おにぃさんの性教育 第8話
「…ん…」
ゆっくりと覚醒して行く意識。その時、豹はぼんやりとしていた。
「…ここ…、…は…?」
暖かい。柔らかい感覚。いや、少しだけ硬いだろうか。でも、心地良い。
「…ん…」
その柔らかく、硬いものに抱き付くようにして、豹は穏やかな笑みを浮かべた。だがそれも束の間、
「…え?」
と言って物凄い勢いで見上げた。
「…やっと起きたか…?」
「…ひょッ、ひょひょオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!????」
物凄い素っ頓狂な声を上げて物凄い勢いでベッドから飛び起きた豹。
「…さささ…、…さめ…、…さめ…ッ!?」
「落ち着けッ、豹ッ!!」
予想通りの展開と言うか、こうなることは既に分かっていたと言うような表情で溜め息を吐くと、鮫島もむっくりとベッドの上に起き上がった。
「…どッ、…どどど、どうしてそんなところにいるんだよッ!?」
顔を真っ赤にした豹が声を上ずらせて尋ねる。すると鮫島は、
「お前が飛羽にやられてしまった後、意識を失ったからだろう?仕方がないから、オレがお前を優しく抱き締めて一緒に寝てやったんじゃないか!!」
と言うと膨れっ面をしてみせた。
「…ったく…。…お前のせいでオレまでとんだとばっちりを受けたじゃないか…!!」
「…あ…」
その時、豹は真っ赤な顔を更に真っ赤にした。
「出るッ!!出るッ!!出るウウウウウウウウウウウウウウウウッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
飛羽に男としての象徴であるペニスを刺激され、何度も何度も絶頂に達しそうになる瞬間にその刺激を止められ、狂っていた。バルパンサーに変身し、自身のそこを刺激していた豹。そんな豹のその弱みを握り、楽しそうにいじめている飛羽。そして、豹のペニスがぶちゅっ、と言う音を立てたその瞬間、
ドビュッ!!ドビュッ!!ドビュドビュドビュドビュッッッッ!!!!ドビュドビュドビュドビュッッッッ!!!!ビュウウウウッッッッ!!!!ビュウウウウッッッッ!!!!ビュクビュクビュクビュクッッッッ!!!!
と言う物凄い音と共に、豹のそこから大量の濃白色な強烈な臭いを放つ淫猥な液体が、バルパンサーのスーツと言う障害物があるにもかかわらず、それを突き破る勢いで飛び出し、豹の体の上、その周り、そして、豹の頭を飛び越えて鮫島にまでかかったのだ。
「…ごめん…」
少し落ち着きを取り戻したのか、豹がしゅんとなってベッドの上に座っていた。豹は未だにバルパンサーに変身したままだった。そして、相変わらず、ペニスの周りはぐっしょりと濡れていた。
「…フフッ!!」
こちらも同じようにバルシャークに変身し、ヘッドボードに上半身をもたせ掛け、下半身は布団の中に入ったままの鮫島が、
「飛羽にやられて、そんなに気持ち良かったのか?」
と尋ねた。すると豹は顔を真っ赤にしたまま、
「…うん…」
とコクンと頷き、目に涙をいっぱい溜め始めた。
「でッ、でもッ!!…あッ、あんなことになるとは思わなかったんだ…!!」
「まぁ、アイツも人が悪いと言うか、意地悪なところがあるからなぁ…」
苦笑する鮫島。その時、豹は鮫島の目の前までずいずいと膝歩きして来ると、
「…なッ、なあッ、鮫島あッ!!」
と、その目を大きく見開いて言った。
「…なッ、…何だよッ!?」
そのあまりの勢いに、鮫島の体が仰け反る。
「…お…ッ、…お前…ッ!!…ひ…、…飛羽…と…。…飛羽…と…!!」
「付き合っているのか、って?」
「う゛んッ!!」
強調するように、豹は何度も何度も首を縦に振る。しかも力み過ぎたのか、うん、が、う゛んになっていた。
「…あ~…」
そんな、ふんふんと鼻息荒い豹に若干引きつつ、鮫島は言う。
「…ああ…。…付き合っているのは本当だ」
「…そ、…それ…って…。…それって…」
豹の目が更に大きく見開かれて行く。そして、
「…それって…ッ!!…ホッ、…ホモじゃないかああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と叫ぶと、正座したままぴょんと飛び上がり、鮫島の目の前からベッドの端まで飛んでいた。
「…お前なぁ…」
溜め息を吐く鮫島。そして、
「別に誰と付き合おうと、オレの勝手だろう?それに、男だとか女だとか、関係ないと思うぜ?たまたま好きになった相手が同じ男だった、それだけのことだろう?」
と言った。
「でもでもでもでもッッッッ!!!!そッ、それは自然の摂理に反することであって…」
「自然の摂理って何だよ?」
「…あ…」
鮫島の表情がかなりムッとしている。
「何だよ、豹?男は必ず女と付き合わなければならない、結婚して子供を残さなければならない、そう思っているのか?」
「…え、…ええっと…」
「そんなの、おかしいね。誰と生きようが、それは人それぞれだ。自分がこの人と一緒にいたい、この人に添い遂げたい、と思う人と一緒にいられれば、それでいいんじゃないのか?それに、恋なんてしない、一人で生きるって言うヤツだっているんだぜ?」
「…う…、…うん…」
こんなに静かに怒る鮫島を久しぶりに見たような気がする。豹はそう思い、視線をきょときょとと忙しなく動かしていた。
「ましてや、誰とも付き合ったことがない、恋愛経験がないお前に言われたくないねッ!!」
「そッ、それは言わないでッ!!」
「そもそもさ。お前、女の子とイチャイチャ出来るそう言うお店にも行ったことがないんだろう?」
「わああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
その瞬間、豹は鮫島に飛び掛かっていた。
「…え?」
その時、豹は鮫島の足の上に跨るような格好になり、そのまま鮫島にしがみ付いていた。
「…ひょ、豹…?」
鮫島は思わず豹を抱き締めている。
「…お願い…。…お願いだよ、鮫島ぁ…ッ!!」
えぐえぐとしゃくり上げる豹。
「…オレ…。…オレぇ…。…未だに童貞なのが恥ずかしいんだ…」
「…何で?」
「だだだ、だってそうだろうッ!?オレッ、もう19なんだぜ!?19だったら、恋の1つや2つくらいあったって…」
「でも、なかったじゃないか」
「う゛ッ!?」
鮫島が意地悪い笑みを浮かべている。そんな鮫島のツッコミに、豹は何も言えなくなり、またえぐえぐとしゃくり上げ始めた。
「ああッ、もうッ!!泣くなッ!!」
パシッと豹の頭を叩くと、
「あ痛てッ!!」
と、豹は短く言って頭を押さえた。
「…なぁ、…豹…」
「…ひょ…?」
ドクンッ!!
豹の心臓が大きく高鳴る。鮫島の瞳に吸い込まれそうになる。
「…オレと…、…しないか…?」