処刑!メガレッドU 第8話

 

 翌日――。

「…うう…ッ!」

 健太はいつもよりも硬い、緊張した面持ちで校門をくぐった。

 昨日のことを思い出すと虫唾が走ると言うか、物凄く腹が立って来る。

「…何だよ、…あいつ…!!

 クラスメイトの巧。医者の息子だか何だか知らないが、まず、実家の八百屋のことをバカにされた。それから、自分自身の頭の悪さも。

 いや、そんなことはどうでも良かった。それよりも腹が立ったのは、メガレッドである自分を始め、クラスメイトでメガブラックの遠藤耕一郎、メガブルーの並木瞬、メガイエローの城ヶ崎千里、メガピンクの今村みくと共に、自分達がネジレジアの攻撃からこの世界を守っているメガレンジャーだと言うことがバレていたことだった。そして、巧はそれを利用し、世間にバラされたくなかったら自分の言うことを聞けと言って来た。

「なぁにが、自分の言うことを聞け、だ!」

 言うことを聞くと言う生易しいものではなかった。巧の真の目的は、健太の体だった。

 精神的にも抵抗出来なくなった健太をメガレッドにインストールさせ、腰を突き出させる。体にぴったりと密着するように纏わり付いている光沢のある真っ赤なスーツは健太の体付きをもクッキリと浮き立たせた。そして、そんな健太が腰を突き出すと、健太の男としての象徴であるペニスが否応なしにクッキリとその姿を現す。巧はそれを、まるで痴漢を楽しむかのように触り続けたのだ。

「…あぁぁ、…身震いするぜ…!!

 しかも、触るだけではなく、健太をいきなり突き飛ばしてひっくり返したかと思えば健太の筋肉質な両足首を掴み、左右に大きく開いたその股の間に巧自身の右足を捻じ込ませた。そして、小刻みに振動をさせたのである。

「…っ…く…!!

 それだけでもその疼きが思い出されたのか、健太が学生服の上から股間を押さえ込む。

 小学生の頃、よくやった電気アンマ。それをまさか、高校生になってまでされるとは思ってもいなかった。しかも、巧のそれはオーソドックスな、股下に足を捻じ込ませ、振動を加えることによって海綿体を刺激され、快楽を導くだけのものではなく、健太のペニスとその下に息づく2つの球体にまで直接刺激を加えて来たのである。その痛みは尋常ならざるもので、抵抗し続けていた健太も遂に抵抗を失ったのである。

「…あぁぁ、…鳥肌立って来た…!!

 ブルブルと体が震える。

 ぐったりと床に大の字に寝転ぶ健太の大きく勃起したペニスを、巧は今度はメガレッドのスーツごと、パクリと咥えたのである。そして、ぐちゅぐちゅと淫猥な音を立てながら責め立てたのだ。

 ネジレジアとの戦いの連続で、自分でそれを慰めることにご無沙汰だった健太はあっと言う間に快楽の渦に引き込まれ、無様にも巧の口の中で射精して果てたのだった。

 しかも、その頃になると、巧は自身のことを“様”付けで呼ぶように強制していたのだ。更に、そんな健太の淫らな姿は部屋中に仕掛けられたカメラに全て記録されていた。つまり、健太の弱みを更に増やしてしまった格好になってしまったのだ。

「じゃあ、今日はもう帰っていいよ」

 一頻り健太を甚振って満足したのか、巧はそう言った。そして、

「学校ではいつもの通りに振る舞えばいいからな!さすがに学校では僕のことを“様”付けでは呼べないだろ?それに今まで滅多に話したこともなかったのに、急に馴れ馴れしくなってもみんなに変な目で見られるだろうしさ!」

 と言ったのだ。

「…まぁ、確かに…」

 巧の思いやりも分かる。今までまるでいるかいないか分からないような存在だった巧に、健太が急に馴れ馴れしく話しかけるのも、周りの友人から見れば変な話だ。

 だが、これには裏があり、巧は、健太と2人きりになる機会があったら、その時は学校の中と言えども、巧のことを“様”付けで呼ぶようにと強制したのだ。つまり、健太のことはあくまでも自身の玩具であり、奴隷であると高らかに宣言しているようなものだった。

(…こうなったら、…巧が飽きるまでの辛抱だ…!)

 だが健太も意固地なところがある。腹の虫が収まらなかった健太は、密かにそう決意していたのだった。

 その決意が、健太を絶望へと追い落とすことになるとも知らずに――。

 

「…いた…ッ!!

 意識して見てみれば、巧は確かにクラスの中に存在していた。

 健太達のクラスの中で目立たないと言うより、存在感のない巧。席は後ろの方で、普段から誰とも行動をしない、気が付くとどこかへ消えている、そんな存在だった。

「…うわ…!!

 その時、健太は思わず顔を引き攣らせた。

 巧がブツブツと何かを呟きながら、ニヤリとしていたのである。

「…気持ち悪りぃ…!!

 巧がいかに陰湿か、良く分かるような気がする。健太の席が巧の席より離れていて良かったと、心から思えた。

 

 そして、長いような短いような1日があっと言う間に過ぎて行き、放課後になった。

「…よし!帰るか!」

 気が付けば、巧もいつの間にかいなくなっていた。

「つーか、あいつはいてもいなくても分かんねえ奴だし…!」

 フンフンと鼻歌を歌いながら、トイレへ向かう。

「…さぁて、…今日は帰ったらどうしよっかなぁ…?」

 ネジレジアの反応も今のところはない。そして、巧からの呼び出しもない。となれば、目の前にあるのは普通の男子高校生としての生活だった。

「久しぶりにゲーセンに寄ってぇ…。…あ、…そう言えば、オレの好きなゲーム、新機種が入ってるかなぁ…?」

 小便を済ませ、にゅっと突き出されたペニスをプルプルと振る。

 その時、健太が背を向けている個室の1つが閉まっているのを、健太は完全に見逃していた。そして、その扉が音も立てずにゆっくりと開いて行ったのである。

「…うし!帰りにゲーセンに寄ってから帰ろうっと!」

 カチャカチャと音を立てて、外されたベルトを締めようとしたその時だった。その場を離れようとした健太の右腕を誰かが掴み、グイッと引っ張ったのである。

「…な…ッ!?

 あっと言う間に物凄い力で個室へと引き摺り込まれた健太。そして、ガッシリと抱き付いて来た者がいた。

「…ッ!?

 その者の姿を見た途端、健太は顔を真っ青にした。

「…たッ、…巧…ッ!?

 よりによって、今日1日の最後の最後に捕まるとは…!

 その時、巧がじっと健太を見上げ、

「…誰が“巧”だって…?」

 と不気味な笑みを浮かべて言ったのだ。

「…巧…様…!!

 拳をギュッと握り締め、顔を真っ赤にして懸命に耐える健太。すると巧は、

「やれやれ」

 と大きく溜め息を吐き、

「君は本当に自分の立場が分かってるのかなぁ?」

 と言った。

「…君には自由な時間なんてどこにもないんだよ、健太」

「…どう言う、…意味…ですか…?」

 今すぐにでも巧を殴り倒して、ここを飛び出したかった。だが、そうは出来ないのが今の健太だった。

「君は僕の奴隷なんだ。学校では普段通りにしていていいけど、授業が終わったら君は僕の奴隷になるんだよ?すぐに僕のもとへ来なきゃいけないじゃないか!」

「…く…ッ…!!

 グッと唇を噛む健太。だがゆっくりと目を閉じ、

「…申し訳…、…ありませんでした…。…巧様…」

 と力なく言った。すると、

「フフッ!」

 と、巧は勝ち誇った笑みを浮かべると、

「…じゃあ、ここを出て、僕の家へ行こうね!」

 と言い、

「君は少し遅れて僕の家へ来るんだ。逃げるなよ?」

 と言って個室を出た。

「…く…っそぉぉぉぉ…ッッッッ!!!!

 健太は目を固く閉じ、暫くそこから動けずにいた。

 

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