そして僕らは大人になる 第9話
中学生になり、俺も小太郎もそれなりに性の知識を身に付けるようになった。当たり前と言えば、当たり前なのかもしれないが。そして、それなりに体も成長し、少しずつ男っぽさも出て来た。そして同じ頃、俺は男同士でエッチをすることと、自身のアソコをしゃぶられると言う初めての経験もした。
「おい、リキ!」
ある日の休み時間のこと、同じクラスのコウがニヤニヤしながら俺のもとへやって来た。
「ど、どうしたんだよ、コウ?」
そのにやけ顔があまりに不気味だったので、俺は思わず引き気味に尋ねた。するとコウは、
「お前さ、今日、学校が終わってから暇?」
と聞いて来たんだ。
「あ?…あ、…ああ…」
今日は部活動もなく、授業が終われば、真っ直ぐ家に帰り、いつもの生活をするだけだった。だから、暇と言えば、暇だった。
「何かあるのか?」
俺がそう尋ねると、
「じゃあ、オレんちに来ねえ?」
と聞いて来た。
「…?…別にいいけど?」
何の疑いもなく、俺はそう答えていた。するとコウはニヤリとして、
「よしッ!!じゃあ、学校が終わったら、一緒に帰ろうぜ!!」
と言って席へ戻って行った。
夕方――。
授業が終わり、俺は学生服姿のまま、コウの家へ立ち寄った。
「何だよ?何か、話でもあるのか?」
俺がそう尋ねると、コウは、
「なぁ、リキぃ。久しぶりにエッチなことしねえか?」
と言って来たのだ。
「…え〜…?」
正直に言えば、この頃になると、俺は女の子とのエッチを夢見るようになっていた。まぁ、それが正常な男としての考え方だとは思うのだが。とは言え、やはり性については興味があった。
「…確かに、…小学校を卒業してからはご無沙汰だったな…」
「だろ?」
この頃の俺は、コウもただ、性についての興味があるだけだと思っていた。だが、コウから言わせれば、この頃から男性に興味があったそうで、コウの初恋は何と、俺だったらしい。まぁ、このことは随分と後になってから分かったことではあるが。
「…そうだな!」
俺はニッコリとすると、
「よしッ!!久しぶりにヒーローごっこだ!!」
と言ったんだ。
「じゃあさぁ!」
その時、コウは嬉しそうに言うと、1枚の黒色の薄っぺらい生地の半ズボンのようなものを出して来た。
「水着か?」
俺が尋ねると、コウは、
「スパッツだよ!スポーツ選手がパンツ代わりに穿いていたりするだろ?」
と言った。
「…ああ、短パンの裾からはみ出ているやつな?」
俺がそう言うと、
「そうそう!」
とコウが頷く。
実際、俺もテレビなどのスポーツ番組で見たことがあった。サッカー選手の短パンの裾からはみ出した、太腿をがっちりと覆っているようなもの。
「何かさ、戦隊ヒーローっぽくない?」
「…確かにな。太腿にぴったりするもんな?」
「でさ、リキにこれを穿いてもらいたいんだぁ!」
「分かった」
ヒーローっぽいと言われて悪い気はしない。それに、俺の俺とコウ、小太郎のメンバーカラーは黒だ。
「じゃあ…」
俺はそう言いながら学ランのボタンを外し、真っ白なシャツの姿になる。
「…あ」
「うん?」
「…上半身はどうするんだ?」
真っ白なシャツの下には真っ白なTシャツを着ている。するとコウはちょっと顔を赤らめながら、
「…出来れば…さ…。…スパッツと白靴下だけになって欲しいなぁ、なんて!」
と言った。
「何で顔を赤らめてるんだよ?」
その時、俺は素直にコウにそう尋ねていた。それが、コウの性癖だったと言うことは当然のことながら、気付いていない。
「だってさぁ、リキは俺達のヒーローなんだぜ?そんなヒーローが傍にいるって言うだけで、凄く嬉しいからさ!ほら、目の前に好きなアイドルが現れたら顔を真っ赤にするのと同じさ!」
「…ふぅん…」
言われるままに学ランの下に着ていたシャツもTシャツも脱ぐ。
「…わぁ…」
その時、コウがウットリとした表情を見せた。
「…リキ…。…うっすらと腹筋が付いてる…」
「まぁ、鍛えてるしな」
中学校で俺はサッカー部に入った。もともと体を動かすのは好きな方だったし、常に体力作りはしていたから。逆にコウと小太郎は帰宅部だった。この時点で、俺はコウと小太郎のヒーローが確定していたわけだ。
「で、どうすればいいんだ?」
何だかんだと言いながら、俺はとうとう黒いスパッツと白靴下だけの姿になった。
「…カッコいい…!!」
コウは顔を赤らめて俺を、いや、その視線を追うと、俺の2本の足の付け根部分に出来上がったこんもりとした膨らみをじっと見つめていた。
「…目立つなぁ…!」
思わず恥ずかしくなってそこを両手で覆おうとした時、
「別に隠すことないじゃん!見慣れてるんだし!」
と、コウが笑って言った。
「…ま、…まぁ、確かに…」
俺とコウ、小太郎は幼馴染み。小さい頃からずっと一緒にいたわけで、お互いの裸も見たことがある。裸を見たことがあるとなれば、当然、お互いのアソコも見たことがある。とは言え、さすがに大人っぽくなってからは恥ずかしさもあって隠すようになったが。
「ん?」
その時、俺は声を上げ、
「コウは着替えないのか?」
と聞いてみた。するとコウは、
「オレはいいの!オレは怪人に乗っ取られた一般人なんだから!」
と言った。
「…まぁ、…いいけど…」
本当に何の疑いもなかった。
「で?どうするんだ?」
「じゃあさぁ。リキ、床に寝転んでよ!」
コウが言う。心なしか、呼吸が荒くなっているようにも思えた。
俺は素直に床の上に寝転がる。コウの部屋はフローリングで、上半身裸で床の上に寝転がると背中がちょっとだけ冷たかった。
「リキぃ。両手両足を拘束するからね!」
「え?」
言うが早いか、コウは手に粘着テープのようなものを持っていた。そしてそれを俺の両手首、両足首に貼ったかと思うと、その裾をかなり長く伸ばして床の上に貼ったんだ。
「…なッ、…何…ッ!?」
俺がどんなに両手首、両足首を持ち上げようとしても、その粘着テープはびくともしない。
「…く…ッ!!…クソ…ッ!!」
俺の背筋にゾクゾクとした感覚が駆け抜ける。
「…ククク…!!」
その時、コウは顔を赤らめ、目をギラギラさせて笑っていた。
「…罠に掛かったな、…キングレンジャー…!!」
「…な…に…ッ!?」
その時、コウが俺の股の間に座ったかと思うと、両足首をしっかりと掴んだ。そして、右足を俺の股下へ捩じ込ませたんだ。
「んああああッッッッ!!!!」
小学校の時にやられた感覚が蘇って来る。
「…や…め…ろ…!!」
俺がそう言った瞬間、
「食らえええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と叫んだコウの、俺の股下へ捩じ込まれている右足が小刻みに動き始めた。
「ああッ!?ああッ!?ああッ!!ああッ!!」
くすぐったいような、心地良いような懐かしい感覚が俺のそこを襲う。
「ぐぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺は大声でその時、大声で叫んでいた。