殿御乱心! 第12話
…クチュッ!!…クチュッ!!…クチュクチュ…!!
古い和様建築の建物の一室。障子越しに静かに差し込んで来る光の中で、もぞもぞと蠢く黒い影。
「…ん…ッ!!…んん…ッ!!」
やや低めの声。赤と黒を基調とした光沢のあるスーツに身を包み、上に伸し掛かった男のキスを受けている。シンケンレッド・志葉丈瑠。そして、そんな丈瑠の体にまたがるようにした、金色と紺色を基調とした光沢のあるスーツに身を包んだ男は丈瑠に、時には甘く、時には激しくキスの雨を降らせる。2人が口や舌を絡め合う淫猥な音が響き渡っていたのだ。
「…丈…ちゃん…。…丈ちゃんッ!!」
シンケンゴールド・梅盛源太。丈瑠の上で懸命に腰を振る。
「んんッ!!ああああッッッッ!!!!」
と突然、丈瑠が叫び声を上げた。
「…丈ちゃん…。…気持ちいいのか…?」
グイグイと自身の腰を上下に振りながら、源太が丈瑠に問い掛ける。
「…わッ、…分からん…ッ!!…でッ、…でも…ッ!!」
この時、丈瑠は自分の体の異変に気付いていたのだ。その時、
「…フフッ!!」
と源太が笑ったかと思うと、右手をゆっくりと下半身の方へ移動し始めた。そして、
「…丈ちゃん、…勃ってるぜ?」
と言い、丈瑠の黒いスーツの中で山を作り出している部分をキュッと握ったのだ。
「んあああああッッッッッ!!!!!!」
その途端、丈瑠の体が大きく跳ね、四つん這いになって覆い被さっている源太の体が一緒に飛び跳ねた。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
ビクンビクンと体を跳ねらせながら、顔を真っ赤にして虚ろな表情で源太を見る丈瑠。
「…いいのか?…ここが、…いいのか?」
源太はそう言いながら、ゆっくりと丈瑠の大きく勃起した股間を優しく撫でる。
「…んッ!!…んん…ッ!!」
妖しく蠢く源太の手。その手が丈瑠の大きく勃起したそれの先端に触れるたびに、丈瑠が艶めかしい声を上げる。
「…丈ちゃん…、…すっげぇ、…いやらしい…!!」
源太はそう言うと、丈瑠の股間を優しく撫でながら、再び丈瑠にキスをした。
…チュッ!!…クチュクチュ…!!
淫猥なくすぐったい音が再び響き渡る。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
丈瑠は相変わらず虚ろな表情のまま、ぼんやりと源太を見上げている。
「フフッ!」
すると源太は、悪戯っぽい笑みを浮かべ、丈瑠の股間に触れていた手をそっと離した。
「…?」
丈瑠はゆっくりと源太の右手を追うように視線を動かす。そして、真っ赤になっていた顔を更に真っ赤にさせた。
「…ん?」
その視線を目で追った源太は、自身の股間を見やると再び丈瑠を見つめ、ニヤリと笑った。
「…げ、…源太…」
荒い息をして、丈瑠が声を上げる。すると源太は、
「ああ、そうだよ。丈ちゃんがあんまりにいやらしいから、オレのここ、こんなになっちまったぜ!」
と言った。と、その時だった。
「ちょっとッ、源ちゃんッ!!」
背後で少年のような甲高い声が聞こえ、源太がビクリとなる。
「…あ…!」
恐る恐る後ろを振り返る源太。
「…ちょっとぉ…ッ!!…源…ちゃあん…!!」
頭の上に角が見えた、ように思えた。
「丈瑠と2人だけの世界に入り浸ってんじゃねぇよッ、源ちゃんッ!!」
つかつかと源太の背後にやって来たのは緑と黒を基調とした光沢のあるスーツに身を包んだ1人の男。シンケングリーン・谷千明。
「…わ、…悪りぃ…!…つい、…我を忘れちまった…!!」
さっきとは打って変わって、顔面蒼白な源太。
「あ、でッ、でもッ、ちゃんと大事なことは残してあるぜぇ?」
源太はそう言うと立ち上がり、千明の両肩を掴んだ。
「大事なこと?」
千明が怪訝そうな顔をする。すると源太は大きく首を縦に振り、
「丈瑠の秘め始め、ロストバージンですよぉ、旦那ぁ!!」
と言った。
「秘め始め?」
「…ロスト、…バージン…?」
千明と丈瑠が交互に声を上げる。
「そそそそ!!!!」
源太は明るい口調でそう言うと、丈瑠の未だ勃起し続けている股間を再び握った。
「んああああッッッッ!!!!」
その途端、突然の刺激に丈瑠が大声を上げた。
「さっき、千明はここを手でイカせたよな?ここをお口で愛撫するってぇの、まだなんですけど?」
「んなッ!?」
その言葉を聞いた途端、丈瑠が声を上げた。
「丈ちゃんもさぁ!」
源太はわざと大きな声を出すと、丈瑠の背後に回り、床に寝転がっていた丈瑠を背後からゆっくりと起こし、羽交い絞めするような体勢を取った。
「んなッ!?げッ、源太ッ!?」
突然のことに狼狽する丈瑠。
「丈ちゃんもさ、もっと気持ち良くなりたいだろ?な?」
「ちょッ、ちょっと待てッ!!…おッ、…俺は…ッ、…ああッ!!」
源太の羽交い絞めから逃れようとしていた丈瑠が、突然、声を上げた。
「あッ!!あッ!!あッ!!あッ!!」
背後に回り、丈瑠を羽交い絞めしていた源太が、丈瑠の胸の突起をクリクリと弄っていたのだ。
「…んッ!!…んあッ!!…げッ、…源…太…ぁ…ッ!!」
途端に体から力が抜けたようになる丈瑠。そして、再び虚ろな目をし始めた。
「さぁッ、今だッ!!千明ぃッ!!」
2人の成り行きをじっと見守っていた千明に、源太が声をかけた。
「お前の願いだったんだろッ!?丈瑠に、エッチなことをしたかったんだろッ!?」
「…」
だが、千明はその場に立ち尽くしたままだ。
「どッ、どうしたんだよぉッ、千明ぃッ!?」
いつもなら突進して来るはずの千明が動こうとしない。その間にも、源太は丈瑠の胸の突起を刺激し続け、
「あッ!!あッ!!あッ!!あッ!!」
と丈瑠は艶めかしい声を上げ続ける。
「千明ぃッ!?」
「…よし!」
突然、何かを決したように千明が声を上げた。そして、
「丈瑠ッ!!」
と叫び、両足を投げ出している丈瑠の股の間に入り込んだ。
「お前のバージンッ、頂くぜッ!!」
そう言ったかと思うと、千明は丈瑠の股間をギュッと握り締めた。
「はああああッッッッ!!!!」
丈瑠が声を上げる。その瞬間、千明の頭が大きく動いたかと思うと、
ジュブッ!!
と言う鈍い音を立て、丈瑠の股間がスーツごと千明の口にすっぽりと覆われていたのだった。