女王の妖魔術 第3話

 

 ドゴオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

「…ぐふ…ッ!?

 鈍い音が聞こえた時、豹はバルパンサーのマスクの中で大きく目を見開いていた。

「…ぐ…、…あ…!!

 光沢のある鮮やかな黄色のスーツの腹部に、さす股のような鉄の槍のようなものが減り込んでいる。

「グフフフフ…!!

 某民族の仮面のようにけばけばしい色をした顔を持つマジンモンガーが低い声で笑っている。

「…く…ッ、…くそ…ッ!!

 マジンモンガーの武器を掴み、大きく上部へ振り上げる。そして、

「はああああッッッッ!!!!

 と、豹はマジンモンガーの大きな顔目掛けて右足を振り上げた。

 ドゴオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

 鈍い音が聞こえたその時、

「ぬおおおおおおおおッッッッッッッッ!!!!!!!?

 と言う悲鳴を上げてマジンモンガーが後ろへ転げる。

「お返しだああああッッッッ!!!!

 豹はそう叫ぶと、両手をまるでネコ科の動物のように構え、上空へ飛び上がった。と言っても、狭い洞窟の中なのでほんの少ししか飛び上がる余地はなかったが。

「ローリングッ、パンサアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!

 高速でクルクルと上空で舞ったかと思うと、そのままの勢いでマジンモンガーへ突っ込んだのだ。

「グギャアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!

 あまりに激しい衝撃にマジンモンガーの体が吹き飛び、地面の上でゴロゴロとのた打ち回った。

「どんなもんだいッ!!

 豹がそう言った時だった。

「ぬううううううううッッッッッッッッ!!!!!!!!

 ヘドリアンが顔を真っ赤にし、歯軋りをしたかと思うと、

「はああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 と叫び、両腕を思い切り振り上げた。と、次の瞬間、

 ドオオオオオオオオンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!

 と言う衝撃音と共に、豹の周りが再び爆発したのだ。

「うわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 目に見えない攻撃に悲鳴を上げる豹。そして、再びそのまま背後へ引っくり返った。

「モンガアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!

 怒り狂ったマジンモンガーが、さす股のような武器を今度は豹の首に押し付けて来た。

 ドゴオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

「…んぐ…ッ!?

 呼吸が止まる。

「…ぐ…、…おおおおおおおお…ッッッッッッッッ!!!!!!!!

 両手でその武器を何とかして持ち上げようとする豹。だが、

 ドガガガガッッッッ!!!!

 ドゴオオオオッッッッ!!!!

 と言う音と共に、鈍い痛みが体中を駆け巡った。

「うぐッ!?

「うわッ!!

「うわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 マシンマン達が一斉に飛び掛かり、地面に引っくり返っている豹を足蹴にし始めたのだ。

「…やッ、…止めろオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

 大鷲と鮫島に連絡を取ろうとした。だがすぐに、

「…うううう…ッッッッ!!!!

 と呻き声を上げ、豹は思い止まった。

 その頃、大鷲と鮫島は洞窟の外でブラックマグマの攻撃を受け、戦闘を繰り広げていたのだ。

「アァッハハハハハハハハ…!!

 ヘドリアンの勝ち誇った笑い声が響く。

「どうじゃ、バルパンサーッ!?独りでのこのことやって来て、生け贄の女をも助けることが出来ぬ若造がッ!!

 その時だった。

「モンガアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!

 マジンモンガーがさす股のような武器を思い切り振り上げた。そして、それで今度は豹の腹部を何度も何度も打ち付けた。

 ドゴオオオオッッッッ!!!!

 ドゴオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

 鈍い衝撃音と共に、豹の腹部にそれが突き刺さる鈍痛。そして、不快な感覚が腹部から込み上げて来るような感覚がした。

「…ぐ…ッ、…うううう…ッッッッ!!!!

 その武器を避けたくても避けられない。両足をバタバタとさせ、腹部を折り曲げることくらいしか、今の豹に出来ることはなかった。

「とぉどぉめぇだああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 目をギラギラと光らせ、ニタニタと不気味な笑みを浮かべるマジンモンガーが、さす股のような武器を一際高く振り上げた、その時だった。

「止めいッ、マジンモンガーッ!!

 突然、ヘドリアンが右手を振り上げ、マジンモンガーを制した。

「…じょッ、…女王様…ッ!?

「…?」

 ぼんやりとする意識の中で、豹はヘドリアンを見上げる。とその時、ムスッとした表情のヘドリアンと目が合った。だがすぐに、その顔がニヤリと不気味に歪み、

「ンハハハハハハハハ…!!

 と言う低い笑い声が洞窟の中に響いた。

「…マジンモンガー。バルパンサーを殺すのはいつでも出来る。だが、私は精神的な苦痛を与えるのが好きじゃ」

「…それはつまり…」

 ヘドリアンの言葉にピンと来たのか、マジンモンガーもニヤリと笑う。

「そうじゃ。そなたの金縛りで、この者に精神的な苦痛を与えるのはどうであろうの?」

「…な…、…何だと…!?

「幸い、ここにはゼロガールズや生け贄の女性2人、そして、マシンマンもいる。こやつに、バルパンサーに生け贄のエネルギーを差し出させるのはどうじゃ?ん?アァッハハハハハハハハ…!!

 その時、ヘドリアンの瞳がギラギラと輝き、顔にはほんのりと赤みがさしていた。

「かしこまりましたッ、女王様ッ!!

 マジンモンガーがそう言った時、その目がギラリと光った。とその瞬間、

「モンガー金縛りイイイイッッッッ!!!!

 と叫び、その目から妖しく光る赤いビームが豹に向かって発射された。

「うぐッ!?

 その途端、豹の体がビクン、と大きく痙攣したかと思うと、

「…あ…あ…あ…あ…!!

 と言う短い声と共に、豹の体が立ち上がったのだ。

「…う…ッ、…動けない…ッ!!

 何とかしたいのに、体が全く動かない。

「…ッッッッ!!!!

 豹は唯一動かせる頭を左右に動かしながら、

「…オレを…ッ!!…オレを…ッ、…どうする気だああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 と叫んでいた。

 

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