そして僕らは大人になる 第12話
それにしても、コウのあの知識はどこから仕入れているのだろうか。コウとエッチな話をしていると、明らかに圧倒されている自分がいる。
「まだまだお子ちゃまだなぁ、リキは!」
顔を赤らめ、目をギラギラと輝かせているコウ。そんなコウに引き気味になりながらも、どこか尊敬していた。
「だいたいさぁ、お前、どこからそんな情報を仕入れて来るんだよ?」
ある時、俺は半ば呆れ顔でコウに尋ねたことがあった。するとコウは、
「そんなん、決まってるじゃん!!」
と言い、
「ネットですよ、旦那!!」
と言った。
「…あ…」
「そうだよね。今じゃ、何を探すにしてもインターネットだもんね!!」
傍で目を輝かせて聞いていた小太郎までもが納得したように言う。
「んまッ、まさかッ、リキッ!!そう言う情報を調べたりしないのかッ!?」
「…あ…ッ、…当たり前だろうッ!?…だッ、…だいたいッ、俺らはまだまだ中学生なんだぜッ!?そんなことを、調べたらダメに決まってるだろうッ!?」
…いや…。…多分、コウにはばれていたはず。俺が顔を真っ赤にしてムキになって言うあたり、俺自身もそう言う関係のことをネットで調べていると言うのは見抜いているはずだ。
…実際、親に内緒でコソッとそう言う情報を調べたことがある。もちろん、女の子とのそう言う話を、だ。
「…ふ〜ん…」
「…な…ッ!?」
案の定、コウはニヤニヤとしながら俺を見つめている。
「…な…ッ、…何だよッ、コウッ!?」
するとコウは、
「小太郎はともかく、お前が調べないなんて言うのはおかしいよなァ?」
と言ったのだ。
「…ぐ…ッ!!」
言い返せない。
「…リキ兄ちゃんも、…そう言うの、調べたことあるの?」
小太郎が目を潤ませて聞いて来る。
「ないないッ!!ないないないなああああああああいいいいいいいいッッッッッッッッ!!!!!!!!」
顔を真っ赤にして、俺は思わず叫んでいた。
「リキぃッ!!」
リキと小太郎とエッチな話をして疲れてしまった俺。何もやる気が起こらずに家へ真っ直ぐに帰ろうと思った時、コウが声をかけて来た。
「コウッ!!てめえッ!!」
俺は思わずコウの胸倉を掴む。
「お前のせいでッ、午後の授業が全く身に入らなかったじゃねぇかよッ!!」
「…ふ〜ん…?」
ニヤニヤと俺を見つめているコウ。
「…な、…何だよ…ッ!?」
「…リキぃ…。…午後の授業が全く身に入らなかったって、…何で…?」
「うぐ…ッ!?」
…墓穴…。
その時だった。
コウが右手を素早く伸ばしたかと思うと、俺の股間をギュッと握ったんだ。
「あッ!!」
突然のことに俺は短い悲鳴を上げ、腰を折り曲げる。
「…コ…ッ、…コウ…ッ!!」
顔を真っ赤にしてコウを睨み付ける。だが、コウはニヤニヤと笑いながら、
「…リキぃ…。…リキのチンポ…、…勃起してねぇ?」
と言った。
「…く…ッ!!」
そうなんだ。
黒い学ランのズボンの中心部分。俺の男としての象徴であるペニスが勃起し、大きなテントを張っていたんだ。
「…く…っそ、…おおおお…ッッッッ!!!!」
「…ククク…!!」
その時、コウは俺のペニスを握っている右手を素早く握ったり開いたりを繰り返した。それはつまり、俺のペニスが揉み込まれて刺激が加わることを意味し、
「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と、俺は悲鳴を上げていた。
「ははッ!!リキったら、それだけで感じてるのかよッ!?」
「…ぐ…ッ、…うううう…ッッッッ!!!!」
顔を真っ赤にして股間を押さえてくの字に腰を折り曲げている俺。周りの友人達は、いつものことだと無視を決め込んでいる。
「でさぁ、リキぃ!!」
その時、コウが突然、明るい声を出したかと思うと、俺の肩を抱いた。
「…な、…何だよ…ッ!?」
俺のアソコはビンビンに勃起したままだ。
「…リキを、…もっと気持ち良くしてやろうか?」
「…え?」
思わず聞き返す。するとコウは、
「イイモノが手に入ったんですよッ、旦那ぁッ!!」
と言った。
「…いいもの…?」
ここが中学生の性の事情に逆らえない部分。興味はあるし、気持ち良くもなりたい。
「…ッ!?…コッ、…コウ…ッ!?」
「あはッ!!バレた?」
コウの2本の足の付け根部分。黒い学ランのズボンに包まれたその部分も大きく盛り上がっていたんだ。
「絶対、リキも気持ち良くなれるからさッ!!」
そう言いながら、俺の背中をグイグイと押す。
「…お…?…お…?」
そのまま教室の外へ押し出される俺。
「…来るよな?」
俺に顔を近付け、小声で言うコウ。
「…小太郎は?」
すると、コウはフルフルと首を振る。
「小太郎には刺激が強すぎるんだよッ!!リキだから誘いたいんだ!!」
その顔がほんのりと赤らんでいる。
「…」
俺は、一瞬、嫌な予感もした。だが、やっぱり中学生。性の欲望には逆らえない。
「…分かった。…じゃあ、このまま、お前んちに行っていいか?」
「OKッ!!」
ニヤリと笑うコウ。そして、
「じゃあ、一緒に帰ろうぜ!!」
と言うと、俺とコウは一緒に学校を出た。
その「イイモノ」が、俺をこの上なく淫らにし、狂わせるものだとは、この時の俺は知らないでいた。