力、絶体絶命! 第17話

 

 レッドターボの光沢のある鮮やかな赤色のスーツ。そのガッシリとした2本の足の付け根部分は縦に切り込みが入れられ、そこから力の男としての象徴であるペニスがいつでも引っ張り出せるようになっていた。

 そんなレッドターボに変身し、力は、生徒会室で万里小路によってスーツから飛び出したペニスを口で刺激され、自らの意思に反するかのように腰を前後に揺り動かし、オスとしての本能に抗えず、どうしようもないほどにもどかしい中で自らの情熱を放った。

(…オレは…。…オレは…)

 今、力は自身の部屋の中にいる。ぼんやりとする意識の中で、力は自身の心の中を支配している欲望に呆然となっていた。

(…オレは…)

 野球部の年間予算の確保と、レッドターボとしての正体を他人にばらされるのを恐れる余り、その秘密を握った万里小路に屈辱的な行為を受け続けた。野球部のユニフォームを、その下にはアンダーパンツなどを付けずに着させられ、万里小路に体中を弄られた。そして、自身のプライドとも言えるべき、男としての象徴であるペニスを握られ、口に含まれ、刺激され、何度も淫猥な液体を放出し続けた。それだけではなく、時にはレッドターボに変身させられ、同じように屈辱的な行為を受けた。

(…オレは…)

 最初はあんなに嫌だったのに、今ではそれを待ち切れない自分がいるのも確かだった。

(…男に自分の大事なところを触られるだけじゃなく、イカされるのも嫌だけど…)

 おぞましい感情がぐるぐると湧き上がる。

(…オレが犠牲になることで野球部の予算は確保される。…そして…、…オレがこの行為を万里小路に受け続けることで、オレがレッドターボであり、大地がブラックターボ、洋平がブルーターボ、俊介がイエローターボ、そして、はるながピンクターボであることは誰にもバレることはない…)

 それは引いては、この武蔵野学園高校を守ることにも繋がる。自分が暴魔百族からこの世界を守るレッドターボであることが知れ渡った時、暴魔は間違いなく、この高校を狙って来るだろう。そうなったら最後、大勢の負傷者が出ることは間違いない。自分がレッドターボであるために、大地がブラックターボであるために、洋平がブルーターボであるために、俊介がイエローターボであるために、そして、はるながピンクターボであるために、他人が傷付くのはもっと耐えられなかった。

(…それに…)

 その時、力の右手は自身のガッシリとした2本の足の付け根に息づく、自身の男としての象徴であるペニスへと伸びていた。

「…ん…」

 眩しいくらいに真っ白な野球部のユニフォーム。そこに大きく浮き出た力のペニスの形。もちろん、その下には何も穿いていない。

「…あ…、…んあ…ッ!!

 虚ろな瞳を宙に投げ、ゆっくりとそこを揉み込む力。すると、力の男としての象徴はムクムクとその存在感を増し、あっと言う間に大きく勃起していた。

 …ザワ…、…ザワザワ…。

「…ああ…、…あぁぁ…!!

 ペニスに擦れるユニフォームの生地が心地良い。正直、力はその感覚の虜になっていたのだ。

「…気持ち…、…いい…!!

 その右手がゆっくりと上下運動を始める。

 ザワザワザワザワ。ザワザワザワザワ。

 自身のペニスがユニフォームの生地に擦られる。

「ああッ!!ああッ!!ああッ!!ああッ!!

 その時、力のペニスがピクピクと小刻みに脈打った。そして、

 …クチュッ!!…クチュクチュッッッッ!!!!…クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!

 と言う淫猥な音が聞こえたかと思うと、ペニスの先端部分を包み込んでいるユニフォームの生地が光沢を失い、そこに染みがじわじわと広がり始めた。

「ああッ!!ああッ!!ああッ!!ああッ!!

 無我夢中でペニスを上下に刺激する力。

「…オレは…、…オレは…ッ!!

 顔を赤らめ、目を閉じ、その右手の動きが速くなって行く。

 グチュグチュグチュグチュッッッッ!!!!グチュグチュグチュグチュッッッッ!!!!

 その時だった。

「…ま…、…で…の…、…こう…じ…。…ッッッッ!!!?

 無意識に万里小路の名前を呼んでいたことに気付き、力は愕然となる。

「…オレは…ッ!!…オレは…ッ!!

 万里小路のあの不気味な顔が浮かぶ。そのギラリとした瞳、あからさまに力を侮蔑するかのような視線。だが、万里小路が力を見つめながら、力のペニスを刺激していると錯覚した時、

「んああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 と、力は体を大きく弓なりにして叫んでいた。

「…万里…小路…様…ッ!!…万里小路様ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 その瞬間、

「イクウウウウウウウウウウウウウウウウッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 と叫んだ力が腰を何度も何度も上下に揺り動かした。そして、

 ドビュッ!!ドビュッ!!ドビュドビュドビュドビュッッッッ!!!!ビュウウウウッッッッ!!!!ビュウウウウッッッッ!!!!ビュクビュクビュクビュクッッッッ!!!!

 と言う音と共に、ユニフォームの生地から濃白色な淫猥な液体の塊が溢れ出し、弾丸のように力の体の上、ベッドなどに飛び散った。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!

 ぐったりと横たわる力。その筋肉質な胸が大きく上下に動いている。

「…く…ッ!!

 万里小路に犯されている自分を想像しながら自慰行為に耽ってしまった。そのどうしようもないほどの嫌悪感が、力を包み込んでいた。

 

 翌日――。

「…はぁぁ…」

 力はとある大きな屋敷の前に立っていた。

「…こ、…ここが…。…万里小路の…、…家…?」

 家と言うよりも御殿に近かった。西洋風のレンガ造りの建物。その大きな鉄の門に、その奥には広大な庭と丸みを帯びた真っ白な建物が佇んでいる。

「授業が終わったら、ここへ来い」

 その日、高校の廊下ですれ違った万里小路が、力にこっそりと手渡して来た。そこには、今、力が立っている場所の住所が書かれていたのだ。

「…ッ!!

 呼び鈴を押そうとした力の指が一瞬、ピクリと止まった。

(…オレは…。…オレは…!!

 おぞましい感情がぐるぐると渦巻く。考えただけで、力の2本の足の付け根部分に息づく、力の男としての象徴であるペニスが大きく勃起した。

「…く…ッ!!

 眩しいくらいに真っ白な野球部のユニフォーム姿。これも、その姿で来るようにと言う万里小路の命令だった。

 ピンポーン…。

 呼び鈴の音が鳴った時、

 …ガチャ…。

 大きな門の奥の白い建物の扉が開き、そこから万里小路が姿を現した。

「…よう…」

 力は右手をちょっとだけ上げる。すると万里小路は相変わらずちらりと力を見ると、

「…ついて来い…」

 とだけ言って、クルリと背を向けた。

「おッ、おいッ、万里小路ッ!!

 内心、腹が立った。

(…なッ、…何なんだよッ、コイツはああああッッッッ!!!!

 せっかく力が足を運んでやったと言うのに、何にも言わずに、笑顔さえ見せずにさっさと踵を返したのだ。

「…ぐ…ッ!!

 今にも叫びたい気持ちを必死に押さえる力。

「…どうした?」

 万里小路の静かな声。

「いッ、いやッ、別に…」

 力は何とか笑って誤魔化す。

「…ふーん…」

 万里小路は再び力を一瞥すると、さっさと家の中へと入って行く。

「…」

 力自身も、そんな万里小路について行くしかなかった。

 

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