どっちもどっち 第19話
「…ウソ…ッ!?」
ブルーマスクにオーラマスクしたアキラが、ブラックマスクにオーラマスクをしたケンタの股間へ右足を捻じ込ませ、小刻みな刺激を与え続けた。その途端、ケンタの大きく勃起した股間の先端からは淫猥な液体が溢れ出し、グチュグチュと言う淫猥な音を立てたのだった。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
息を飲んで絶句するアキラの足元で、大の字に伸びたケンタが顔を真っ赤にし、呆然となっている。
「…ぼ、…僕、…ケンタに電気アンマしただけなのに…!!…それだけでこんなになっちゃうなんて…ッ!!」
そう言うとアキラはペタンとベッドの上に座り込んだ。
「…ア、…アキラ…?」
急に脱力したかのように座り込んだアキラを心配に思い、ケンタは上半身だけを起こした。
「…ど、…どうしたんだ、アキラぁ?」
呆然としているアキラ。だが、アキラの体のうち、1ヶ所だけがいつもと異なっていた。
「あッ!!」
それを認めた瞬間、ケンタが思わず声を上げた。
「…ア、…アキラ…!!…お前…ッ!?」
「…あ…」
ケンタが見ている視線の先を見た時、アキラが声を上げた。
アキラの股間。
ブルーマスクの光沢のある鮮やかなスーツが真っ直ぐに突き出している、アキラの大きく勃起した股間。その先端がぐっしょりと濡れ、光沢を失い、真っ白な液体がべっとりとこびり付いていた。そして、そこから淫猥な液体がポタポタと滴り落ち、ケンタのベッドと淫猥な太い糸で繋がっていたのだ。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
顔を真っ赤にするアキラ。その小さな体がブルブルと震えている。
「…オレに、…電気アンマを食らわせただけで、…出ちまったのか…ッ!?」
その時だった。
「…うぐ…ッ、…ふえ…!!」
目に涙をいっぱい溜めたかと思うと、アキラが急にしゃくり上げ始めた。
「アキラッ!!」
次の瞬間、ケンタはアキラを強く抱き締めていた。
「…ケ、…ケン…タぁ…ッ!!」
胸の中でえぐえぐと泣くアキラ。
「…ど、…どうし…よう…!!」
声を詰まらせながら言うアキラ。
「…僕、…僕ぅ…!…ケンタに、…電気アンマしてた時、…何だか…、…物凄く興奮しちゃって…。…体の奥底からぐわああああッッッッて、何かが込み上げて来るような感覚がして…!!」
「…気が付いたら、…出ちまっていた…ってか?」
アキラの頭を撫でているケンタが聞くと、アキラは小さくコクンと頷いた。
「…ねぇ、…ケンタぁ…ッ!!」
アキラは大粒の涙を目に溜めながらケンタを見上げる。
「…ッ!!」
その途端、ケンタの心臓が大きくドクンと脈打った。ポロポロと涙を零すアキラの表情が、ケンタの心を貫いたのだ。
絶対に離せない、絶対に自分が守らなきゃいけない、ケンタはそんなふうに考えていた。
「…どうしよう…ッ!!…僕、…変態なのかなぁ…ッ!?」
えぐえぐと嗚咽を繰り返すアキラ。するとケンタは穏やかな笑みを浮かべ、
チュッ!!
と言うくすぐったい音を立ててアキラに口付けをした。
「…え?」
きょとんとするアキラ。するとケンタは、
「よいっしょッ!!」
と言ってアキラの体を少しだけ持ち上げ、胡坐をかいた太腿の上にアキラを乗せた。そして、太く大きな腕でアキラを抱き締めるようにしたのだ。
「…ケ、…ケン…タ…?」
「別にいいじゃねぇか、変態だってさ!!」
「…え?」
ケンタの言っていることが分からない。アキラは相変わらずきょとんとし続けている。
「つまり、どっちもどっち、ってことだよ!」
「…どっちも、…どっち?」
「そッ!!」
そう言うと、ケンタは再びアキラに口付けをした。
「男なんだもん、変態なのは当たり前さ!最初はオレは、女の子にしか興味はなかった。女の子のことを考えるだけで、ここが大きくなっちまって、そりゃ、もう、大変だったんだぜ?」
ケンタはそう言うと、ブラックマスクのグローブで自身の股間をゆっくりと揉んだ。それは、今は完全に普通の大きさに戻っている。
「でもさ、アキラと出逢ってからは、いっつもアキラのことばかりを考えてた。同じ男同士なのに、何考えてんだ、オレって変態だっていっつも思ってたさ!」
「…ケン…タ…」
いつの間にか、アキラは泣き止み、じっとケンタを見上げている。
「エッチなオレが言ったところで、純粋なアキラには上手く伝わらないかもしれないけど、自分って変態だなって思うくらいがちょうどいいんだよ!!」
「…そう…なの…?」
「そッ!!アキラがオレを甚振って感じちゃうのだって、それはその人の性癖ってことッ!!人それぞれってことだよッ!!」
「…そう…なんだ…ぁ…」
その時、不意にアキラがケンタの胸に凭れ掛かった。
「…アキラ…」
アキラの顔に穏やかな笑みが浮かんでいる。ケンタも何だか優しい気持ちになり、再びアキラの頭を撫で始めた。
「…落ち着いた…?」
「…うん…」
「…純粋なんだな、…アキラは…」
するとアキラは、
「…今まで、…こんな経験、したことなかったもん…。…自分でやるのだって、…そんなになかったし…」
と言った。
「…興味がなかったのか?…ナンノちゃんとか…?」
ケンタは、男としてそれは問題だろうとちょっと心配になる。思わず、アキラが大好きなアイドルの名前を出してみた。と、その時だった。
「ちょっとッ!!ナンノちゃんをそんな対象で見ないでよッ!!」
そう言ったアキラがケンタを見上げて鼻息を荒くしている。
「ナンノちゃんは僕のアイドルなのッ!!天使なのッ!!ケンタみたいにエッチな対象として見て欲しくないねッ!!」
と言った。その言葉にケンタは思わず苦笑して、
「その言われ方も何だかなぁ…」
と言い、
「まぁ、アキラはこれからってことかな?」
と言った。すると、アキラが急にしゅんとしたかと思うと、
「…僕、…成長が遅いのかな…?」
と言う。
「だぁかぁらぁ、そうじゃないって!!」
ケンタは笑みを浮かべ、
「これから、ゆっくりでいいんだよ、アキラ!!人それぞれなんだからさッ!!それに、どんなアキラでも、オレは大好きだよ!!」
と言った。
「…うん。…そうだね!…僕も、…ケンタが、…大好きだよ…!!」
そう言ったアキラの顔に笑顔が戻っている。
絶対に、この笑顔だけは失わせない、ケンタは固く誓ったのだった。