どっちもどっち 第27話
「…よし、っと!!さぁって…!!」
ブラックマスクの漆黒のスーツに飛び散った淫猥な液体をティッシュで拭き取り、ようやく落ち着きを取り戻したケンタが言った。そのスーツから飛び出したケンタ自身の男子としての象徴をぶらぶらさせ、ケンタはベッドに横になる。
「ちょっとッ、ケンタぁッ!!」
ベッドに横になったその下、正確にはケンタの大きな体の横には、パジャマ姿のアキラが顔を赤らめていた。
「どうしましたか、アキラ様?」
ニヤニヤしながらアキラを見つめるケンタ。だが、その眼差しはこの部屋で初めてアキラを犯した時とは違い、優しい眼差しをしていた。
「…どッ、…どうしてこんなに元気なんだよッ!?」
アキラはそう言うと、未だに大きく勃起したまま、ビクビクと脈打つケンタのペニスをギュッと握った。
「あんッ!!」
次の瞬間、ケンタが体をビクリと反応させ、艶めかしい声を上げた。
「…そ、…それは…ッ!!」
そう言いながら、アキラの首の下に太く逞しい左腕を通すケンタ。
「…アキラ様をこれから愛撫出来るかと思うと、…とても興奮してしまうからです…!!」
そう言うと、ケンタは顔を少しだけ動かし、
チュッ!!
と静かにアキラに口付けた。するとアキラは、
「…ん…ッ!!」
と一言だけ呻くと、ケンタをゆっくりと見上げた。
「…ケ…ン…タ…?」
そう言ったアキラを見た途端、ケンタは苦笑すると、
「だぁいじょうぶだよぉ、アキラぁッ!!」
と言い、再びアキラにキスをした。
「…もう、アキラに怖い思いはさせない。あの時は、本当にアキラが好きで好きで堪らなくて、オレもどうかしてたんだと思う。…でも今は違う。アキラに怖い思いをさせないように、アキラを物凄く丁寧に愛したい。何てったって、オレはアキラ様の奴隷だからなッ!!」
「…意味、…分かんない…!!」
そう言いながらアキラは微笑み、ケンタに寄り添い始めた。
「アッ、アキラ様ッ!?お顔が汚れちゃいますよッ!!」
そうなのだ。ケンタのブラックマスクのスーツには、ケンタのペニスから飛び出した精液の残りがまだ付いており、そこからは異臭が放たれていたのだ。だがアキラは、
「…大丈夫…」
と言い、ケンタの体に腕を巻き付け、ケンタの胸にしっかりと顔を埋めたのだ。
「…どした、…アキラ…?」
「…何でもない…」
静かな笑みを浮かべ、ケンタに甘えるアキラ。
「…甘えん坊…」
まんざらでもない笑みを浮かべると、ケンタは静かにアキラの頭を撫でた。
「…ねぇ、…ケンタぁ…」
「うん?」
「…僕達、…チューブとの戦いが終わっても、…ずっと…、…一緒…だよね?」
はにかんだ笑顔でケンタを見上げるアキラ。
「当たり前だろ!!」
そう言うとケンタは、アキラの小さな体をすっぽりと包み込むように強く抱き締めた。
「オレ達はずっと一緒だ。オレだけじゃなく、タケルも、ハルカも、モモコも!!その中でも、オレはアキラの傍を片時も離れないッ!!アキラを命懸けで守るって決めたんだからなッ!!」
「…うん…、…うん…ッ!!」
その時、ケンタの体を掴んでいるアキラの手の力が不意に強くなったように、ケンタは感じた。
「…アキラ?」
アキラの顔を見ようと、少し体を離そうとするケンタ。だがアキラは、ケンタの体にしがみ付いたまま、ケンタから離れようとしない。
「ア、アキラ…?…泣いてるのか…?」
ケンタが、それでもアキラから少し離れようとすると、
「ヤダッ!!見ないでよッ!!」
とアキラが言う。
「…やっぱり、泣いてんじゃん…」
肩をヒクヒクさせるアキラ。
「大丈夫だよ、アキラ。オレは絶対に離れないから。何があっても、アキラを守るからさ!!」
「…ふ…、…うう…ッ!!」
アキラが嗚咽し始める。
「…急に、…不安になっちまったか?」
ケンタの問い掛けに、コクンと頷くアキラ。
「…チューブとの戦いが終わったら、…みんな、バラバラになっちまうって、…そう思ったのか?」
再び頷くアキラ。
「何も心配しなくてもいいぜ、アキラ!」
ケンタはそう言いながら、アキラの頭を静かに撫で続ける。
「オレは、本気でお前を守るから!絶対に離れたりしないからな!」
その時だった。
「…ケンタばっかり、…ずるいよ…!!」
アキラの声が聞こえた。
「え?何が?」
ケンタがそう言った次の瞬間、アキラがばっと顔を上げた。
「うおッ!?」
その動きに、ケンタは思わず仰け反る。
「…ア、…ア、…アキ…ラ…!?」
その時、ケンタの胸がドキッと高鳴った。アキラの顔は真っ赤になり、涙でぐしゃぐしゃになっていたのだ。
「…どうして、…ケンタばっかり、…そんなに、…カッコイイんだよ…ぉッ!!」
するとケンタはフッと苦笑すると、
「…全ぇ然ッ、…カッコ良くなんかないぜぇ?」
と言い、ある場所を指差した。
「…あ…」
それを見たアキラが絶句する。
ケンタのペニス。それがさっきよりも大きく勃起し、先端をパンパンに腫らしながら真っ赤にドクドクと脈打っていたのだ。
「…口ではカッコいいことばかり言ってるけど、ここはこんなんだしなッ!!」
そう言って、悪戯っぽくウインクしてみせるケンタ。
「アキラがあまりにかわい過ぎるから、オレの体の暴走は止まらねぇみてぇだ!!」
「…バカ…!!」
アキラはそう言うと、
「…じゃあ、…僕も…!!」
と言った。その瞬間、アキラの体が光り、光沢のある鮮やかな青色の生地であしらわれたブルーマスクへとオーラマスクしていた。もちろん、マスクは外した状態で。
「…これなら、ケンタの暴走も少しは止まるでしょ?暴走したまま、僕の体を愛撫されたんじゃ、いつまた、ケンタが暴走するか分からないよ!!」
アキラが悪戯っぽい笑みを浮かべて言うと、
「さっすが、アキラ様ッ!!良く分かってらっしゃるッ!!」
とケンタがおどけてみせた。そして、再び見つめ合い、お互いの顔を近付けると、
…チュッ!!…チュクチュク…ッ!!
と言うくすぐったい音が部屋に響き始めた。