そして僕らは大人になる 第13話
「はい」
コウの家に着くと、コウは俺にいつもの黒いスパッツを渡して来た。
「ん」
ここまではいつものようにお決まり。俺は制服のズボンとその下に穿いていたボクサータイプのパンツを脱ごうとした。
「…ッ!!…みッ、見るなよッ!!」
相変わらず、コウはニタニタと俺のことを見ている。いや、俺のことと言うよりも、俺の足の間でブラブラと揺れているペニスを見ていたと言ってもいいだろう。その瞬間、俺はコウにクルリと背を向けた。するとコウは、
「え〜?いいじゃあん!いつも見慣れてるんだしぃ…!!」
と言うと、背を向けている俺の双丘をスルッと撫で上げた。
「んひゃッ!?」
その途端、得も言われぬ悪寒が俺の体を駆け巡り、俺はビクリと体を跳ねらせた。
「…んなッ、…何すんだよッ!?」
顔を真っ赤にして怒鳴る俺。でもコウは、
「だってぇ、リキがチンポを見せてくれないんだもぉん!!」
と悪戯っぽい笑みを浮かべて言う。
「見せるかッ!!」
そう言いながらさっさと黒いスパッツを穿いた。
「んで?どうするんだ?」
上半身は黒い学ランを纏い、下半身は黒いスパッツ1枚の姿。何とも滑稽だ。するとコウは、
「いつもみたいに、上半身は裸になってよ!!」
と言い出したのだ。
「はあ?寒いだろうがッ!!」
俺がそう言うと、いきなりコウが抱き付いて来た。
「ぬわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
突然のことに悪寒が走る。するとコウは、
「…大丈夫だよ…、…リキぃ…」
と言った。
「…お、…おい、…コウ…」
「…うん?」
「…お、…お前…。…何で、顔を赤らめてるんだ?」
「…だって…」
ウットリしたような表情で俺を見上げるコウ。
「…だってオレ、リキが好きなんだもん…」
「…え、…え…っと…ぉ…」
「…ぷッ!!」
俺が物凄い顔をしていたからだろう。コウは突然、吹き出したかと思うと、大声で笑い始めたのだ。
「…じょ、…冗談に決まってんだろうッ!?…でも、いつも上半身は裸なんだからさ、今回も裸になって欲しいなぁ…!!」
「…わ…、…分かったよ…」
時々、コウの言うことが本気なのか、冗談なのか、分からなくなる。
俺が学ランとシャツ、更にその下に着ている半袖シャツを脱ぐ。
「…これで…、…いいか…?」
黒いスパッツと茶色く薄汚れた白い靴下だけ身に着けている俺。
「うんッ!!カッコいいッ!!」
コウは相変わらず、顔を赤らめて俺を見ている。そして、
「じゃあさ!!」
と言うと、
「いつもみたいにベッドに大の字になってよ!!」
と言った。
「…お、…おう…」
心なしか、心臓がドキドキと高鳴っている。やっぱり、エッチなことを考えると興奮してしまうし、コウが言っていた「イイモノ」が気になってしょうがない。
「…あれ?」
「え?」
コウがニヤリとする。
「…リキぃ…。…いやらしいこと、考えてたろ?」
「…え?…あ…!!」
そうなんだ。
気が付いた時、俺のペニスは黒く薄いスパッツの生地の中で大きく勃起し、その形をクッキリと現していたんだ。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
「…フフッ!!」
その時、コウの右手が伸びて来て、俺のペニスとその下に息づく2つの球体をそっと包み込んだ。
「…あ…」
ピクッ、と体を跳ねらせる俺。
「…凄いなぁ…、…リキのチンポ…」
その手がゆっくりと俺のペニスを這う。
「…あ…ッ!!…ん…ッ!!」
その甘い刺激が俺に快楽を与えて来る。
普通なら、他人に自分の性器を触られたら手で払い除ける。だけど、この時の俺は何故か、それが出来なかった。
…まぁ、性の快楽への興味と言うのもあったのだけど…。
「…リキのチンポ…、…すっげぇ、硬い…。…それに、…熱い…!!」
「…や…、…め…ろ…!!」
ピクッ、ピクッ、と体が痙攣する。
「…リキ…。…手足を縛るよ?」
「…え?」
その時、俺は両手首と両足首の下にマジックテープの付いた太い紐のようなものがあるのに気付いた。
「…え?…ちょ、…コ、…コウ…ッ!?」
今までは床の上に粘着テープで大の字になって拘束されていただけだったのに、今日は拘束具のようなものがある。
「は〜い、失礼しまぁす!!」
はっと我に返った時、コウが俺の両手首と両足首にその拘束具をクルクルと巻き付け、あっと言う間に拘束してしまっていた。
「…あ…、…ああああ…ッッッッ!!!!」
どんなに力を入れて引っ張ったりしても、それは外れることがなかった。
「無駄だよ、リキぃ。リキは今、捕らわれたヒーローなんだから!!」
そう言うと、コウはスマホを構えた。
カシャッ!!カシャッ!!
シャッター音が聞こえた時、俺は俄かに顔を真っ赤にすると、
「とッ、撮るなよッ!!」
と怒鳴った。だがコウはフフッと笑い、
「オレのオナニーのオカズにするんだぁ!!」
と言いながら、その画像を俺に見せて来た。
「ほら、リキぃ。リキの姿、滅茶苦茶、エロいんだけど?」
「…あ…、…あぁぁ…」
恥ずかしさに顔が真っ赤になる。大きく大の字に広げられた両腕と両足。少しだけ日に焼けた体、成長途中の中途半端な両手両足。真っ黒なスパッツにこんもりと浮き出た俺の男としての象徴。そして、薄茶色に汚れ、足の形が付いている白い靴下。
ドクンッ!!ドクンッ!!
その姿を見た時、俺の心臓は何故だか、大きく高鳴っていた。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
「あれあれえ?何だよ、リキぃ。自分のエロい画像を見ただけで興奮したのぉ?」
コウが素っ頓狂な声を出すのも無理はない。
俺のペニスは今、最大限に勃起し、ビクッ、ビクッ、とスパッツの中で脈打っていた。