大義名分 第8話
「…てんめぇ…ッ!!…よくも、ボーイを…!!」
苦しそうに顔を歪めるボーイを抱きかかえ、怒りに目を真っ赤に血走らせているダン。
「…許さねえええええッッッッ!!!!」
そう怒鳴ると、ダンは長槍を大きく振り回し、
「うおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と沢村に向かって飛び出して来た。
(…ッッッッ!!!?)
その時、沢村はダンの長槍が不意に鞭のようにしなったかと思うと、物凄い勢いで自身に向かって飛んで来ていることに気付いた。
「ふんッ!!」
「はああああッッッッ!!!!」
レーザーブレードでそれらを弾き飛ばし、ダンとの間合いを詰めて行く。
「うおおおおりゃああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「とぅぅぅぅぅぅぅぅッッッッッッッッ!!!!!!!!」
ダンの長槍と沢村のレーザーブレードが再びぶつかり合い、ギイイイイイイイインンンンンンンンッッッッッッッッ、と言うけたたましい音を立てる。
「…ぐ…ッ、…うううう…ッッッッ!!!!」
「…許さねえッ!!…許さねえ許さねえ許さねえええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!」
ダンの長槍を下から支えるようにして受け止めている沢村。その力が物凄く強いことを感じていた。
(…これが…ッ、…不思議時空での力…ッ!!)
不思議時空に飛び込んだフーマ一族の力は通常の4倍になる。その力に、今の沢村は圧されそうになっていた。
「ビデオッ、ビームガンッ!!」
片手でレーザーブレードを支え、咄嗟にビデオビームガンのトリガーを引く。
バシュウウウウウウウウッッッッッッッッ!!!!!!!!
衝撃音と共に、眩い青白いレーザービームが飛び出し、それがダンの体を直撃する。そして、バアアアアアアアアンンンンンンンン、と言う爆発音を上げた。
「うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
その衝撃に、ダンの体が背後へ吹き飛ぶ。
「…へぇぇ…」
その光景を見ていたダイがニヤリと笑う。
「なかなかやるじゃないか…!!」
その目が不気味に歪み、同時に両方の拳が妖しく緑色に輝き始めた。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
夥しい量のミラクラーを倒し、不思議獣ヌメヌメを倒し、更にフーマ5戦士の2人を退ける。多勢に無勢。それだけでもエネルギーをかなり消耗した沢村は今、シャイダーの光沢のある銀色のコンバットスーツの中で大量の汗をかき、大きな呼吸を繰り返していた。
(…残るは…、…3人…)
だが、その時、目の前にはジンとダイしかいないことに沢村は気付いた。
(…ッ!?…ブンは…ッ!?)
視線だけを動かし、辺りを見回したその時だった。
カッカッカッカッ!!!!カカカカッッッッ!!!!
無数の星型の手裏剣のようなものがあちこちから飛んで来た。そして、それらはシャイダーのコンバットスーツや地面に突き刺さると、
バアアアアンンンンッッッッ!!!!バアアアアンンンンッッッッ!!!!スガアアアアアアアアンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!
と言う音を立てて爆発し始めたのだ。
「うわッ!!ああッ!!ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
コンバットスーツに突き刺さったそれが爆発するたびに、沢村は悲鳴を上げ、体を仰け反らせる。
「…ッッッッ!!!?」
地面をゴロゴロと転がり、次に気付いた時には巨大な真っ青なボールのようなものが物凄い勢いで沢村に飛び込んで来た。
ドガアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!
「ぐわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
沢村の体が弾き飛ばされ、悲鳴を上げる。
ドガアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!ドガアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!
その後も、その巨大な真っ青なボールは沢村に体当たりを続ける。そのたびに沢村は、
「ああッ!!ああッ!!ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と悲鳴を上げ、宙を舞い、地面にしたたかに体を打ち付けた。
「…ぐ…ッ、…うううう…ッッッッ!!!!」
激痛が体に走る。何とかしてヨロヨロと立ち上がると、その巨大な真っ青なボールはスゥッと地面に下り立ち、光を放った。そして、
「…ククク…!!」
と、中からブンが現れた。
「どうだい、宇宙刑事さん?」
ブンの目がギラギラと輝いている。
「宇宙刑事って言うわりには、あんまり大したことないねぇ…」
「…な…、…に…ッ!?」
怒りに握り締めた拳がギリギリと音を立てる。だが、既に体力をかなり消耗している沢村にとっては、既に窮地に追い込まれていることも分かっていた。
(…一体、どうすれば…ッ!?…このままでは…!!)
「じゃあ、次はダイだね!!」
「おうッ!!任せとけッ!!」
その声が聞こえた瞬間だった。
ドゴオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!
沢村の体がビクリと大きく跳ね、腹からくの字に折り曲がった。
「…ぐふ…ッ!?」
一瞬、何が起きたのか、分からなかった。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
気が付いた時には、コンバットスーツに覆われた沢村の腹部に緑色に光る鋼鉄の拳が減り込んでいた。
「…ククク…!!」
ダイがニヤニヤと笑いながら沢村を見上げている。
「…隙だらけだぜ、宇宙刑事さんよぉ…!!」
そう言いながら、その右手の拳をグイッと押す。そして、沢村がよろめいた次の瞬間、
「食らえええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と叫ぶと、その右手を沢村の左頬へ思い切り叩き付けた。
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
鈍い音が聞こえたその瞬間、
バリイイイイイイイイイイイイイイイインンンンンンンンンンンンンンンンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
と言う鋭い音が聞こえ、
「ぐはああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と言う悲鳴と共に沢村の体が吹き飛ばされた。
「…ククク…!!」
ダイはそれを勝ち誇った目で見ている。
「…ぐ…ッ、…うううう…ッッッッ!!!!」
左頬を押さえ、ヨロヨロと立ち上がる沢村。その時、沢村は左頬にひんやりとした風を感じていた。
「…ッ!?…マスクが…ッ!?」
沢村の頭部を守るように覆うマスク。そのバイザーの部分が大きく割れ、中から鬱血した沢村の顔が見えていた。
「…フフッ!!」
不意にポーが笑みを浮かべる。
「これでシャイダーの力も半減したことでしょう」
そう言うと、横にいたジンをチラリと見やると、
「後はあなたがとどめを刺せばいいだけのこと。そして、その後はゆっくりと…」
と言った。その口元には不気味な笑みが浮かび、その目がいやらしいほどにギラリと光る。
「…これでお爺様も安心…!!」