青と緑のイニシアティブ 第3話
「…フッ!!」
暫くすると、智が笑い始めた。
「…?どうしました?」
礼音が尋ねると、智は意地悪い笑みを浮かべ、
「まさか、他の男にしゃぶられるとは思わなかったぜ」
と言った。その言葉に、礼音はニヤリとし、
「…ああ…」
と言った。
「…あの男、相当なテクニックの持ち主だった。オレなんか、あっと言う間に何回もイカされたぜ…!!」
そう言いながら、智は自身の2本の足の付け根部分に息づく、智の男としての象徴であるペニスを、ブルーマーキュリーの光沢のある鮮やかな青色のスーツ越しにそっと撫でる。そこは未だに大きく勃起したまま、その太く、長く、先端のきれいなフォルムをクッキリと浮かび上がらせている。
「そうですね。あの男は、他の星を蹂躙するたび、その星の屈強な男達のエネルギーを最後の一滴まで奪って来たと言っていました。実際、おとはや陽南もあの男のテクニックで優性遺伝子を奪われたのでしょうね…」
すると、智はムッとした様子で、
「オレだって、最後の一滴まで奪われそうになったんだぜッ!?」
と、声を大きくした。だが、礼音は、
「でも、気持ち良かったんじゃないんですか?」
と、意地悪な笑みを浮かべて言う。
「そッ、それは…」
「フフッ!!そんなことで怒りませんよ。それに、そうしたことで、あの男の信頼を得ることは出来た。…少なくとも…」
「…え?」
気が付いた時、礼音が智に跨るように伸し掛かっていた。
「…僕達が生き延びる保証は得られた、と言うわけです…」
そう言った時だった。
「んあッ!?ああッ!?ああッ!?ああッ!!ああッ!!」
智が目をカッと見開き、体を仰け反らせた。
「…フフッ!!」
グリーンジュピターの光沢のある鮮やかな緑色のスーツ。礼音のぷりんとした筋肉質な双丘が前後に動いている。
「…れ…、…れ…のん…」
顔を真っ赤にした智が荒い呼吸をしながら礼音を呼ぶ。
「…これからも…、…僕達はこうやって愛し合える…」
礼音のぷりんとした筋肉質な双丘の下には智の大きく勃起したペニスが。礼音は智のそれを双丘の窪みで前後に擦るようにしていたのだ。
「ああッ!!ああッ!!ああッ!!ああッ!!」
智の筋肉質な体がくねくねと動き、そのたびにブルーマーキュリーのスーツがキラキラと輝く。
「全て、あなたのお陰ですよ、智」
そう言うと、礼音は体を前屈みにし、智の唇に自身の唇を押し当てた。
…クチュッ!!…クチュクチュッッッッ!!!!クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!
くすぐったい音が薄明かりの部屋の中に響き渡った。
「…何?」
薄暗い部屋。人が3人も入れば、窮屈に感じるほどに狭い部屋。その隙間から差し込む妖しい光は、その部屋が禍々しい何かに包まれていることを物語っていた。
その部屋の中心部分。片足を組み、古びた椅子に深く腰を掛けた白髪混じりの初老の男性。全身を鎧のようなものに包み、耳から鼻、そして、耳へとガードのようなもので守っている。だが、その体から溢れて来る禍々しいオーラは、彼がまだまだ強大な力の持ち主であることを物語っていた。
「…ワクセイバーが来た、だと?」
そんな彼・ドーラ=ゴラムに耳打ちをしている1つ目の戦闘員・シャルダー。その言葉を聞いた時、ドーラは眉を動かし、怪訝な顔付きになった。そして、ゆっくりと歩き、モニターの前に立つ。そして、1つのボタンに指をかけた。
ピッ!!
乾いた音が聞こえ、モニターがブゥゥゥゥン、と言う音を立てて起動する。
「…ブルー…マーキュリー…、…グリーン…ジュピター…?」
光沢のある鮮やかな青色のスーツを身に纏った長身でガッシリとした体付きの智と、光沢のある鮮やかな緑色のスーツを身に纏った、智よりはやや背が低いもののそれなりに体を鍛えている礼音の姿が映し出される。
「…なるほどな…!!」
初老とは言え、圧倒的なオーラを身に纏っている。そう言ったドーラの目がギラリと光り、口元では舌舐めずりをしていた。
「お、おい、礼音ッ!!こんなところに来て、どうするんだよッ!?」
その頃、智は慌てふためいていた。
「敵のアジトに侵入して…。…まッ、まさかッ、オレ達2人で立ち向かおうって言うわけじゃねぇだろうなあッ!?」
「落ち着いて下さい、智」
慌てふためく智とは正反対に、礼音は落ち着きを払い、ただただ、その先にある暗闇を見つめている。
「大丈夫ですよ、智。向こうが僕達を襲って来ることはありませんから」
「…え?」
その時だった。
…コツーン…。…コツーン…。
高く乾いた音。だが、その音にははっきりと威厳のようなものが漂っていた。
「…ッッッッ!!!!」
2人の先にある暗闇から現れた男を見た途端、智はぎょっとなって思わず身構える。だが、礼音は相変わらず落ち着いたまま、穏やかな笑みを浮かべて前を見据えていた。
「…待たせたな…」
やや皺枯れた、だが、圧倒的なオーラを纏っている声。
「…命乞いかと思ったら、情報提供、とはな…」
「…ええ」
礼音が言う。
「あなた方が探しているのは、誰よりも優れた能力や頭脳を持ち合わせる人間、いえ、優性遺伝子でしょう?」
「…ああ…。…そうだが…?」
怪訝そうに言うドーラ。
「あなた方も面倒でしょう?街を破壊したり、何の罪もない人々を殺したり。そんな余計な力を使わずに、手っ取り早く優性遺伝子を持つ人間を掻っ攫ってゴルデネメシス復活のエネルギーにしてはどうなのです?」
「…それは…」
「僕は木戸コーポレーションの跡取り息子です。僕の会社のデータを使えば、誰が優性遺伝子を持っているかなんて、すぐに分かります」
「おいッ、礼音ッ!!」
智がやって来ると、礼音の胸倉を物凄い勢いで掴んでいた。
「…お前…。…悪魔に魂を売ろうってぇのか…!?」
「…フッ!!」
礼音は穏やかに笑うと、智のガッシリとした右腕を掴む。
「…礼音…?」
「大丈夫ですよ、智。あなたの悪いようにはしません」
礼音は言葉を続ける。
「だから、もうこれ以上、この美しい地球を破壊するのは、止めていただけませんか?」
「礼音ッ!!」
横から智が怒鳴る。すると礼音は、
「あなたもうんざりでしょう?いつまでもおとはや陽南にイニシアティブを取られていていいのですか?」
と言った。その言葉に、
「…ま…、…さか…!?」
と、智が俄かに顔を真っ青にした。
「…ええ…」
礼音がニヤリと笑う。
「…優性遺伝子を持つ者…。…この星を守るガーディアン。ピンクアース・仁科おとはと、イエローサン・日比野陽南ですよ…!!」
そこまで言うと、礼音はドーラの方へ向く。
「この世界で優性遺伝子を、それも、星に守護され、その星の能力を使いこなすワクセイバーが最強の優性遺伝子を持っていたとしたら、あなたはどうします?」
「もし、それが本当ならば、その2人分の優性遺伝子があれば、ゴルデネメシス様の復活は容易い」
ドーラの目がギラリと光る。すると、礼音は、
「本当ですよ。証拠が、これです」
と言うと、1枚の紙切れをドーラに渡す。ドーラはそれを受け取り、暫く眺めていたが、
「…どうやら、本当のようだな…」
と言うと、ニヤリと笑った。その笑みに、
「交渉成立ですね!!」
と、礼音もまた、目をギラリと光らせて笑ったのだった。