機械の奴隷 第13話
ブオオオオンンンンッッッッ!!!!
閑静な住宅街に響くグリーンジェッターの排気音。
「…あれ?」
その日、いつもの公園に行くと清史郎の姿はなかった。
(…家かな?)
ちらりと腕時計を見る。午後3時半。
「…ふむ…」
ヘルメットを取り、ポリポリと頬を掻く。
午後3時半と言うことは、清史郎がそろそろ学校から帰っていてもいい時間帯だ。腕組みをして暫く考え込むような仕草をしていた昌平だったが、
「…クックック…!!」
と肩をひく付かせて笑い始めたかと思うと、
「そうかそうか!そう言うことかあッ!!」
と大声で言い、グリーンジェッターに跨ったまま、体を大きく踏ん反り返らせた。
「オレとの約束を守ってちゃんと学校に行って、家に帰っているに違いない!うん!きっとそうだ!そうに違いないッ!!さっすが、昌平様だああああッッッッ!!!!」
一頻り自画自賛を繰り返し、
「よぉしッ!!じゃあ、清史郎の家に行って、ご褒美をあげなきゃな!!」
と言ったその時だった。
ドクンッ!!
突然、心臓が大きく高鳴り、昌平は目をカッと見開いた。
「…う…、…ぐ…ううう…ッッッッ!!!!」
無意識に胸を押さえる。だが、心臓が大きく高鳴ったのはその1回だけだった。
「…な、…何だ…?…どうして、…心臓が…?」
その時だった。
ドクンッ!!
「うああああッッッッ!!!!」
再び大きく高鳴って、昌平は声を上げていた。
「…ッ!?」
その時、昌平の視界に飛び込んで来たもの。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
グリーンジェッターに跨っている昌平のガッシリとした2本の足の中心部分。空色の制服のズボンが大きく盛り上がっていた。
「…オ、…オレ、…勃ってる…!?」
ドクンッ!!
「はがッ!?」
グリーンジェッターの上で独りで動き回る昌平。さながら道化師のように振る舞う彼を、周りが見れば不審がるだろう。
「…ど、…どうして…!?」
その時、昌平は大きく勃起している自身の男としての象徴であるペニスを無意識に握っていた。その瞬間、強烈な電流のようなものが昌平の体に流れ、
「うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と叫び、体を仰け反らせ、次の瞬間にはグリーンジェッターの上から転げ落ちていた。そして、バランスを失ったグリーンジェッターはそのまま大きな音を立てて、昌平と反対側に倒れていた。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
転げ落ちたせいで体をしたたかに打ち付け、ズキズキと痛む。
「…な、…何…やってんだ…、…オレ…!?」
呟くように言うと、昌平はグリーンジェッターの方へ這うようにした。と、その瞬間、昌平の体に再び強烈な電流のようなものが流れ、
「うぐわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と悲鳴を上げ、反射的に仰向けに倒れた。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
太陽が眩しい。気が付けば、額に玉粒のような汗を浮かべていた。
「…あッ!!」
不意に頭を上げた昌平は目の前の光景に呆然となった。
「…ウソ…だろ…!?」
昌平の空色の制服。その大きく盛り上がった股間部分。そこがぐっしょりと濡れていたのだ。
「…な、…何で…!?」
頭の中が混乱する。
「…オ、…オレはただ、…清史郎の…、…家に…、…行こうとして…」
ドクンッ!!
「ふわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
再び心臓が大きく高鳴って、昌平はゴロゴロとその場に転がる。
「…ま…さ…か…!?」
夢の中でされたリアルな感覚。そして、それに関連する、心の奥底にあるおぞましい感情。
大きく勃起したペニスの先端に銀色の針のようなものが突き刺さり、それがゴツゴツとした機械のような物体によって尿道を何度も何度も出し入れされる。そのたびにじんじんとした熱く、おぞましい感覚が体の奥底から込み上げた。更に、昌平のペニスに突き刺さった針のような物体には半透明のチューブのようなものが付き、その先には漏斗のようなものまでもが取り付けられていた。そんな漏斗から、機械のような物体がキラキラと眩く光るドロドロした液体を流し込んだ。その液体が尿道を通って昌平の体内に注ぎ込まれたその瞬間、昌平の体中が一気に熱くなり、今にも絶頂に達してしまいそうになっていた。そして、その銀色の針が抜かれたその瞬間、昌平の体に今まで感じたことがなかったような激しく、おぞましい感覚が一気に押し寄せて来た。そして、体の奥底にあったおぞましい感覚が尿道を伝って込み上げて来たのだ。
そして。昌平は夢の中で、意識が遠退くほど、何度も何度も射精して果てていた。
その処刑人の顔を、昌平は確かに覚えていた。
「…オレは…。…オレは…!?」
体が小刻みに震える。それに釣られるように、声までもが震えて聞こえていた。
「…オレは、…夢の中のような、…あんなおぞましいことを…、…望んでいると言うのか…!?」
ゆっくりとその場から起き上がる。ゴロゴロと転がったせいで、空色の制服が薄汚れていた。
「…あの機械のような物体がオレの方を振り向いた時、…その顔は、…確かに清史郎だった…。…いやいや!そうじゃないッ!!」
昌平は首を大きく左右にブンブンと振る。
「…あれは…、…夢の中の出来事だッ!!…清史郎が、そんなことをするはずがないッ!!そもそも、清史郎にそこまでの知識は持ちえていないはずだッ!!」
ようやくスクッと立ち上がると、昌平は倒れたグリーンジェッターを何とかして起こした。
「…けど…」
正直、昌平は心の中にある感情に気付いていた。
「…オレは、…また清史郎とエッチなことをしたがってる…?…清史郎にご褒美をあげるって言うことは、清史郎にオレの体を好きにさせるってことだ。…つまり、オレは清史郎にまたチンポを弄られてイカされる…。…はは…!!」
独り言のように言うと、顔を引き攣らせて笑った。
「…溜まりすぎてるんだろ、…オレ…!!」
パンパンと制服に付いた土を払うと、昌平はグリーンジェッターに跨った。
「こんなところでグダグダ考えていても仕方がないッ!!取り敢えず、今は清史郎の家へ向かうまでだッ!!」
昌平は再びヘルメットをしっかりとかぶり、ハンドルを回したその時、
ブオオオオンンンンッッッッ!!!!
と、閑静な住宅街に排気音が再び鳴り響いたのだった。