最後の恋 第8話

 

 大地君がターボレンジャーの1人、ブラックターボであると分かった翌日。

「…ううう…ッ!!

 僕はいつもの喫茶店に行くのを躊躇っていた。と言うか、入るのを躊躇っていた。

「…ど、…どうしよう…!!

 まさか、大地君の目の前で泣くなんて、思いもしなかった。2年前、突如、街の中に現れた不気味な姿をした集団・暴魔百族に対して戦ったターボレンジャーの1人が大地君だったなんて。

 その暴魔百族が現れた理由が、僕達人間だった。人間が自然を破壊するあまり、その暴魔百族の復活を阻止していた妖精達の力が弱まり、暴魔百族は人間に恨みを晴らすためにその封印を破って街の中に現れ、次々に破壊と殺戮行動を繰り返したんだ。そして、その暴魔百族を倒すためにターボレンジャーが現れた。

「そりゃあ、怖かったですよ。だって、いつも死と隣り合わせだったんですから!!高いところから突き落とされたり、目の前で爆発が起こってそれに巻き込まれたり、鋭い刃とかで斬られたり…」

 そう言って苦笑した大地君。

「オレがターボレンジャーになったのって、結構、単純だったんですよ!!子供の時、森の奥で妖精の光を浴びたんですよ。それが俺だけじゃなく、力や洋平、俊介、そしてはるなもそうだった。って言うか、運命の5人が同じ高校の、同じクラスにいるのって、まさに運命じゃないですか!?

 こんなに若い子が、高校生と言う一番多感な頃に、そんな恐ろしいことをやっていたなんて…。

 そんな大地君の話を聞きながら、僕は胸がいっぱいになっていた。そして、気が付いたら泣いていた。

「…ごめん…」

「…え?」

「…僕達…、…大人が…、…もっと…しっかり…していれば…。…もっと…、…この世の中のことを…、…しっかり考えていれば…!!

 そして、僕は何故か分からないけれど、あやまっていた。僕のせいではないかもしれない。でも、僕は何故か、大地君にあやまってばかりいた。

 その時、不意に大地君が僕をそのがっしりとした両腕で包み込んで来たんだ。

「…英浩さんのせいじゃありませんよ…。自分のせいとか、思わないで下さい。少なくとも、オレは自分の意志でターボレンジャーになったんですから。それに、オレは今、こうやってちゃんと生きてますからッ!!

 もう、誤魔化すことが出来ない。はっきりと確信した。

(…僕は…、…大地君に恋をしている…!!

 そんな時に限って、イタズラの女神は僕にイタズラを仕掛けて来るんだ。

 ガランッ!!ガラン、ガラン…。

 大きなベルの音が聞こえたのと同時に、

「あれ?英浩さん?」

 と言う聞き慣れた声。

「ひゃッ!!

 その声に僕は驚き、素っ頓狂な声を上げてしまっていた。その声に大地君も驚いたようで、

「…どッ、…どうしたんですかッ!?

 と尋ねて来た。

「…え?…あ、…あああ、何でもないッ!!何でもないッ!!

 僕は両手を前へ突き出し、思い切りブンブンと振る。すると大地君はいつものようにニッコリと微笑んで、

「お茶、して行きます?」

 と聞いて来た。

「…え?…あ、…う、…うん…」

 結局、お店へ入ることになった僕。僕がお店へ入ろうとしたその時、大地君は不意にニヤッと笑ったんだ。

「…な、…何?」

 嫌な予感。すると大地君は、

「昨夜の英浩さんの泣き顔、かわいかったなぁって!!

 と言ったんだ。

「…な…ッ!?

 僕は俄かに顔を真っ赤にし、

「…おッ、…大人をからかうなよッ!!

 と言うと、大地君の目の前を通り過ぎた。そして、その勢いで真っ黒なジーパンに包まれた、大地君の2本の足の付け根部分のふくよかな膨らみをギュッと握ってやったんだ。

「んあッ!?

 その刺激に、大地君がビクリと体を痙攣させる。

「…ひ…、…英浩さぁん…!!

 不意のことを突かれて、大地君は顔を赤らめ、泣きそうな声を上げる。

「知らんッ!!

 僕も顔を真っ赤にし、ズカズカとお店の中へと入って行った。

 

「…はぁぁ…」

 その夜、僕はアパートに帰って来た。当然のことながら、誰もいない静かな部屋。

「…疲れたぁ…」

 スーツを脱ぎ、シャツ1枚になりベッドに横たわる。

「…大地君…」

 あの日。僕が酔った状態で足を滑らせ、階段を転落する時に無我夢中だった大地君がブラックターボに変身した。街路灯に照らされた大地君の漆黒のスーツ。そのガッシリとした2本の足の付け根に息づく大地君の男としての象徴が作り上げるふくよかな膨らみ。

「…大地君…」

 それを思い出しながら、僕は自分の男としての象徴をやわやわと揉みしだく。

「…ん…ッ!!…んふ…ッ!!

 その膨らみ、ボリューム。その大きさと温もりを僕は知っている。

「…英…、…浩…、…さん…ッ!!

 満員電車の中で触れた大地君の男としての象徴。スウェットズボンの中で息づくそれはジーパン越しでは分からないほどにその形をしっかりと僕の手のひらに伝えて来た。そして、大地君のそこは、僕がただ優しく包み込んでいるだけなのに大きく勃起し、それを僕はゆるゆると刺激した。

「…あ…ッ!!…あ…ッ!!

 顔を真っ赤にし、目をギュッと閉じて懸命にその刺激を堪える大地君。

「…大地…、…君…ッ!!

 クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!

 トランクス越しに飛び出した僕のペニスはクチュクチュと言う淫猥な音を立てながらその先端をてらてらと淫猥に照り輝かせている。

「(…大地君が…、…ヒーロー…!?)…ッ、…あ…ッ、…ああああ…ッッッッ!!!!

 そう考えただけで、僕の体には何とも言えない感覚と感情が押し寄せた。

(…ヒーロー…、…なのに…!!

 ヒーローだってやっぱり男だったんだ。僕達と同じように興奮したり、刺激されたりすれば、やっぱりペニスは大きく勃起する。そして、それを刺激されれば、艶かしい声を上げたり、懸命にそれを堪えようとする。

「…大地君…ッ!!…大地君んんんんッッッッ!!!!

 クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!クチュクチュグチュグチュグチュグチュッッッッ!!!!

 僕の手は自分自身のそれを刺激するのを止めない。いや、それどころか、その手の動きは加速度を増していた。

(大地君の苦悶する顔が見たい!!ブラックターボに変身した大地君の苦悶する顔が…!!

 それは、ヒーローと言う正義とカッコ良さの象徴である存在を貶め、辱めると言う、ある意味、背徳感に似た感情を僕に与えながらも、それに抗えない僕自身がいることを意味していた。

「うああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 僕の体は大きく仰け反り、その時が来た。

「…イクッ!!…イクッ!!…イクイクイクイク…ッッッッ!!!!

 その途端、僕の体が大きく跳ねた。そして、

 ドビュッ!!ドビュッ!!ドビュドビュドビュドビュッッッッ!!!!

 と言う音と共に、僕のペニスから大量の濃白色な、淫猥な液体が飛び出し、辺りに飛び散ったのだった。

 

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