ジグザグ青春ロード 第27話

 

 ちょっと前までの自分だったら、絶対に言えなかった。ただでさえ、恥ずかしい言葉なのに、と言うか、何をバカなことを言っているんだと自分でも思っていただろう。

「…洋平と、…1つになりたい…!」

 今の僕は、この言葉が本当にスルッと口を突いて出ていたような気がする。それは、驚いて僕を見ている洋平の顔を見れば、一目瞭然だった。

「…いいのか?」

 その言葉に、僕は思わず苦笑。

「いいに決まってんだろ?」

 そう言うと、

 チュッ!

 と言うくすぐったい音を立てて、洋平にキスをしていた。

「…僕は、…相手が洋平だから、…大好きな洋平だから、1つになりたいって思ったんだ。…洋平だって、…僕と1つになりたいだろ…?」

 けれど、この時の洋平は何となく様子が違っていた。いつもなら、涎をダラダラ零して、

「じゃあ、遠慮なく!」

 と、間違いなくオオカミになっていた洋平。でも、この時の洋平は何だかじっと僕を見つめて、神妙な顔つきをしていたんだ。

「…痛いよ?」

「分かってる」

「…苦しいよ?」

「それも分かってる」

「…俊介、…泣くよ、絶対」

「ああッ、もうッ!!

 逆にこっちがイライラしてしまった。

「あのねぇ、洋平ッ!!

 僕はそう言うと、洋平を強引にベッドに押し倒した。ボスッと言う音を立ててひっくり返る洋平。そんな洋平の胸に顔を埋めるように、僕は洋平に折り重なった。

「…俊介…」

 洋平の心配そうな顔。だったら、最初からそう言う顔してろっつの!!

「僕が洋平と1つになりたいって言ってるんだ!!洋平のことが大好きだし、洋平は僕の彼氏なんだから、そう言うのもありなのかなって思ったんだよッ!!

 ブルーターボに変身している洋平の胸のあたりをギュッと握る。イエローターボに変身した僕の手を包んでいる真っ白なグローブがギリギリと音を立てた。

「…覚悟なら、…出来てるさ…!…大好きな、…洋平なんだから…!」

 その時だった。

 不意に洋平の腕が動いたかと思うと、僕をギュッと抱き締めたんだ。

「…俊介…」

 洋平の温もりが伝わって来るのと同時に、トクン、トクン、と言う洋平の優しい心音が僕の耳に心地良い。

「…正直言えば、オレも俊介と1つになりたかった。…俊介が大好きだし、俊介を身も心もオレのものにしたかったし」

 そう言うと、今度は洋平がゆっくりと起き上がり始めた。そして、僕達は再び、膝を突き合わせるかのように座った。

「…でも、やっぱり心のどこかで、それを恐れている自分もいて…。…俊介を傷付けたらどうしよう、…それよりも、俊介が嫌がったらどうしよう、って…」

 その時、僕達は互いの唇を合わせていた。

 …チュッ!!…クチュクチュ…ッ!!

 くすぐったい音が辺りに響く。

「…ありがとう、…洋平…」

 お互いの唇が離れた時、僕ははにかんだ笑顔を見せて洋平にそう言った。

「…洋平が、…そこまで僕のことを考えてくれているとは思わなかった。…僕、今、…すっごく嬉しい…」

 すると洋平も、僕にしか見せたことのない笑顔を見せて、

「…俊介が、…とても大切だからさ…!」

 と言った。

「…じゃあ…」

 一呼吸吐いた後、

「俊介、四つん這いになってくれる?」

 と、洋平が僕に言ったんだ。

「…うん…」

 僕は、洋平の言われるままに四つん這いになり、尻を突き出した。

「…な、…何か、…恥ずかしいよ…!」

 僕がそう呟いた時、洋平は無言のまま、僕の尻に顔を埋めたんだ。

「んあッ!!

 突然のことに僕の体はピクリと反応してしまった。

「…」

 洋平は僕の両方のお尻を擦りながら、静かに顔を埋めている。

 やがて、洋平の右手がゆっくりと僕の股間へと下りて来た。

「んあッ!!

 その手が股間部分のスーツの破れ目の中へ入って来た時、僕のそこに触れたんだ。

「…よ、…洋平…?」

 と、その時だった。

 …ビッ!!

 と言う鈍い音がしたかと思うと、僕のイエローターボのスーツの生地が引っ張られるような感覚がした。そして、

 ビィィィッッッ!!!!

 と言う更に鈍い音が聞こえて、僕のお尻にひんやりとした感覚が伝わったんだ。

「…あ…あ…あ…!!

 覚悟は出来ていたけれど、いざとなるとやっぱり物凄く恥ずかしい。

「…よ、…洋平…!」

 赤い顔をして後ろを振り返った。その時だった。洋平が僕の尻に再び顔を埋めたかと思うと、

「あああああッッッッッ!!!!!!

 と声を上げずにはいられなかった。

「ああッ!!…あッ!!…ひゃん…ッ!!…あああ…ッッッ!!!!

 体から力が抜けて行くみたいだ。四つん這いになっている僕の足がガクガクと震える。

「…よッ、…洋平…ぇ…ッ!!

 僕は思わず洋平を呼んでいた。だが、聞こえて来るのは、

 …ジュッ!!…ジュルッ…ッ!!…ジュクジュク…ッ!!

 と言う淫猥な音だけ。

 洋平の舌が、僕のお尻の奥を舌で舐めていた。洋平の舌が、まるで何か別の生き物のように僕のお尻の奥を動き回る。ヌメヌメとした感覚と、物凄いくすぐったさに、僕は身を捩らずにはいられなかった。

「…よッ、…洋平ぇッ!!…も、…もう…ッ、…やッ、…止めて…ッ!!

 息も絶え絶えに僕は言う。その時、洋平がようやく僕のお尻から顔を離した。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ…!!

 荒い息をして、枕に顔を埋めている僕。

 その時、洋平が自分のセカンドバッグの中をガソコソと漁り始めた。

「…よ、…洋…平…?」

「…あった!」

 洋平がセカンドバッグから取り出したものを見て、僕は思わず目を点にした。

 

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