最後の恋 第12話

 

 …ドブッ!!…ドブッ!!

 僕の喉の奥深くへ打ち付ける熱い液体。ドロッとしていて、でも物凄く熱いそれは独特の臭いを漂わせ、僕の口腔から鼻腔へと抜けて行く。もわぁっとした、青臭い臭い。

「…ふ…ッ!!…んふ…ッ!!…んんんん…ッッッッ!!!!

 台所と大地君の間に座り込んだまま、僕は微動だにしない。それとは反対に、大地君は顔を真っ赤にし、目をギュッと閉じ、時々、体をブルブルと震わせながらビクッ、ビクッ、と腰を何度も何度も前後に動かす。

「…あ…ッ、…あ…ッ!!…あ…あぁぁ…!!

 大地君の大きく勃起した男としての象徴・ペニス。それが僕の口の中でビクビクと暴れ、その真っ赤に腫れ上がった先端の鈴口からは大量の淫猥な液体を放出している。そして、大地君の筋肉質な双丘がビクビクと収縮運動を繰り返し、その液体の最後の一滴までもを搾り出そうとする。

 正直、僕は驚いていた。若い子の精液と言うのは物凄く濃く、粘り気が強く、硬いものだと言うのは知ってはいたが、まさかここまでだとは思わなかった。僕の口いっぱいに広がる大地君の精液。それは強烈な臭いを放ち、僕の喉の奥に入り込んだものは強烈な苦味を伴い、思わずえづきそうになった。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!

 その時、大地君は僕をじっと見下ろしていた。真っ赤な顔、潤んだ瞳、ちょっと困ったような顔。そのどれをとっても、僕は見惚れていた。

(…やっぱり…、…僕は大地君が好きなんだ…)

「…ん…。…英浩さん…!!

 その時、大地君が僕を呼んでいるのに気付いた。

「…大…、…丈夫…、…ですか…?」

 はぁはぁと荒い呼吸をしながらも、僕を見てニッコリと微笑む大地君。その両手が僕の口元へ近付いて来たかと思うと、

「…ここに…、…出して…、…下さい…」

 と言った。

「…んん…」

 その時、僕は首を横に振ると、両手を大地君の後ろへ回し、その筋肉質な双丘をしっかりと鷲掴みにした。

「…え?」

 大地君がきょとんとする。僕はその時、意を決して喉を大きく動かした。

 …ゴクンッ!!…ゴクンッ!!

 大地君が放った淫猥な液体が僕の喉の奥深くへ入って行く。同時に、何とも言えない、あの独特の臭いが鼻を劈いた。

「…ひッ、英浩さんッ!?

 驚いた大地君が僕の口の中に入ったままのペニスを引き抜こうとする。だが、僕は大地君の筋肉質な双丘にしっかりとしがみ付いたまま、再び頭を前後に動かし始めたんだ。

 ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!

「はああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!????

 突然の刺激に大地君は目を大きく見開き、体をビクビクと跳ねらせる。

「…ちょ…ッ、…ひ…、…で…ひろ…、…さん…ッ!?

 その時、僕は舌を大地君のペニスの先端、真っ赤に腫れ上がり、敏感になっているそこへ巻き付けるようにしてグリグリと強く刺激し始めた。

 グジュグジュグジュグジュッッッッ!!!!グジュグジュグジュグジュッッッッ!!!!

「んあッ!?んあッ!?ああッ!?ああッ!?

 突然の強烈な刺激。射精したばかりの敏感なそこを強く刺激され、大地君にはくすぐったさにも痺れにも似た感覚が襲っているに違いない。けれど、僕は止める気は全くなかった。大地君を、ブラックターボである大地君に屈辱的な行為を与え辱める。そんな何とも言えないおぞましい感覚が僕の頭を支配していた。

 ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!

 グジュグジュグジュグジュッッッッ!!!!グジュグジュグジュグジュッッッッ!!!!

「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!

 大地君はその刺激から逃れようと、懸命に腰を振る。だが、瞬時に大量のエネルギーを消耗した大地君と僕とではその力の差は歴然だった。

 ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!

 僕は大地君のペニスをしっかりと味わうように、そして、大地君の淫猥な液体の最後の一滴までもを搾り取るように頭を前後に動かす。

「…ひッ、…英浩さああああんんんんッッッッ!!!!…もッ、…もうッ、…止めて…ッ、…くれええええええええええええええええッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 大地君がそう叫んだ時だった。

 ジュボッ!!

 と言う淫猥な音と共に大地君のペニスが僕の口から抜けた。そして、大地君はスウェットズボンと下着を足首までずり下ろした状態のままで数歩後ろへ下がったかと思うと、

「…あ…。…うッ、…うわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 と言う声を上げて背後へひっくり返った。

「…」

 終わった。そう思っていた。興奮の絶頂からひとたび冷静になると、やっぱり嫌悪感しか残らない。

「…痛…って…ぇ…!!

 大地君はしかめっ面をしながらゆっくりと起き上がると、おもむろにズボンと下着を上げた。

「…」

「…」

 気まずい空気が僕達の間を流れて行く。

「…大地君…」

 最初にその沈黙を破ったのは僕だった。

「…大地君…。…大地君は僕のこと、どう思っているの?」

 卑怯だ。自分の気持ちを伝えるのが怖いあまり、大地君の気持ちを聞こうとするなんて。

 すると、大地君は暫く無言だったが、やがて、

「…よく…、…分からないんです…」

 と答えた。

「…オレはさっき、英浩さんを抱き締めました。あの喫茶店で英浩さんと出会って、いろいろ話していて凄く楽しくて。…オレが、ブラックターボだって分かっても英浩さんは全く分け隔てなく接してくれて、むしろ、こんなオレのために泣いてくれて…。…オレ、英浩さんのことが好きなのかもしれないって…」

 そこで大地君は口を一旦、閉じた。

「…でも…。…オレ、今まで女の子しか好きになったことがなくて…。…高校を卒業して、大学も卒業したら社会人になって…。…そして、普通に女の子と恋愛をして、結婚して…。…でも…!!

 その時だった。大地君が僕を物凄い力で抱き締めて来たんだ。

「今のオレには英浩さんしか頭にないですッ!!英浩さんと一緒にいたい、英浩さんと人生を歩んで行きたいって。だから、英浩さんにこんなことをされても、オレは滅茶苦茶、気持ち良くて…」

 もう、その言葉だけで十分だった。

「…大地…、…君…」

 僕の頬を伝う熱いもの。

「…英浩…、…さん…?」

 僕の顔を覗き込んだ大地君がほっとしたように微笑むと、

「この頃、英浩さんは泣いてばかりだ」

 と言ったんだ。

「誰が泣かしてるんだよッ!?

 泣き笑いをする僕。

「…僕も…、…大地君が好きだ…!!…僕も、…大地君とずっと一緒にいたい…!!

 やっと言えた。僕の気持ち。

「…こんなおっさんだけど…。…大地君のご両親と同じくらいの年齢だけど、それでもいいの?」

 僕が尋ねると、大地君は再び僕を抱き締めて来た。

「…英浩さんがいい。…英浩さんじゃなきゃ、嫌ですよッ!!

 僕達はお互いに見つめ合う。眩しいくらいな優しい笑顔を見せてくる大地君。泣き顔でぐしゃぐしゃな僕。

「…英浩さんのことは、…オレが守ります!!

「…うん…」

 その時、大地君が真顔になったかと思うと、ゆっくりと顔が近付いて来た。

 僕が目を閉じたその時、

 …チュッ!!

 と言う音と共に、大地君の温かい唇が僕の唇に触れたのだった。

 

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