ジグザグ青春ロード 第21話
(…ウ、…ウソ…だろ…ッ!?)
洋平の全体重が僕に伸し掛かり、ベッドの上で倒れ込んだ僕達。次の瞬間、洋平がとんでもない行動に出たんだ。
「…んッ!!…んん…ッ!!」
洋平の舌が、僕の口の中を動き回る。
…チュッ!!…クチュクチュ…!!
くすぐったい音が聞こえ始める。
「…ちょ、…ちょっと…ッ!!…洋平ぇッ!!」
洋平が呼吸のために口を離すタイミングを見計らって、僕は声を上げる。だが、ダメだ。
「…んんッ!!…んんッ!!」
僕の声が聞こえないみたいに、洋平が容赦なく僕の口の中を蹂躙する。
「…っあッ!!」
すると洋平は、今度は僕の首元を啄ばむようにして食み始めたんだ。
「…よッ、…洋平ぇッ!!…やッ、…止めて…ッ!!」
僕は必死に洋平を引き離そうとする。だけど、洋平の力の方が物凄くて、僕はベッドに押さえ付けられたままだ。こんな激しい洋平、見たことないッ!!
とその時、僕は自身の下半身にぶつかる物に違和感があった。
「…よ、…洋…平…?」
僕は呆然と洋平を見つめた。すると、そんな僕の表情を見てか、洋平がようやく僕から顔を上げた。
「…はぁ…、…はぁ…!!」
僕をじっと見つめる洋平。そんな洋平の顔を見た途端、
「よッ、洋平ッ!?」
と声を上げずにはいられなかった。そして、僕の目には再び涙が溢れ出した。
…洋平、…泣いてたんだ…。
「…あ…!」
洋平は我に返ったかのように、目を思い切り拭った。そして、笑い顔を浮かべると、
「…な、…何で泣いてんだろうなぁ、オレぇ?…俊介を泣かせたかったのになぁ…!!」
と泣き笑いの表情を浮かべた。
「バカッ!!」
僕も胸がいっぱいになり、いつの間にか、涙が頬を伝っていた。そして、ガバッと起き上がると洋平を思い切り抱き締め、
「泣けよッ!!悔しかったんだろッ!?だったら、我慢せずに泣けばいいんだよッ!!」
と叫んでいた。
「…っく…ッ!!…ふ…ッ!!」
暫くすると、僕の胸の中に顔を埋めていた洋平から嗚咽が漏れ始めた。
「…暴魔百族の、…アホぉ…ッ!!」
嗚咽する洋平を抱き締めながら、僕はポツリと呟いた。
僕の下半身にぶつかっていた洋平のアソコ。実は、大きくなっていなかったんだ…。
「…落ち着いた?」
どれくらいの時間が経っただろう。洋平がようやく泣き止み、僕に笑顔を見せた。
「…ごめんな、…俊介…」
お互いにベッドの上に向かい合って座り、恥ずかしそうに笑う洋平。
「…何かさ、…俊介をいじめたかったはずなのに、俊介のあまりに優しい顔を見ていたらさ、オレの感情がコントロール出来なくなっちゃってさ…。…俊介には、…泣き顔を見せたくなかったのになぁ…!」
「別に、謝ることじゃないよ!」
僕も何だか照れ臭くて、思わず洋平から目を逸らした。
「…あのさ、…洋平…」
僕はゆっくりと洋平を見つめた。心臓がドキドキ言ってる。顔も赤くなっているのが分かる。
「…僕も、…ありのままの洋平を見たいよ。笑ってる顔も、僕だけに見せる優しい顔も、暴魔百族と戦っている時の凛々しい顔も、怒っている顔も!」
その瞬間、洋平がニッコリと微笑むと、僕をギュッと抱き締めて来た。
「…サンキュ、…俊介…!!」
洋平の胸に凭れている僕。トクン、トクンと洋平の心臓の音が心地良い。
「…なぁ、俊介ぇ」
「…ん?」
僕はもぞもぞと洋平の胸の中で動き、洋平を見上げた。その途端、僕はドキッとなった。
洋平の顔が、心なしか赤らんでいたんだ。
「…オレの1つ目の夏は終わっちまったけど、…もう1つの夏は、始まったばかりなんだぜ?」
「…もう1つの、…夏…?」
洋平が何を言っているのか分からなくて、僕は思わず洋平に聞き返した。すると、洋平はニッコリと微笑んで、
「前にも言ったろ?これからは、俊介と一緒に居られる時間が増えるってことだよ!」
と言った。
「…それが、…もう1つの、…夏…?」
僕は目を点にしていたと思う。そして、洋平に思わず聞き返した。すると、洋平はニッと笑って、
「そ!」
と言い、僕をギュッと抱き締めて来た。
「…アホ…!!」
僕は嬉しさとくすぐったさで、思わずそう呟いた。
「…俊介…」
洋平がそう言ったかと思うと、僕らはお互いに見つめ合った。
「…俊介…。…ずっと愛しているからな!」
「…僕も…。…洋平のこと、…ずっと愛してるよ…!」
そう言うと、僕達は再び唇を重ねた。
…クチュクチュッ!!…クチュクチュ…!!
くすぐったい音が部屋に響き渡る。
「…俊介…」
じっと見つめる洋平。
「…今度こそ、…いいかな?」
「…うん」
言葉は何もいらなかった。僕は小さく頷き、目を閉じた。
ゆっくりと体が倒れて行く。洋平の両腕が、僕の両肩を掴み、ゆっくりと体重をかけて来る。
「…ねぇ、…洋平…」
大好きな洋平に包まれて、滅茶苦茶気持ちいい。
「…うん?」
穏やかな笑みを浮かべて、洋平が僕を見ている。
「…何だか、改まってってなると、…恥ずかしいね…!!」
僕がそう言うと、洋平は小さく微笑み、
「…オレも、…同じさ!」
と言い、僕の唇に小さくキスをした。
「…じゃあ…」
洋平はそう言うと、自身の腕と、僕の腕に付いているターボブレスをくっつけ、器用にボタンを押した。
その途端、洋平はブルーターボに、僕はイエローターボに変身していたのだった。