僕だけのヒーローU 第9話

 

「うがああああああッッッッッッ!!!!!!

 低い野太い絶叫が、狭い僕の部屋の中に響き渡ります。

「…いッ、…痛てええええッッッッ!!!!…シッ、…シオンんッ!!…止めてくれええええッッッッ!!!!!!

 深紅のクロノスーツを身に纏ったタイムファイヤー・滝沢直人さん。床の上に大の字に寝転がり、両足を持ち上げられています。その両足を持ち上げているのは、普段着のままの僕。そして、そんな直人さんの股間に僕は右足を捩じ込ませ、激しく小刻みに動かしていたのです。

「ほらほらぁ!早くしないと、直人さんの大事なところが潰れちゃいますよぉ?」

 僕の右足は、直人さんの2本の足の付け根部分にふてぶてしくぶら下がっている2つの球体を直接刺激していたのでした。

「…はッ、…早くしろ…って、…な、…何を、…だ…ッ!?

 息も絶え絶えに直人さんが問い掛けます。タイムファイヤーのマスクが、ゆっくりと僕を見上げます。この時、僕の体は物凄く火照っていました。ぞわぞわとしたおぞましい感情が、僕を支配していたのです。

「直人さん。…僕の奴隷になって下さい…!!

 今から思えば、よくそんなことが言えたなと自分でも感心するほどです。当然、直人さんは、

「…だッ、…だから…ッ!!…それは竜也に言え…って、…ああッ!!ああああッッッッ!!!!ぐわああああああッッッッッッ!!!!!!

 直人さんの声が、途中から悲鳴に変わりました。

「ああああああッッッッッッ!!!!!!やッ、止めてくれええええええッッッッッッ!!!!!!痛てええええええッッッッッッ!!!!!!

 直人さんの大きな叫び声が僕の耳を劈きます。

 それでも、直人さんは一切、抵抗しようとはしませんでした。両腕は真横へ伸ばしたまま、手のひらだけを握ったり開いたりを繰り返します。両足も僕に足首を持たれたまま、微動だにさせません。

「たッ、頼むううううううッッッッッッ!!!!!!…シッ、…シオンんんんッッッ!!!!…ほ、…本当に…ッ、…潰れるううううッッッッ!!!!

 タイムファイヤーのマスクが徐々に後ろへ仰け反って行きます。それに釣られるかのように、直人さんの体もどんどん弓なりになって行きます。

「じゃあ、僕のお願いを聞いてくれますか?」

 足の動きをピタッと止めて、僕は直人さんに尋ねました。

「うぐッ!?…あ…ッ、…ああ…ッ!!…かは…ッ!!

 突然、刺激を止められて、直人さんが体をビクビクと跳ねらせます。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ…!!

 光沢のある深紅のクロノスーツの、胸の部分が大きく上下しています。

「…ねぇ、直人さぁん…」

 僕はもう一度、直人さんに声をかけました。でも、右足は直人さんの大きく勃起したその上に乗せたままです。

「…直人さぁん。…僕の奴隷になって下さいよぉ!!

「…っ…く…ッ…!!

 言葉に詰まりながらも、じっと僕を見つめる直人さん。その時、僕の右足の下にある直人さんの股間のそれがビクビクと脈打ったのが分かりました。

「あはッ!!直人さんったら、本当に変態さんですねぇ!!僕の言葉責めで感じちゃってるんですかぁ!?

「だッ、誰がッ!!

 直人さんが強がります。

「…あ、…そうですか…」

 僕はそう言うと、ゆるゆると足を動かし始めました。

「…じゃあ、…もっとお仕置きしなくちゃ…!!

「んなッ!?ちょッ、シッ、シオンッ!?

 直人さんの慌てた声。有無を言わさず、僕は再び右足を小刻みに動かし始めました。

「うッ!?あッ!?ああッ!!ああッ!!あああッッッ!!!!あああッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!

 直人さんの体が再び弓なりになって行きます。

「やッ、止めろおおおおッッッッ!!!!

 直人さんがそう叫んだその時でした。

 ドビュッ!!ドビュドビュドビュドビュッッッッ!!!!

 僕の足の下にある直人さんの大きなそれが大きく跳ねたかと思った次の瞬間、その部分が光沢を失い、じわじわと何かが染み広がって行くのが分かりました。

「…え…?」

 僕は思わず絶句。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ…!!

 直人さんは荒い息をしているようで、タイムファイヤーのマスクの中からゼエゼエと言う声が聞こえます。

「…う…!!

 その時、直人さんが声を上げたかと思うと両手でタイムファイヤーのマスクを持ち、頭を少しだけ起こしてゆっくりとそれを取ったのです。

「…うわぁ…!!

 僕は声を上げずにはいられませんでした。

 直人さんの精悍な顔は真っ赤になり、無数の汗の玉が滴っていました。そして、髪の毛はぐっしょりと汗で濡れ、キラキラと光り輝いていたのです。

「…」

 僕が何も言えずに呆然としていると、

「…気は、…済んだか…?」

 と直人さんが言いました。

「…え?」

 我に返った僕はそう言うのが精一杯でした。

「…俺をイカせて、…こんな無様な姿にさせて、…それで満足か…?」

 直人さん、怒ってるんでしょうか…?

 僕の電気アンマで射精してしまった直人さん。今、直人さんのタイムファイヤーの股間はぐっしょりと濡れ、そこからは強烈な異臭が漂っています。

「…あの…」

「じゃあ、俺も言いたいことがある…!」

 ゆっくりと立ち上がると、直人さんはじっと僕を見下ろします。

「…な、…直人…さん…?」

 思わず、僕は後ずさりました。

 その時でした。直人さんが急に僕を抱き締めて来たのです。

「…え?」

 僕は驚いて声も出ません。

「…シオン…様…!」

 さっきまでとは打って変わって、優しい直人さんの声が頭上から降り注ぎます。

「…な、…直人…さん…?」

 その時、僕はまるで直人さんに吸い寄せられるかのように、じっと直人さんを見つめたまま、身動きが出来なくなっていました。

 今までに見たことがないくらい、優しい笑みを零している直人さん。

「…俺、…分かりました。…シオン様に甚振られて、物凄く興奮していたのも事実です。…どうやら、シオン様に甚振られることに、快感を覚えてしまったようです…!」

「…直人…さん…」

「それに、さっき飲んだお茶。俺を眠らせる薬を入れていたと仰いましたよね?実はあれ、殆ど、効いていなかったんですよ」

「…え、…ええッ!?

 直人さんの声に驚かされっ放しです。

「地面に倒れたすぐ後、すぐに意識が回復していたんです。…でも…」

 そこまで言うと、直人さんはちょっと顔を赤らめました。

「…シオン様に何をされるんだろうって、…期待している自分もそこにはいたんですよ…!」

「…ぷ…ッ…!!

 あまりのギャップに、僕は笑うしかありませんでした。

「…な、…な、…直人さん…ッ!!…ダメだ…ッ!!…おかしすぎる…!!

 肩でひくひくと息をする僕を、直人さんは静かに抱き締めていてくれました。

 

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