処刑!メガレッドU 第32話
その部屋には、異様の光景が広がっていた。
部屋の中央に据えられた手術台のような冷たい色を放つ金属製の台の上に、一人の男が両足を自身の頭の上の方まで上げられ、筋肉質な臀部を晒すようにして拘束されている。傷だらけの上半身は一糸纏わず、下半身は光沢のある鮮やかな赤色のズボンを穿いていた。だが、その双丘の秘門には大きなペニスの形をした梁型が突き刺さり、グジュグジュと言う淫猥な音を立て続けていた。
そして。
彼の折り曲げられた足の中心部分にある、彼の男としての象徴であるペニス。それは大きく勃起したまま、ビクンビクンと脈打ち、そこには透明な筒状のものが取り付けられていた。そして、その中には濃白色な、異臭を放つ液体がなみなみと溢れていたのである。
メガレッド・伊達健太。クラスメイトである巧に無様なまでに陵辱され、そのなれの果てがこの姿だった。
「…」
時折、ビクン、ビクンと腰を跳ねらせる健太。だが、その目には最早輝きはなく、されるがままの人形と化していた。
「…ククク…!!」
そんな健太の傍で学生服姿の巧が低い声で笑っている。
彼もまた、当初の純粋無垢な、少年のようなキラキラとした表情ではなく、今ではまるで悪魔のように目は吊り上がり、声も本来の巧の高めの声と、どこからともなく聞こえる低めの声とが入り混じった声を発していた。
「…とうとうくたばったか…?」
じっと健太を見ていた巧だったが、突然、
ドクンッ!!
と言う心臓の大きな高鳴りに息が止まった。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
気が付けば、学生服の下の、巧の男としての象徴であるペニスが大きく勃起し、テントを張っていた。
「…健太の、…いやらしい液体…」
わなわなと震える手が、健太のペニスに取り付けられた透明なプラスチック製の筒に伸びて行く。
「…健太の、…欲しい…!!」
呟くように言うと、巧は健太のペニスから、濃白色な、強烈な異臭を放つその液体がなみなみと入った筒を外した。
グジュッ!!
と言う淫猥な音が聞こえ、同時に、
「…あ…ッ!!」
と、健太が声を上げ、体をビクンと跳ねらせた。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
目の前に、強烈な異臭を放つ健太の淫猥な液体を手にする巧。と、次の瞬間、巧はそれに口を付けたかと思うと、
…ゴクッ!!…ゴクン…ッ!!
と、大きな音を立ててそれを一気に飲み干したのだ。
「…ふぅぅ…!!」
そして、大きな溜め息を吐いたその時だった。
ドクンッ!!
巧の心臓が再び大きな音を立てて高鳴った。その時、巧は、
「…うぐ…ッ!?」
と呻いたかと思うと、胸に手を当て、目を大きく見開いて体をブルブルと震わせ始めた。そして、
「…うう…ッ!!…ぅぅぅぅううううわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と、物凄い叫び声を上げたかと思うと、眩い光に包まれた。
「うがああああああああアアアアアアアアッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」
巧の甲高い悲鳴が低い声へと変わって行く。と同時に、光の中にいる巧の体が大きな変化を起こし始めた。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ…!!」
光が消えた時、そこに巧の姿はなかった。
「…?」
その時、巧は自分の体に異変が生じていることに気付いた。
「…何、…だ…、…これ…?」
黒を基調とした厚い鎧のようなものに体が覆われている。鬼のように飛び出した耳から口元にかけて赤いラインで覆われ、その歯は凶暴な尖りを持っていた。
「…これが、…オレ…?」
「そうだ。それがお前の本当の姿だ」
突然、声がして、巧は思わず振り返る。
「…伯父貴…」
そこには紫色の髪の毛をひねらせた初老の男・Dr.ヒネラーが杖を突きながら静かに立っていた。
「…邪電王国ネジレジアを立ち上げた時、私は自らを改造し、このような姿になった。だがお前は違う。お前の持つ大きな嫉妬心や邪悪な心が、今のお前を生み出したのだ」
「…オレの、…心…?」
その声は今では完全に低くなり、黒い装甲の下に小さく光る巧の瞳がじっとヒネラーを見つめていた。
「…やはり、血は争えぬか…」
「…ククク…」
不意に巧が笑い始めたかと思うと、
「…フフッ、…フア…ッ、…アーッハッハッハッハッハ…!!!!!!」
と火が付いたように笑い始めた。
「…最高だッ!!…オレはやっぱりこうなる運命だったんだッ!!」
「…巧…」
憐みの眼差しを向けるヒネラー。だが、そんなヒネラーに気付いたのか、
「そんな顔をするなよ、伯父貴」
と言ったかと思うと、巧の姿がもとの人間の姿に戻った。
「…これで、オレは誰にも文句を言わさないッ!!誰にもオレを苛めさせないッ!!…いや、逆にオレを虐げて来たクズ共を一斉に処分してやろうかな…!!」
そう言った時だった。巧は何かを思い出したような顔をすると、
「伯父貴。例のものは?」
とヒネラーに向かって尋ねた。するとヒネラーは、
「ちゃんと出来ておる」
と言ったかと思うと、ちらりと部屋の入口を見やった。
…コツ…、…コツ…。
靴の音が聞こえて来た時、そこから1人の青年が現れた。
光沢のある鮮やかな赤と白を基調としたスーツに身を包んだ青年。足の爪先から首元まで、その青年の体に密着するように纏わり付いている。
「健太ぁッ!!」
巧が嬉しそうに駆け寄って行く。
「よッ、巧ッ!!」
爽やかな笑顔で右手を軽く上げる健太。そんな健太の胸へ巧は物凄い勢いで飛び込んでいた。
「健太ッ!!健太ぁッ!!」
ぎゅうぎゅうと健太を締め付けるように両腕を背中に回し、健太の筋肉質な体に顔を埋める巧。
「お、おいおい、巧ッ!!そんなに締め付けたら痛てぇだろうがッ!!」
そう言いながらも、メガレッドにインストールした状態の健太が巧を抱き締め返す。
「健太だッ!!僕のッ、僕だけの健太だぁッ!!」
巧はそう言いながら、健太の2本の足の付け根、鮮やかな赤色のスーツに包まれたそこをキュッと握った。
「んはッ!!」
苦笑しながら、顔を赤らめる健太。
「…お、…おいおい、…巧。…んッ!!…そ、…そんなに…ッ、…っく…ッ!!…そんなに握ったら、…あッ!!…感じちまう…だろう…?」
そう言いながら、時折、体を跳ねらせる健太の2本の足の付け根にある、健太の男としての象徴であるペニスが巧の手の中でムクムクと成長して行く。
「…凄い…!!」
それが完全に成長し、メガレッドのスーツの中でその形をクッキリと現わした時、巧がほうと溜め息を吐いた。
「…本物の健太と同じだ…!!」
「当たり前だ。ヤツの、メガレッドの精液から取り出した遺伝子を使い、培養し、完全なるメガレッドのコピーを作り出したのだからな!」
ヒネラーが静かに言う。
「でも、そのお陰でメガレンジャーの弱点は分かったんだろう?」
巧がそう言うと、ヒネラーは静かに頷く。
「…後は、オレに任せてよ、伯父貴…!」
巧の目がギラリと光った。
「…そやつは、どうするのだ…?」
ヒネラーの視線の先には、手術台にグッタリと横たわる健太の姿があった。
「…決まってるだろう…?」
巧がニヤリと笑う。
「…本物の健太は、…オレが、…見せしめにするのさ…!!」
そう言うと、
「伯父貴!健太のスーツを元通りにしてくれよ!」
と頼んだ。
「…よくは分からんが…」
ヒネラーは指先から妖しい光を放った。それが健太の体を包み込んだその瞬間、健太のメガレッドのスーツは元通りの光沢を放っていた。
「…さぁ、…処刑の開始だ…!」