毒牙 第17話

 

「洋平君、ちょっと」

 その日、水泳部の練習が終わると、引間は洋平に声をかけていた。

「何スか、先生?」

 その頃になると、洋平は引間に声をかけられただけで目をギラギラと輝かせ、鮮やかな青色の競泳用水着の中でペニスがビクビクと脈打つまでになっていた。

「こらこら。ここで勃たせてどうするんだよ?」

 そんな洋平の姿を見て、引間が苦笑する。そして耳元に顔を寄せると、

「洋平君って、本当に淫乱だね」

 と言った。その途端、

「はうッ!?

 と、洋平は素っ頓狂な声を上げ、腰をくの字に折り曲げる。

「…みんなは?」

「…もう…、…帰りました…」

 そう言った時、洋平は不意に真顔に戻ると、

「…先生…ッ!!

 と、引間の体を強く抱き締めていた。

「…洋平…、…君…」

「…先…、…生…?」

 その日はいつもと様子が違うことに気付いた洋平は訝し気に引間を見下ろしていた。

「…何か…、…あったんスか…?」

「…実は…」

 躊躇いがちに、何かを言い淀んでいる引間。そんな引間に対し、

「…ど、どうしたんスか、先生?」

 と、洋平まで心配そうな声を上げる。すると引間は洋平をじっと見上げた。

「…洋平君…。…君、ターボレンジャーなんだろ…?」

「…ッッッッッッッッ!!!!!!!!

 突然の言葉に、洋平の体が凍り付く。

「…僕…、…知っちゃったんだ…。…君だけじゃなくて、3年A組の何人かがターボレンジャーだ…、…って…」

 その途端、洋平は引間を強い力で抱き締めていた。

「…誰にも…ッ、…誰にもッ、言わないで下さいッ!!

 引間を抱き締める腕が心なしか、震えている。

「…けど…」

「これはッ、オレと先生だけの秘密にして下さいッ!!オレ達がターボレンジャーと分かってしまったら、暴魔にみんなが狙われてしまうッ!!

 洋平はそう言うと、今にも泣きそうな表情で引間を見つめる。そして、

「お願いですッ、先生ッ!!先生の言うこと、何でも聞きますからッ!!

 と言ったのだ。

「ちょ、ちょっと、落ち着いてッ、洋平君ッ!!

 引間は慌てて洋平の両肩を掴み、必死に宥める。そして、ニッコリと微笑むと、

「僕は洋平君を責めてなんかいないよ。逆に凄いなって思ってるんだ」

 と言った。

「…先…、…生…?」

「…僕らよりもずっと年下なのに、まだまだ高校生って言う青春真っ盛りの頃なのに、この世界の運命を賭けた戦いをしているんだ。しかも、それは死と言う恐怖と隣り合わせなのに」

 そう言った時、引間の顔がスッと動いた。その途端、

「…ん…ッ!?

 と言う洋平の声が聞こえた。

 引間の唇と、洋平の唇が重なり合っている。暫くすると、引間はゆっくりと顔を離して行く。

「…先…、…生…?」

 ぼんやりとした表情で引間を見つめる洋平。その引間の顔に、

 ドクンッ!!

 と、洋平の心臓が大きく高鳴った。

「…嫌だよ…」

「…え?」

 今度は引間が今にも泣きそうな表情を浮かべていた。

「…絶対に、死んだりしたら、嫌だよ?」

「…当たり前じゃないですかッ!!

 そう言うと、洋平は再び強い力で引間を抱き締めていた。

「…オレが…ッ!!…オレがッ、絶対に先生を守りますッ!!

「…じゃあ…」

「…んく…ッ!!

 その時、引間の右手がゆっくりと下りて行ったかと思うと、洋平のペニスとその下に息づく2つの球体を鮮やかな青色のジャージ越しに握っていた。

「…先…、…生…?」

 その刺激だけで目を虚ろにしている洋平。

「…ターボレンジャーに変身してよ」

「…え?」

「…洋平君のカッコいい姿を、僕だけに見せてよ」

「分かりましたッ!!

 そう言うと、洋平は引間と距離を置く。そして、

「行くぜッ!!ブルーターボオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

 と叫び、両手に巻かれたターボブレスを操作した。その途端、洋平の体が光に包まれ、次の瞬間、洋平は光沢のある鮮やかな青色のスーツに身を包んでいた。ブルーターボ。洋平が変身した姿だ。だが、車のデザインをあしらったマスクは装着されておらず、精悍な顔付きの洋平の頭が見えていた。

「ブルーッ、ターボオオオオッッッッ!!!!

「…凄い…!!

 まるで恋する乙女のようにウットリとした表情を浮かべる引間。心なしか、その顔が赤らんで見える。

「…凄いよ、洋平君…」

「…先生…」

 再び抱き合う引間と洋平。そして、その顔が近付いた時、

 …チュッ!!

 と言うくすぐったい音が聞こえた。

「…洋平君…、…本当にエッチだねぇ…」

「…フフッ!!

 光沢のある鮮やかな青色のブルーターボのスーツ。洋平のガッシリとした2本の足の付け根部分。そこに息づく、洋平の男としての象徴・ペニス。それは今、体に密着するようにぴっちりと纏わり付いたスーツの中でその大きさを完全なものにし、臍へ向かって真っ直ぐに伸びていた。その太く、長いそれはまるで彫刻のようで、先端のきれいなフォルムがスーツにクッキリと浮かび上がっていた。

「…競泳用水着と比べて、何だか、物凄くエッチに見えるよ…」

 そう言うと、引間は洋平のそこを優しく包み込む。すると洋平は、

「んッ!!

 と声を上げ、ビクリと体を跳ねらせた。

「…せ…、…ん…せ…ぇ…」

 顔を赤らめ、虚ろな瞳で引間を見下ろす洋平。

「…フフッ!!…洋平君のチンポ、僕の手の中でピクピクしてるよ…。…相変わらず、硬くて太くて、凄く美味しそう…」

「…あ…あ…あ…あ…!!

「おやおや。たったこれだけのことでチンポがビクビクしてる」

 引間の細くしなやかな指が洋平のペニスをゆるゆると刺激する。そのたびに洋平は、

「…ん…ッ!!…んく…ッ!!…あ…ッ!!…ああ…ッ!!

 と声を上げ、真っ赤になった顔を天井へ向ける。

「…先…、…生…。…引間…、…先生ええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!

 その瞬間、洋平は両腕を振り上げると、引間を再び抱き締めていた。

「…先生…ッ!!…引間先生ッ!!

「…好きだよ…、…洋平君…」

「…オレも…ッ!!…先生が好きです…ッ!!

 そう言った時、洋平は引間の唇に自身の唇を重ね合わせていた。

 クチュクチュッ!!クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!

 くすぐったい音が、薄暗い準備室に響き渡った。

 

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