ジグザグ青春ロード 第10話

 

「…洋…平…?」

 僕は戸惑っていた。

 僕の部屋で体を重ねていた洋平が、僕と洋平それぞれの腕に付けているターボブレスを同時に操作し、僕はイエローターボに、洋平はブルーターボに変身していたんだ。お互いの顔が見えているのだから、マスクは付けていない状態だった。

「…何で、…変身…?」

 顔が凄く火照っていた。多分、僕の顔は真っ赤になっていたと思う。すると洋平はにっこりと微笑んで、

「変身した方が、ムード出るかなぁ、なんてね!」

 と言い、再び顔を僕に近付けて来た。

 チュッ、チュッ、と言うくすぐったい音と、

「…ん…、…んふ…!」

「…ん…、…んあ…!」

 と言う甘い吐息が混ざり合う。

 洋平のキス。僕をとろけさせるくらい、凄く上手いんだ。さすが、女の子にも手を出すのが早い洋平。何だか、ちょっと悔しい。

「…んん…ッ!!

 僕は無意識に洋平の背中に腕を回した。すると、洋平もそれに応えてくれるかのように、僕の背中に腕を忍び込ませ、ギュッと抱き締めてくれた。

 …チュッ!!…クチュッ…!!

 くすぐったい、心地良い音が僕の部屋中いっぱいに響き渡る。

「…洋…平…」

 やがてお互いの唇が離れた時、僕は洋平の名を呼んだ。

「…?」

 穏やかな笑みを浮かべて、洋平が僕を見つめている。

「…ズリィよ、洋平…!」

「え?」

 僕が不満気な顔をすると、洋平がきょとんとした表情で僕を見た。

「…洋平、…僕の気持ちを分かってんだろ?…それなのに、僕に意地悪ばっかりして…!」

「だぁってぇ…!」

 不意に洋平がニヤリとした。

「オレ、恥ずかしいもん!素直に言えないんだもぉん!」

「僕は素直に言って欲しいの!」

 僕はそう言うと、洋平を再びギュッと強く抱き締めた。

「意地悪すんなよッ!!僕のことが本気で好きなら、意地悪なんかすんなよッ!!

 僕はそう言うと、洋平の顔をぐっと持ち上げた。

「分かったッ、洋平君ッ!?

 じっと見つめる。洋平も僕をじっと見つめている。だが、さっきまでの悪戯っぽい笑みは消え、真面目に僕のことを見ていた。

「…ごめんな、俊介」

 不意に洋平が僕に呟いた。すると洋平はゆっくりと体を起こし、ベッドに腰掛けた。

「…ごめんって…?」

 急に不安になった。このまま、洋平が僕を拒否して帰ってしまうんじゃないか、そんな不安が僕の頭の中を過ぎった。

「…オレ、…どうも真面目に気持ちを伝えるのが苦手でさ…。…女の子ならまだしも、…その、…男…だろ?…しかも、…大好きな、…同じターボレンジャーの仲間の、…大切な俊介…にだろ?…何か、…こう、…免疫がないっつーか…」

 急にしどろもどろになる洋平。しかも顔は真っ赤だし。

「…テレ隠しのつもりだったんだけど、…それが、…逆に俊介を振り回しちまったかな…?」

「アホッ!」

 僕はその時、洋平の頭を思い切り引っ叩いていた。

「痛てッ!」

 洋平が頭を押さえ、信じられないと言う顔付きで僕を見つめる。

「あのねぇ、洋平君!」

 僕はそう言うと、今度は自ら体重を掛けて洋平を押し倒した。ドサッと言う音と共に、今度は洋平が下になって倒れ込んだ。

「…俊…介…?」

「男とか、女とか、関係ないねッ!好きになったことに変わりはないんだからッ!好きになったものはどうしようもないんだからさッ!」

 僕はそう言うと、再び洋平を抱き締めた。

「…僕は絶対に離れないぞッ!!どこまでも洋平に付いて行くんだからなッ!!暴魔と戦って、死ぬ時は一緒だぞッ!!

 その時だった。またもや、洋平の腕に力が入り、ぐりんと言う音が聞こえるほど、僕と洋平の体勢が逆転した。また僕が洋平の下になったんだ。

「…洋…平…?」

 さっきまでのおちゃらけな表情が一転、真剣な表情で僕を見つめる洋平。

「…死なせはしない…!」

「…い、…いや、…例えばって話で…」

 今度は僕が戸惑う番だった。真剣な眼差しで僕を見つめる洋平に面食らう。

「…俊介を、…死なせはしないッ!!…オレが、…絶対に守るッ!!

「…だッ、…だから…」

 例えばの話だってば、と言おうとした瞬間、洋平の唇が再び僕の唇を塞いだ。

 クチュクチュッ!!クチュクチュクチュ…!!

 さっきの比ではなかった。洋平の舌が、僕の口の中に強引に入って来て、僕の口の中全てを舐め取るように強引に蹂躙する。

「…ん、…んん…ッ!!

 息が苦しい。思わず洋平の背中をドンドンと叩いた。暫くすると口が離れ、洋平がゆっくりと体を起こした。

「…はぁ…、…はぁ…!!

「…はぁ…、…はぁ…!!

 僕も洋平も顔が真っ赤になっている。

「…あ…」

 その時だった。僕の目に飛び込んで来たもの。それを見た瞬間、僕の心臓がドキドキと早鐘を打ち、思わず僕は息を飲み込んだ。

 光沢のある、鮮やかな青色のスーツ。洋平の体のラインをくっきりと浮かび上がらせるそのスーツに、一際目立つところがあった。

 洋平の股間。その中に、僕が水泳部の部室で見たものと同じ形のものが、クッキリと浮かび上がっていたんだ。

 それを見た瞬間、光沢のある、鮮やかな黄色のスーツの中にある僕のそれまでもが痛いくらいに盛り上がり、形を作り上げた。

「…俊介…」

 洋平が僕の視線に気付いたのか、ゆっくりとベッドから下りると、ベッドの端に座り込んだ僕の目の前に仁王立ちになった。

「…いいよ、俊介…」

 穏やかな笑みを浮かべて僕を見る洋平。

「…お前なら、…いくらでも触っていいよ。…好きなこと、していいよ…」

「…う…あぁ…!」

 朝、屋上で、競泳水着の上から触った以来だ。

 僕は手をブルブルと震わせながら、そっと洋平の股間を包み込んだ。

「んッ!!

 ピクリと体を反応させる洋平。

(…相変わらず、…大きい…!)

 硬くなった部分を静かに摩る。僕のイエローターボのグローブと、洋平のブルーターボのスーツが擦れ合い、ざわざわと音を立てる。

「…洋…平…!!

 頭がぼぉっとしていた。夢にまで見た洋平の股間。それが今、まさに僕のものになろうとしている。

 ゆっくりと顔を近付けて行く。だが、洋平は一向に腰を引く気配がない。朝とは大違いだ。

 そのまま、僕はゆっくりと洋平の股間に顔を埋めた。

 

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