毒牙 第5話
ドクンッ!!ドクンッ!!
体が火照るくらいに熱く、心臓がドキドキと高鳴っている。
「…う…ッ、…うううう…ッッッッ!!!!」
鮮やかな青色の競泳用水着だけでマットの上にうつ伏せに横たわり、その筋肉質な体を惜し気もなく披露している洋平。その体にはオイルのようなものが垂らされ、引間の細い指がそれを丹念に塗り広げて行く。
…グチュッ!!…グチュッ!!
アロマが焚かれた部屋。その強烈な臭いに意識がぼんやりとする。だが、引間の指が自身の敏感な部分に滑り込むたびに、
「…んあ…ッ!!」
と、洋平は上半身をビクリと跳ねらせていた。
「…気持ちいい、洋平君?」
「…せ…、…ん…せ…」
ただマッサージのような、ストレッチのようなことをされているだけなのに、頭がぼんやりとする。
ドクンッ!!ドクンッ!!
そんな洋平のガッシリとした2本の足の付け根部分。そこに息づく、洋平の男としての象徴・ペニス。それは今、薄く小さな競泳用水着の中で次第に熱を帯び始め、ムクムクと頭をもたげ始めていた。
「…随分と柔らかくなって来たかな…」
引間はそう言うと、洋平の耳元に顔を近付ける。
「…じゃあ…、…次は表側だ…!!」
「…え?」
一瞬、何を言ったのか分からなかった。だが、それを理解した時、洋平は俄かに顔を真っ赤にした。
「ほら、洋平君。さっさと仰向けになって」
「えッ!?…いッ、…いや…」
慌てふためく洋平。顔を真っ赤にし、うつ伏せの状態から身動ぎしない。
「早くしないと、時間が遅くなってしまうよ?」
引間には全てお見通しだった。だが、それを顔にも出さず、言葉にも出さず、じりじりと洋平を追い詰めて行く。それに対し、洋平は、
「でッ、でも…ッ!!」
と、顔を更に真っ赤にして目をギュッと閉じている。
「ああッ、もうッ!!まどろっこしいなあッ!!」
突然、引間が大声を上げた時だった。
ビクンッ!!
洋平の体がビクリと痙攣を起こした。
「…え?」
気が付いた時、洋平の体はゆっくりと動き始め、うつ伏せから仰向けになり始めたのだ。
「…え…?…ええ…ッ!?」
呆然とする洋平。それはそうだろう。自分の体が、自分の意思とは関係なく動いているのだから。
「…せ…ッ、…先生…ッ!?」
今にも泣きそうなほどに目を潤ませ、引間を見上げる洋平。だが、引間はきょとんとしたままだ。
「僕は何もしていないけど?洋平君が自分で動いているんじゃないのかい?」
「そッ、そんなわけ…」
ドクンッ!!
その時、再び心臓が大きく高鳴り、意識がぼんやりとし始めた。
(…あ…、…れ…?)
茫然自失の洋平。その目が虚ろになり、体は鉛のように重い。
(…オレは…、…いったい…、…どうしちまったんだ…?)
「…フフッ!!」
その時、引間が穏やかに笑った。
「洋平君も、感じてしまったんだね」
「…え?…あ…」
洋平の鮮やかな青色の競泳用水着。その中心部から飛び出した洋平の男としての象徴・ペニス。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
臍へ向かって真っ直ぐに勃起し、その真っ赤な美しいフォルムを競泳用水着から覗かせていた。
「…は…、…恥ずかしい…」
「そんなことないよ。自然な現象さ」
そう言いながら、引間は洋平の太腿へとオイルを垂らして行く。そして、再びそれをしなやかな指でゆっくりと伸ばし始めた。
…グチュッ!!…グチュッ!!
マッサージをされるような感覚。その感覚に、洋平は頭がぼんやりとしてしまう。
「…気持ちいい?」
引間が尋ねると、洋平はコクンと頷き、
「…気持ち…、…いい…」
と言った。その目は既に虚ろになっている。
「…じゃあ、そのままじっとしてて」
そう言うと、引間は再び洋平の両脚を揉み込み始める。
…グチュッ!!…グチュッ!!
そして、その手が洋平の股の間、競泳用水着との境目まで来ると、
「…ッッッッ!!!!」
と、洋平は体をビクリと跳ね上げる。
「…フフッ!!」
引間の指が、洋平のペニスの下に息づく2つの球体にそれとなく触れる。その微かな刺激がビリビリとした電流となり、洋平の体に伝わる。そして、その指が洋平の際どい部分へ触れるか触れないかと言うところでさっと動くと、太腿を再び強く揉み込み始める。
「…ぐ…ッ!!…うううう…ッッッッ!!!!」
その痛みに、洋平は顔をしかめる。だが、すぐに引間の手が動き、再び洋平の股の間へ進み、そこにそれとなく触れる。すると洋平は、
「…ッッッッ!!!!」
と、再び体をビクリと跳ねらせる。
「…じゃあ…、…次は…」
両太腿のマッサージが終わった時、不意に引間が声を上げた。そして、洋平の両脚の間へ座ると、両手で洋平の両脚の付け根部分を鷲掴みするように掴んだ。そして、両方の親指を立てると、洋平の股の間、競泳用水着との境目部分をグイグイと押し始めたのだ。
「んあッ!?んあッ!?ああッ!!ああッ!!」
強烈な痛みが洋平を襲い、洋平は目をカッと見開き、体をビクビクと跳ねらせる。
「…せ…ッ、…先生…ッ!!…引間…、…先生ええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!」
「…痛い?」
洋平は顔を真っ赤にし、目をギュッと閉じ、ガクガクと首を縦に振る。
「けれど、ここが一番重要なところだからね。痛くても少し我慢してもらうよ!!」
そう言った引間が顔を引き締まらせ、指先に力を込めた時だった。
「あッ!!あッ!!」
洋平の体がビクビクと跳ねる。そして、
「…ぐうううう…ッッッッ!!!!」
と、目をギュッと閉じて呻いたかと思うと、
「…うううう…ッッッッ!!!!…ううううわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と悲鳴を上げた。
「…せ…ッ、…先生ええええええええええええええええッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!…いッ、…痛てええええええええええええええええッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「我慢しろって言ってるだろうッ!?」
「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
我慢しろとは言え、体がビクビクと跳ね、両脚はバタバタと暴れる。
その時だった。
ドクンッ!!ドクンッ!!
不意に心臓が再び大きく高鳴り始める。
(…あ…、…れ…?)
そして、体が再び熱くなり、鉛のように重くなる。
(…オレは…、…オレは…)
いつの間にか、洋平の体はマットの上にしっかりと横たわり、虚ろな視線を天井へ投げ掛けていたのだった。