そして僕らは大人になる 第11話
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
コウの部屋で床の上に大の字に拘束されている俺。しかも、上半身は裸で、薄い生地の黒いスパッツと薄汚れた白靴下だけと言う何とも妙な格好でだ。そして、俺の男としての象徴であるペニスにコウの右足が刺激を与え、その快感に耐え切れずに、文字通り、俺は「イカされた」のだった。
(…ウソ…だろ…!?)
射精って、女の子とエッチなことをする時だけに起こる生理現象だと思ってた。なのに、今、目の前にいるのはコウと言うれっきとした男の子だ。しかも、俺の幼馴染みだ。
(…俺…、…コウに…。…男に、…イカされた…!!)
「…キ…。…リキ…ッ!!…リキってばッ!!」
「…え!?…あ…」
我に返った時、コウが俺の顔を覗き込んでいた。
「大丈夫かよ、リキぃ?ぼぉっとしちゃってさあ…」
そう言ったかと思うと、すぐにニヤリとして、
「もしかしてぇ、相当気持ち良かったからぶっ飛んでたりして…!!」
と言って来たんだ。
「んな…ッ、…んなわけあるかッ!!」
顔を真っ赤にしてそう言う俺。でも、俺のペニスは正直で、未だに大きく勃起したまま、スパッツの中でビクッ、ビクッ、と脈打っている。そして、そのたびに、
ドクッ!!ドクッ!!
と白濁の淫猥な液体を溢れ出させていたんだ。
「…ふぅん…」
コウが悪戯っぽい笑みを浮かべ、黒いスパッツ越しに浮き出た俺のペニスを見つめる。
「…や、…止めろ…ッ!!」
「…フフッ!!」
コウは顔をほんのりと赤らめ、俺のペニスへ手を伸ばすと力いっぱい握り締めたんだ。その瞬間、俺のそこへ激痛が走り、
「痛ってええええええええええええええええッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と叫び、体を大きく弓なりにしていた。と同時に、
グジュウウウウウウウウッッッッッッッッ!!!!!!!!
と言う淫猥な音と共に、強烈な臭いが俺の鼻を劈いた。
「…んなッ、…何すんだよオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!コウウウウウウウウウッッッッッッッッ!!!!!!!!」
顔を真っ赤にして怒鳴る俺。だがコウは、ぐっしょりと淫猥な液体で濡れたそこに顔を近付け、
「…リキのチンポ、今まで何度も見て来たけど、勃起したところは見たことがなかったなぁ!」
と言った。
「…あッ、…当たり前だろうがッ!!」
…あ、…い、…いや…。…正確には、チンポの形がはっきりと分かるほどの勃起は見られたことがないと言った方がいいだろうか。だって、ジャージやジーパン越しの膨らみは何度も見られているわけだし。
すると、コウはニヤリとして、
「じゃあ、リキのチンポ、見せてもらおうっかな!!」
と言い、ぐっしょりと汚れた黒いスパッツのウエスト部分に手を掛けた。
「…なッ!?…やッ、…止めろオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!」
いくら何でも、淫猥な液体でぐっしょりと濡れたチンポを見られるのは抵抗がある。ましてや、まだ大きく勃起したままだし!
だが、コウはあっと言う間にウエスト部分のゴムをグイッと持ち上げたんだ。
「うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺は頭を上げ、顔を真っ赤にし、目を大きく見開いてそこを見ていた。
「…う…わあ…!!」
コウが言葉を失ったかのようにその場で固まる。
コウが黒いスパッツのウエスト部分を持ち上げた時、その生地と俺の腹を濃白色な液体の塊が糸を引いて繋ぎ、ボタッと言う音を立てて腹の上に落ちた。
「…リキのチンポ…。…しっかり剥けてる…!!…それに、…毛も生えてるんだな…!!」
「…そッ、…そんなに見るなよッ!!…もッ、…もうッ、コイツを解いてくれよッ!!」
コウにペニスを見られて、俺のそれは俺の意に反してビクビクと脈打った。
「しょうがないなぁ!」
コウはそう言うと、俺の両手首と両足首に貼り付けた粘着テープをベリベリと音を立てながら剥がした。
「…」
俺は勢い良く立ち上がり、淫猥な液体があちこちに付かないようにスパッツを慎重に下ろして行く。
「…」
そんな俺をコウがじっと見つめている。
「見るなよッ!!」
思わず顔を真っ赤にして怒鳴っていた。そして、
「俺はホモじゃないッ!!」
と思わず言い放っていたんだ。
「…え?」
コウは目をパチクリさせている。
「男にイカされたからって、俺はホモじゃねえッ!!」
「…」
だが、コウは目をパチクリさせたまま、その場で固まっている。
「…何だよ…!?」
思わずそう尋ねていた。するとコウは、
「…リキ…。…それ、…本気で言ってる?」
と言って来たんだ。
「ああッ!!俺はホモじゃねえッ!!」
その時だった。不意にコウの顔がクシャッと歪んだかと思うと、
「プッ!!」
と吹き出し、狂ったように笑い始めたんだ。
「アハハハハハハハハ…ッッッッッッッッ!!!!!!!!」
「…んな、…何だよッ、コウウウウウウウウウッッッッッッッッ!!!!!!??」
何だか、今日のコウにはイライラさせられっぱなしだ。
「…だ、…だって…ッ!!…リキが、…あまりに下らないことを言うからだろう…ッ!?」
顔を真っ赤にし、目にいっぱい涙を溜めたコウがヒィヒィと苦しそうに呼吸をしながら言う。
「…リキがホモじゃないことくらい、分かってるよ。…男だろうが、女だろうが、気持ちいいことは関係ないんだ。…チンポを刺激されて、感じちゃって、それで射精しちゃう…。…それは男にやられても、女にやられても一緒だよ…!!」
「…そ、…そう…なのか…?」
中学生のくせに、妙に大人ぶった発言をすることがあるコウ。特に、こう言うエッチなことに関しては。コウはコクンと頷き、
「だから、心配しなくてもいいよ、リキ」
と言うと、手を差し出した。
「?」
「…それ…。…スパッツ…」
「…あ!」
俺は、俺の淫猥な液体でぐっしょりと濡れたスパッツをコウに渡した。
「…ごめんな、…汚しちまって…!」
「大丈夫だよ。洗濯出来るんだし」
俺はティッシュで腹とペニスの周りに付いたそれを拭き取り、クシャクシャと丸めてゴミ箱へ放り投げた。
「またやろうな、リキ!」
「…あ、…ああ…」
コウの説明によれば、気持ち良ければ、男だろうが女だろうが関係ないと言っていた。
「…またな…」
俺はそう言うと、コウの家を出た。
「…」
俺の後ろ姿を部屋の窓から眺めていたコウだったが、俺が穿いていたスパッツをそっと顔に近付け、その臭いを嗅いでいたことを、俺は知らないでいた。