肩で息をし、小さくなったケンタを睨み付けるアキラ。

「これじゃあ、まるで、僕を襲ってるみたいじゃないかぁッ!!

 アキラも相当混乱しているのか、されていることをただ繰り返すだけだ。

「それに…。…何だよッ、アキラ『様』って!?

 その言葉に、ケンタがピクリと動いた。

「…だって、…しょうがないだろ…?」

 デカい図体のわりには、小さい声で呟くように言うケンタ。

「あん?聞こえないよッ!!

 小さい図体のわりには、声が大きいアキラ。

「…オレは…!」

 じっとアキラを見つめるケンタ。

「…オレは、…アキラが好きなんだ!」

 

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