最後の恋 第14話
「…ッ、…ああああ…ッッッッ!!!!…美味かったああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
ほんのりと顔を赤らめて、大地君が物凄く満足気な笑みを浮かべ、大声を上げた。
「やっぱり、おふくろの味っていいですよねぇッ!!」
「フフッ!!そうやって喜んでもらえて嬉しいよ」
僕はそう言いながら、2人分の食器をまとめ始める。
(…2人分…、…か…)
僕の部屋で誰かと一緒に食事をするなんてこと、全然なかったな。何か、こうやって大地君と一緒に食事をするなんて言うことも、僕にとっては奇跡に近いことだった。
その時、大地君が、
「オレも手伝いますよ!!」
と言うと、腰を浮かせた。
「ああ、いいよ。ゆっくりしててよ」
僕がそう言っても、
「いいえッ!!この間もご馳走になったのに、何もしなかったんですからッ!!今日は手伝わせて下さいッ!!」
と言い、僕の方へ近付いて来る。そして、ニコニコとしながら僕を優しく見下ろした。
「…何?」
大地君が近付いて来ると、やっぱり僕の心臓はドキドキと早鐘を打つ。すると大地君ははにかんだ笑顔を見せて、
「…オレ…。…今、英浩さんを滅茶苦茶抱き締めたいです」
と言ったんだ。
「…よ、…よくそんなことを恥ずかしげもなく言えるね…!!」
そう言う僕の顔が熱くなっている。恐らく、真っ赤になっているに違いない。そして、大地君も顔を真っ赤にし、そしてグレーのスウェットズボンのその部分は大きく膨らんでいた。
「…僕も、抱き締めて欲しいけど、それは後からね!」
「…ちぇぇぇぇぇ…」
「ちぇぇぇぇぇ、じゃないッ!!」
そう言いながらも台所に2人で立ち、僕が洗い物を担当、大地君は拭く担当。その時間が物凄く幸せに思えた。
「お待たせ」
食事の後、僕はシャワーを浴びた。
「あはははは…!!」
僕がシャワーを浴びている間、大地君はテレビを見ていたようだったが、僕が出て来ると電源を切った。そして、ニコニコとしながら僕を見上げている。
「…ふぅぅ…」
「今日もお疲れ様でした!!」
僕がソファに腰掛けると、大地君は僕の横に座り、ニコニコとしてそう言った。
「…うん…」
「…」
沈黙が僕達の中に流れる。
ドクンッ!!ドクンッ!!
心臓の音がやけに大きく聞こえる。大地君にも聞こえてしまうのではないかと言うくらい。
「…ッ!!」
そんな大地君も、何かを言いたそうに口をパクパクさせてみたり、握った手を開いたり閉じたりして落ち着きない。
「…大地…、…君…」
「はひッ!?」
素っ頓狂な声が聞こえ、僕は思わず驚いて見上げた。
「…え?…え?」
大地君はと言うと、困ったような表情で視線をきょときょとと動かしている。
「…プッ!!」
そのリアクションに、僕は思わず吹き出した。そして、
「あはははははははは…!!」
と大声で笑い始めてしまったんだ。
「…ひ、…英浩…さん…?」
大地君はきょとんとしている。
「…ダッ、…ダメだ…!!…おかしい…ッ!!」
今時の子、と言うか、2年前、暴魔百族からこの世界を守ったヒーロー・ブラックターボの大地君が、実はこう言う天然なところもあったのだと思うと、余計に愛しさが増す。そして、素っ頓狂な声を上げてくれたことによって、僕達の緊張は一気に解れたような気がした。
「…せっかくのいい雰囲気が台無しだろう?」
そう言いながら、僕はゆっくりと大地君の肩に凭れ掛かる。すると大地君の左腕が僕の背後から回って来て、僕の左肩を抱いた。
「…英浩さん…」
「…大地君…」
僕達の顔が近付いて行く。僕は目を閉じると、唇に柔らかいものが触れた感触がした。
…チュッ!!…チュク…ッ!!
最初はチュッ、チュッ、とお互いの唇が触れるだけのキス。そこから少しずつ、お互いの舌を絡めて行く。
クチュクチュッッッッ!!!!クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!
お互いの舌を求めるように、僕達はキスをする。僕が舌を伸ばせば、大地君の口が開いてすっぽりと僕の舌を覆う。そして、大地君の舌が僕の舌と絡み合った。逆に、僕が舌を引っ込めれば、大地君の舌が伸びて来る。そして、今度は大地君の舌が僕の口の中に入り込んで来て、それを僕の舌が絡め取る。
クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!
「…ん…ッ、…んん…ッ!!」
「…んふ…ッ!!…んんんん…ッッッッ!!!!」
その時、大地君がゆっくりと体を横たわらせ始めた。
「…ん…」
そんな大地君に引っ張られるようにして、僕の体がふわりと浮くと、大地君は自分の体に僕の体を載せた。そして、僕を優しく抱き締め、頭を抱えた。
クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!
トクン、トクンと言う大地君の心臓の音が聞こえる。その暖かな温もりにこの上ない幸せと安堵感を得た。
その時だった
「…ふ…、…んんんん…ッッッッ!!!!」
僕は思わず声を上げていた。
「…だ…、…いち…、…君…?」
「…ヘヘッ!!」
大地君が悪戯っぽい笑みを浮かべて僕を見つめている。
「…英浩さんとこんなことをしてるって思ったら…」
そう言いながら腰をグイグイと何度も上下に動かす大地君。そのたびに、その中心部分で大きく盛り上がった大地君の男としての象徴であるペニスが僕の同じところにゴツゴツと当たった。
「…エッチだなぁ、大地君は…」
僕が苦笑すると、
「ヘヘッ!!」
と大地君が笑う。そして、
「好きだよッ、英浩さんッ!!」
と言うと、再びキスをした。
クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!
本当に泣きそうだった。この時間が永遠に続いてほしい、そう思うほどだった。
「…ん…ッ、…んん…ッ!!」
「はぁッ!!はぁッ!!」
僕はぼんやりと大地君を見つめている。そんな大地君は呼吸を荒くし、目を潤ませている。
「…ひ、…英浩…、…さん…ッ!!」
「…したい?」
僕が尋ねると、大地君はコクコクと首を大きく縦に振った。
「…じゃあ…」
ドクンッ!!ドクンッ!!
僕の心臓が大きく高鳴る。
「…大地君…。…ブラックターボに変身してよ」
「…え?」
僕がそう言った時、大地君は一瞬、きょとんとした表情を浮かべた。でもすぐに、両手を胸の前で少しだけクロスさせると、
「ブラックターボッ!!」
と言った。その途端、大地君の体が光を放ち、次の瞬間、大地君は光沢のある漆黒のスーツに身を包んでいたのだった。