大義名分 第5話
ドゴオオオオッッッッ!!!!ドゴオオオオッッッッ!!!!
鈍い音と共に巻き上がる砂塵。そして、
「…ぐ…ッ!!」
「…ぐあ…ッ!!」
「…ああッ、ああああッッッッ!!!!」
と言う沢村の悲鳴が聞こえて来る。
「…は…ッ、…離せ…ええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!」
体中に巻き付いている触手のようなもの。それがギリギリと音を立てながら沢村の両腕、両足、体、首を締め付けて行く。そして、その触手の出所には、
「ヒイイイイイイイイイイイイイイイイッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と言う奇声を発する不思議獣ヌメヌメが勝ち誇ったような顔付きをしていた。
「…何とか…、…この触手を振り解かなくては…!!」
その時だった。
ビキビキビキビキ…ッッッッ!!!!
衝撃波と共に激痛が沢村の体を襲う。
「うぐううううううううッッッッッッッッ!!!!!!!!」
体中に超高圧の電流が流され、激痛が支配する。
「…ぐ…ッ、…う…ッ、…うううう…ッッッッ!!!!」
ヌメヌメの触手の締め付けが更に強くなる。まるで、沢村の体に更なる超高圧の電流を流そうとするかのように。
「…ま…、…ず…い…ッ!!」
体を駆け巡る超高圧電流が強くなるたびに、体に纏っているコンバットスーツの電子回路が暴走し始める。それは、沢村自身の精神力や呼吸をも狂わそうとして来る。
「(…このままでは…ッ!!)…ぬううううううううううううううううッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
その時だった。
沢村は宙に浮いた状態で空を思い切り蹴り上げた。そして、体をくるりと一回転させたかと思うと、
「うおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と雄叫びを上げ、その身を思い切り捻ったのだ。と、次の瞬間、
ブチッ!!ブチブチブチブチッッッッ!!!!
と言う鈍い音が聞こえ、
「ヒギャアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と言う不気味な悲鳴を上げて、ヌメヌメが背後へ引っ繰り返った。
「ギャアアアアッッッッ!!!!ギャアアアアッッッッ!!!!ギャアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
沢村を締め上げていた触手がズタズタに切断され、そこからドクドクと不気味な色の体液を放っている。
「ヌメヌメッ!?」
その光景に驚いたボーイが思わず声を上げる。だが、
「…」
と、ポーは相変わらず無表情なまま、目の前の光景を見つめていた。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
沢村は体中に巻き付いたヌメヌメの触手を振り解き、ドサドサと言う音を立てて放り投げる。そして、何とかその束縛から解き放たれ、大きな呼吸をしながらポー達を睨み付けた。
「ヒョエエエエエエエエエエエエエエエエエッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
怒り狂ったようにヌメヌメが触手をブンブンと振り回し、駆け出して行く。沢村はその時、グッと腰を落とした。そして、レーザーブレードに手を当て、すぅっと切っ先の方へとその手を動かした。
「レーザーブレードッ!!」
その瞬間、レーザーブレードは青白い眩い光を放った。
「行くぞおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ヒョエエエエエエエエエエエエエエエエエッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
沢村とヌメヌメの距離が物凄い勢いで縮んで行く。
「ヒイイイイイイイイッッッッッッッッ!!!!!!!!」
「とぅッ!!」
ヌメヌメが触手を振り上げれば、沢村がレーザーブレードを振り上げ、それを振り解く。
ズバアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!
「ギャアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!」
鈍い音と共に触手が叩き斬られ、ヌメヌメが悲鳴を上げ、ヨロヨロと背後へ後ずさる。
その時、シャイダーのマスクの真っ赤な目がキラリと輝く。そして、
「シャイダーブルーフラアアアアアアアアッシュッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と言う掛け声と共に、レーザーブレードを真横一文字に振った。
ズバアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
「ギィエエエエエエエエエエエエエエエエエッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
鋭い衝撃音と共にヌメヌメが断末魔の雄叫びを上げる。そして、
ドオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンンンンンンンンンンンンンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
と言う轟音と共にその身が大爆発を起こした。
「ヌメヌメエエエエッッッッ!!!?」
ダンが目を見開き、叫び声を上げる。だが、ポーは、
「…」
と、相変わらず無表情なまま、じぃっと目の前の光景を見つめるだけだった。
「…ククク…!!」
ジンが低く笑い、
「…全く…。…よくやるよなァ、シャイダー…」
と、意地悪い目付きを沢村へ向かって放つ。
「…ポー様の目の前でヌメヌメを倒しちまうなんて…」
その目がキッとシャイダーを睨み付けた時だった。
「…覚悟は出来てるんだろうなああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!????」
ジンが剣のような真っ赤なものを振り上げ、
「うおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と、沢村へ向かって突進して行く。
「とぅッ!!」
お互いが剣を振り下ろす。
キイイイイイイイイイイイイイイイインンンンンンンンンンンンンンンンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
金属同士がぶつかり合う鋭い音が辺りに響き渡る。
「はああああッッッッ!!!!」
「とぅッ!!」
キイイイインンンンッッッッ!!!!キイイイイイイイイイイイイイイイインンンンンンンンンンンンンンンンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
剣と剣がぶつかり合い、鋭い音が耳を劈く。
その時だった。
「フーマダライ、フーマビャクライ…」
ポーがぶつぶつと何かを呟き始めたのだ。
「フーマダライ、フーマビャクライ…。フーマダライ、フーマビャクライ…。フーマダライ、フーマビャクライ…!!」
地の底から聞こえて来るような不気味な呪文。それがポーの口から放たれた時、
「うぐッ!?」
と言う声を上げ、沢村は体をビクリと跳ねらせた。そして、
「…あ…あ…あ…あ…!!」
と短い声を上げながら、体をガクリと折り曲げる。
「…あ…ッ、…頭が…ッ!!」
意識が飛びそうになるほどの激痛。思わず、頭を両手で抱え込むようにする。
「…どうしたことだ…ッ!?…きゅ、…急に…ッ、…体が…ッ!?」
鉛のように重い、いや、何かの重力に押さえ付けられたかのようになっていることに、沢村は呆然とする。
「フーマダライ、フーマビャクライ。フーマダライ、フーマビャクライ。フーマダライ、フーマビャクライ。フーマダライ、フーマビャクライ…」
その間もポーの呪文のような言葉は続き、沢村の体の動きを封じ込めるようにする。
「…ぐ…ッ、…うううう…ッッッッ!!!!…うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
今、沢村はただ、叫ぶことしか出来ないでいた。