殿御乱心! 第7話

 

 江戸時代から明治時代に立てられたような、広大な中庭を持つ立派なお屋敷。

 その奥まったところに、シンケングリーン・谷千明の部屋はあった。

「ほらッ、さっさと入れよッ!!他の連中に見つかったら大変だろうが!!

 千明が部屋の襖を開ける。今時の子らしい、乱雑な部屋。

「ったく、人使い荒れぇよなぁ、千明は!」

 シンケンゴールド・梅盛源太がやれやれと言う口調で言いながら大きく溜め息を吐いた。

「るっせッ!源太がオレの奴隷だからだよッ!!

「ちょッ、おまッ!!タケちゃんの前でそんなこと言うッ!?

 源太はそう言うと、肩に抱えていたものを放り投げる勢いで落とした。

「ぐはぁッ!!

 ドサッと大きな音を立てて崩れ落ちたのは、シンケンレッド・志葉丈瑠だったのだ。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!

 シンケンレッドに一筆奏上している丈瑠。千明の足元で四つん這いになり、荒い呼吸を繰り返している。

「丈瑠ぅ、大丈夫かぁ?」

 同じようにシンケングリーンに一筆奏上した姿の千明はしゃがみ込むと、「火」の文字をあしらった真っ赤なマスクの中を覗き込む。丈瑠の表情は虚ろになり、半ば呆然としているようにも窺えた。

「おいおい、丈瑠ぅ。まだまだ始まったばっかだぜ?」

 そう言うと千明は立ち上がり、ツカツカと丈瑠の背後へ回り込む。

「うっわぁ〜…」

 思わず声を上げずにはいられなかった。

 千明の部屋の照明に照らされて、丈瑠のスーツがキラキラと反射する。特にそれは、黒光りする丈瑠の尻の肉付きをクッキリと浮かび上がらせていた。程よく筋肉の付いた丈瑠の尻。ぷりんとしていながらもどこかガッシリとしていて、魅力に溢れていたのである。

「…丈瑠のケツ、すっげぇ、いやらしい…!」

 千明はそう言うと、丈瑠の右尻にそっと触れた。

「んあッ!!

 その感覚に、丈瑠が思わず声を上げ、ピクリと顔を上げる。千明は無言のまま、丈瑠の尻を優しく撫でたり、ぐっと掴んで揉んだりを繰り返す。

「…すっげぇ…」

 千明がはぁはぁと荒い息を上げる。その吐息が、「木」の文字をあしらった緑のマスクの中から漏れる。

「…噛み付きたくなる…!」

 その時、千明のマスクが光り、中から千明の素顔が現れた。

「…ち、…千明…!!

 事の成り行きを見守っていた源太が思わず声を上げた。

「…千明ぃ…。…なんてエロい顔してんだよ…!?

 顔をほんのり紅潮させ、虚ろな瞳で丈瑠の尻を撫で続ける千明。そんな千明の表情を見て、源太が思わず自身の股間に手をやり、そこに息づく自身のそれを揉み込む。シンケンゴールドに一貫献上した源太のそこは既に大きく勃起していた。

 すると千明は、ゆっくりと顔を丈瑠の尻へ近付ける。

「…?」

 千明の行動を目で何とか追おうとする丈瑠。と、その時だった。

「んぐッ!?ぐわああああッッッッ!!!!

 丈瑠が悲鳴を上げ、ビクンと体を跳ねらせた。

「ちッ、千明ぃッ!?

 源太も思わず声を上げる。

 千明が丈瑠の尻に思い切り噛み付いていたのだ。そして、次に千明は丈瑠の股の間へ手を伸ばしたかと思うと、その中心部に息づいている丈瑠の男子としての象徴をキュッと握ったのである。

「はああああッッッッ!!!!

 丈瑠が再び、ビクビクと体を跳ねらせる。

「ああッ!!ああッ!!ああッ!!

 千明はなおも、丈瑠の股間のそれを妖しく撫で続ける。その手の動きに合わせるかのように丈瑠が叫び声を上げる。

「…やッ、…止め…ろ…ぉ…ッ!!

 ブルブルと体を震わせながら、丈瑠が声を上げる。だが、言葉とは裏腹に、体が抵抗を試みることはなかった。

「…すっげぇ…!!

 源太は呟くように言うと、大きく勃起した自身のそれをゆっくりと上下し始める。

「…んッ!!…クッ…!!…んん…ッ!!

 源太の呼吸も次第に荒くなって行く。と、その時だった。

 …クチュッ!!…キュッ!!…クチュクチュ…!!

 どこからか淫猥な音が聞こえて来る。

「…げ、…げ…ん…た…!!

 丈瑠が顔を上げ、呆然と源太を見つめている。

「…ああ。…タケちゃんを見ていたら、…こんなになっちまったぜ…!!

 シンケンゴールドの濃紺のスーツがキラキラと輝き、その中で源太の股間がクッキリとその存在感を現していた。

 だがその時、源太は異変に気付いた。

「…た、…丈…瑠…?」

 クチュクチュと言う淫猥な音は、自身の股間からだけではなく、他のところからも聞こえているような気がしたからだ。

「…ま、…まさ…か…!!

 その時、「光」の文字をあしらった金色のマスクが光り、中から源太の素顔が現れた。

「おい、千明ッ!!

 その言葉に、

「…あ、…あれ?」

 と千明が我に返る。

「…源ちゃん?」

「まぁた、お前は自分だけの世界にトリップしていたのかよぉッ!?

 千明は熱中し過ぎると自分だけの世界に入ることが多かった。今も、無心に丈瑠の股間を撫で続けていたのだ。

「ちょッ、退けッ!!

 源太はそう言うと、丈瑠の背後から千明を押し退けた。そして、

「タケちゃん。ひっくり返らせるぞ?」

 と言い、丈瑠の腰を掴んだかと思うと、仰向けにひっくり返らせたのである。

「…はぁ…、…はぁ…!!

 丈瑠が荒い息をして、床の上に伸びるようにひっくり返る。

「…あぁ…!!

「…や、…やっぱり…!!

 千明と源太が一斉に声を上げる。

 丈瑠の股間。それまで誰にも触られたり、刺激されたことがなかったであろうそれは、今、黒く光るスーツの中で大きく盛り上がり、その形を浮かび上がらせていた。そして、その先端からはてらてらと光る、粘着質な液体がスーツから溢れ出して来ていたのである。

 

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